「クチコミ広告の強力な手法はないのか」「インフルエンサーをどうつかまえるか、だよね」。なるほど。ところで、自分の会社や作っている商品の話を友達や家族とすることって、普通にありませんか?
社外と社内のブリッジは、社員である
「インフルエンサー・マーケティング」という言葉が流行って久しいです。ご存じのとおり、ターゲットを絞って影響力のある人にメッセージを発信して、彼らを通じて大勢の人に広げていくコミュニケーションの方法を指す言葉です。多くの場合、「インフルエンサー」とは、メディア関係者であったり、著名人だったり、最近では有力ブロガーなどを指します。もちろん企業や商品、業界によって、さまざまなインフルエンサーが存在します。その中でもついつい見落としがちな重要なインフルエンサーが、その企業の従業員です。
社外へのコミュニケーションの「ブリッジ」として社内でのコミュニケーション活動を見直してみると、いろいろな変化が出てきます。
とりわけ多くの社員がブログを書いていたり、SNSで活発に発言をするようになっている現在、社内における「インナー・ブランディング」は、企業文化や商品・サービスを社会へ広げていくうえでの重要なゲートウェイになるはずです。
もちろんオンライン上での発言だけでなく、取引先の人たち、家族や友人、出身校の先輩や後輩たちとのリアルなコミュニケーション機会での「うちの会社ってこうなんだよね。こんなサービスがあってね」といった何気ない言葉も、徐々に伝播していきます。
下手をすれば社外秘情報の漏洩というリスクと表裏一体な部分もありますから、慎重に考えなければならないのですが、無視することのできない重要なコミュニケーション回路であることは事実です。
この連載ではあまり自分の直接の仕事については書いてこなかったのですが、今回は私が、サイバーエージェントで関わってきたインフルエンサー・マーケティングとしてのインナー・ブランディングのことを、少しご紹介しようと思います。
赤いロゴから緑のアメーバに
もう5年以上前ですが、私がサイバーエージェントへやってきて、最初に手がけた仕事の1つが、会社のシンボルであるロゴマークを新しくすることでした。
「サイバーエージェント」という会社の知名度やブランドイメージを高めていきたいものの、マスメディアで大々的に広告を展開するような予算はない。
そこで、組織の中にいる人、つまり社員やアルバイトといった人々を介して、会社のブランドを広げていく、そんなコミュニケーションの「きっかけ」になるロゴマークをつくろう、ということになりました。
ただし、単純にカッコいい、あるいはとんがったロゴマークを作ればいい…わけではありません。実際の企業文化とかけ離れたものではなく、会社にある雰囲気、風土から自然と生まれてきた、文脈、ストーリーを持ち、なおかつインパクトを持つものであることが重要でした。
「仕事を通じて自らの可能性のかぎり成長したい」という空気が満ちているサイバーエージェントの風土から「アメーバ」というコンセプトが生まれたのです。
とはいえ、従来のロゴは赤色で「CyberAgent」の「C」「A」をかたどったもの。

そこからいきなり緑色の、ヘンテコな形のロゴになったわけですから、誰もが驚いたようです。

「アメーバのように、自由に、大きく、成長していこう、ということです」と説明をつけて社内で発表したのですが、最初は「アメーバって、なんかネバネバしてるみたいで気持ち悪い」と思った人も少なからずいました。
そのかわり「なんだか普通だな」と思った社員は少なく、「好き」にしろ「嫌い」にしろ無視はできない、会話の中で自然と話題になる、コミュニケーションの「きっかけ」としての役割は目論見どおり最初から果たしてくれました。
新しいロゴの案はほかにもいくつもあったのですが、正直、一番実現性が低いかなと思っていたのがアメーバ案でした。やはりインパクトが強いだけに、選択するには勇気がいるからです。
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