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『星の王子さま』の作者に教えられたこと

「人間」「自然」「技術」の調和と価値循環

  • 宮田 秀明

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2006年12月22日(金)

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 昨年の初め、四国の高松に久しぶりに立ち寄った。高松港は四国から中国地方や関西地方へ向かう海の玄関で、高松の市街地からの交通の便がいい。昔は本四連絡船があって、四国生まれの私はよく利用したものだ。高松港の周囲は再開発されて街並みも美しくなった。

 JR高松駅のすぐそばに旅客船乗り場がある。ここの桟橋から小豆島へ行く船が出る。そこで、かつて私が開発に携わった「サンオリーブシー」が活躍している。13年前に石川島播磨重工業(IHI)と東京大学が共同開発した超細長型の双胴船である。長さ200メートル、40ノット(時速74キロ)の大型フェリーを目標として開発した船だったのだが、実際は長さがたったの30メートル、重さ30トンにも満たない小型船で、68人の乗客を運ぶ。実は、「サンオリーブシー」は、私のコンセプトをベースにした開発プロジェクトの実験船としてIHIが3億円をかけて建造した船で、もったいないので実験終了後に旅客船にしたのだ。

 最初は関西国際空港への航路に使われ、シップオブザイヤーにも選ばれたのだが、船会社の経営難から転売されていた。高松と小豆島を結ぶ航路にいることを聞いて、12年ぶりに会うことにしたのだ。音信不通だった息子と12年ぶりに再会したと例えたら大袈裟だろうか。でも、そんな気持ちに近かった。

開発者冥利に尽きる、船長の褒め言葉

 以前と同じように操舵室に入って船長と話す。就職した息子の評判を息子の上司に聞くような心境だ。

 「倍の重さの船が欠航しても、これは走りますよ」

 「1日に1200リットルしか燃量を使わないのに、23ノット(時速44キロ)で5往復しています。こんなに燃費のいい船は他に見当たりません。この船がなくなったら、どうしましょうね」

 性能を評価してもらえると純粋にうれしい。低燃費で波に強いという設計コンセプトが、そのまま現場で実現されている。開発者冥利に尽きるというものだ。

 船長と話しながら、新しいコンセプトの船を開発するために、IHIの技術者と様々な経験を共有したことも思い出した。兵庫県の相生で建造された風変わりな双胴船の実験地は相模湾だった。IHIの技術責任者は「こんな小さな船を自走して回航するのは危険だから船に乗せて運べ」と勧める。でも、現場の担当者の決断は自走だった。水面下の深さがたったの70センチメートルしかない小さな船で太平洋の荒海を渡ったのである。

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