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誇りある職人、クレイモデラーたち

  • 河岡 徳彦

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2007年2月7日(水)

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 ものづくりの盛んな静岡県で今年、技能オリンピックが開催されます。競技種目には自動車に関係した打ち出し板金や車体塗装、機械製図CADなどがあります。ところが、クレイモデルの製作はありません。高い技能が求められる割には意外な気がします。マイスター制度の盛んなドイツでも、「模型制作」は職種として扱われていますが、クレイを使って自動車のデザインモデルを作るモデラー職は含まれていません。

 クレイモデラーという職種が誕生したのは米国です。大量生産に成功し、各社がデザインを競い合うようになった米国の自動車産業が、クレイモデラーを生み出したのです。ゼネラル・モーターズ(GM)の私の元上司、デーブ・ホールスが書いた本『STYLE』によりますと、自動車デザインにクレイ(粘土)を初めて活用したのは、GMの初代デザインディレクター、ハーリー・アールだったとされています。

 当初は自然材のクレイ(粘土)を使って大型のランプ等を制作していたようです。ところが、乾燥し過ぎたり、ひび割れがよく起きるという不具合がありました。そこで1926年にハーリー・アールの指揮の下、J・トンプソンが油性のクレイ(粘土)を使って、「ラサール」の1/1フルサイズモデルを作りました。この頃から、職業としてのクレイモデラーが確立していったようです。

イタリアでは見た目の美しさを重視

 現在、クルマのデザインに使われるクレイは、自然材の粘土ではなく、ワックス等のケミカル素材です。一般的なのは、米国で製造される「インダストリアルクレイ」というものです。日本では、1955年に米国のアートセンタースクールへ留学したJETRO(日本貿易振興機構)のメンバーがインダストリアルクレイとその活用法を持ち帰り、その後の日本の自動車デザインの発展に大きく寄与しました。

 一方、イタリアのカロッツェリアでは、モデル制作の材料として長らく石膏が使われていました。石膏だとデザインモデルが非常になめらかに、美しく仕上がります。石膏はその後のエポキシ系樹脂に変わるまで、長く使われていました。

 イタリアでは、クライアントの要望でクレイを使うことはありますが、他の国に比べると使う頻度は少ないようです。以前、「スケッチで腕を競ったGMのデザイナーたち」でも書きましたように、イタリアのカロッツェリアでは、スケッチで精度を高めて、それを正確にモデルに置き換えることが重視されるからです。モデルになってからの大きな変更をよしとしないのです。そのため、デザイン変更が可能なクレイをあまり使わず、見た目が美しい素材を使うというわけです。

屈強なドイツ人モデラーと言い争った

 私がドイツのオペルに在籍していた頃、モデラーの大半はもともと陶器の製作に携わっていた人たちでした。製陶とクレイモデル制作に共通しているのは、手とテンプレート(型)を使うことです。精度よくモデルを仕上げるには、テンプレートの活用が有効です。ドイツ人モデラーはテンプレートを多用します。

 ところがテンプレートを使うと、デザインの変更が制限されます。デザイン変更に伴って、それだけ数多くのテンプレートが必要になるからです。そもそも彼らは、一度作ったクレイモデルを変更することを、前提にしていません。

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