「シリーズ「産学連携」」

「ロボットスーツで大学発ベンチャー企業を成長させます」

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2007年1月22日(月)

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 筑波大学発ベンチャー企業のサイバーダイン(CYBERDYNE、茨城県つくば市)が社員を募集中だ。同社は、2007年2月頃から研究開発センターと生産設備を兼ねた“工場”の建設を始める。夏頃には工場を稼働させ、2007年10月から製品を出荷する予定だ。この事業計画を実現するために、30〜40人もの多くの人材を募集しているのである。ベンチャー企業としてはかなり思い切った増員計画だと言える。

図版
ロボットスーツHAL(画像データは筑波大の山海教授が提供、Prof. Sankai, Univ. of Tsukuba / CYBERDYNE Inc)

 サイバーダインが事業化する製品は、人間の身体能力を大幅に高める「ロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)」。HALを装着すると、40キログラムの荷物を2〜3キログラム程度と軽く感じる能力を獲得し、ある種のスーパーマンに変身する。最近、NHK(日本放送協会)などのテレビ番組で何回も取り上げられ、脚光を浴びているハイテク製品である。

 サイバーダインは2006年11月に、ロボットスーツHALを年間に400〜500体程度製造できる生産態勢を築き、事業化に乗り出す計画を公表した。用途に応じた改良も本格化する。代表取締役社長は筑波大大学院の山海嘉之教授(写真1)。ものづくり系の大学発ベンチャー企業として本格的に事業家に踏み込む苦労談を聞いた。
―― ロボットスーツHALの本格的な生産に乗り出すとの報道が相次いでいますが。

図版
サイバーダインの代表取締役社長を務める、筑波大学大学院システム情報工学研究科の山海嘉之教授

山海 2007年2月に工場を建てる土地を手当てし、研究開発センターと生産設備を兼ねる工場建家をつくり始める予定です。場所はつくば市内の予定です。土地の広さは5000平方メートル程度と考えています。現在、工場候補地を2〜3カ所に絞りました。
 工場をつくば市に建てる理由は、HALの科学面を支援する筑波大大学院の山海研究室(システム情報工学研究科)と、サイバーダインの本社オフィスが近くにある、つくば駅(つくばエクスプレスの終点駅)からの距離を考慮した結果です。

 この工場は研究開発と製造を一体化させた生産施設です。この点では、設計仕様が成熟した製品を繰り返し製造する従来の工場とは異なります。研究開発品を研究室規模の製造から、工場規模の製造に移行し、量産を追究する事業化ステージに入るということです。

―― 研究開発と製造を一体化させた生産施設とは。

山海 ロボットスーツHALは初期のプロトタイプから数えて、上肢・下肢組み合わせ型で5号機の「HAL-5」まで開発済みです。これまでにHALを累計で約20体つくりました。製造業の大手企業の方から見れば、工房として手工業的なつくり方をしていると思います。

 装着すると重たいものが簡単に運べるなど、人間の身体能力を大幅に高められます。主な用途は、医療・福祉・介護分野、重作業の支援分野、災害レスキュー分野などを想定しています。

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著者プロフィール

丸山 正明(まるやま・まさあき)

丸山 正明

日経BP産学連携事務局編集委員。東京工業大学と東海大学の大学院で、非常勤講師として「材料選択の仕方」「技術経営実践論」「産学連携事例」などを講義。経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、産業技術総合研究所などの政策評価/技術評価/事業評価委員を務める。主な著書は「社長のためのTLO活用ブック」「東工大COE教育改革」「産業活性化を担うプロジェクトマネージャー養成講座」「九州大学COE大学改革」など


イノベーション・ジャパン2007



このコラムについて

シリーズ「産学連携」

大学と産業界との連携の仕方を主に取材している丸山正明が、産学連携によって生み出されるイノベーションの事例を紹介。基礎研究から事業化にいたるまで、産学連携が成功するための秘訣を探る。

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