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生きがい論は若者に通用するか

「理系離れ」の背景にあるもの

  • 宮田 秀明

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2007年1月26日(金)

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 3年前、NHK教育テレビが制作した小学3年生向けの教育番組に出演したことがある。「ふしぎいっぱい」という15分の理科番組だった。内容は、水中翼船「スーパージェット」の開発物語である。揺れない高速船を安価に提供するプロジェクトが易しく解説されて、最後は「快適になりました。本を読みながら旅行できるようになって」という乗客の言葉で終わる。

 とてもよい番組だったが、シリーズを通じた企画を見て、1つだけ残念に感じた。番組のほかの回は、ほとんどが物理、化学、生物などの、いかにも“理科的”な内容で、私が出演した回のような「ものづくり」や「技術開発」についての企画は珍しいようだった。もちろん、あまりものづくりの話が多過ぎても、理科教育という企画の趣旨から外れてしまうし、「ものづくりの仕事」を子供に紹介するのは社会科の範疇かもしれない。だが、ものづくりの仕組みや現場を、もっと理科の授業でうまく取り上げてもいいのではないかと感じた。

理系離れの原因は、教員の多様性のなさにあり

 小学校や中学での理科教育は、科学技術教育の入り口で重要な位置づけを占める。私は、理科や算数を教える人材の多様性が低く、内容が理学系の学問分野に偏りがちな傾向が「理系離れ」の大きな要因の1つだと考えている。理科や算数を教える教員は、開発現場やものづくりを経験したことのない人材がほとんどだ。この傾向は、小学校だけでなく、中学校、高校、さらに大学の教養課程まで続く。これでは、子供たちに技術開発やものづくりの楽しさ、大切さがなかなか伝わらないと懸念してしまうのだ。

 もちろん、工学系や理学系の学部出身者でも、教職課程の単位さえ取得すれば、中学や高校の理科、数学、技術などの教員になれる。だが、強い意志がないと教員を仕事として選べない。教職課程の単位は、通常の学部の卒業要件とは別に取らなければならないからだ。小学校の先生になろうと思ったら、さらなる苦労が待ち受ける。実験や研究活動で時間が割けず、途中であきらめてしまう学生は少なくない。教員採用システムの偏狭さが、理系離れの流れを加速させている。これは、戦前の師範学校から続いてきたセクショナリズムの結果なのだろう。

 教育現場の人材を多様化させ、異分野出身の教員間での意見交換を活性化させる意味で、多少なりとも、ものづくりの現場の空気を知っている教員が各学校に何人かいることが大切だ。本当に理系離れを懸念するのならば、教員免許をもっとオープンにするとともに、きめ細かな工夫が必要だろう。地域の製造業OBの特別授業枠を設けるのもいい。理系離れは、教育問題の一端でしかない。仕事の面白さを子供に伝えるプロの声を教育に取り込むシステムの重要性は、製造業に限らず、ほかの分野でも同様である。

 24日に政府の教育再生会議が報告した第1次報告では、今後5年間で教員採用数の2割以上を社会人経験者にすることを盛り込んだ。教員免許を持たなくとも、現場を経験したプロが教員になる道が広がることは歓迎すべきである。

 現在、公立校の教員採用数は年間2万人前後だから、この報告書通りに進めば、少なくとも毎年4000人ずつが社会人経験者として、教育現場に新しい風を吹き込むことになる。

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