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移動より“待ち”が長い非効率

ハイテク輸送実現へ、海運業界の挑戦

  • 宮田 秀明

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2007年2月9日(金)

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 22歳、大学院の修士課程1年生の時、北太平洋を往復した。第1世代のコンテナ船「ゴールデンアロー」の第8次航海に乗船したのだ。自動操縦装置の実船実験や、実航海での船体運動の計測、操縦運動試験が与えられた仕事だった。だが、それよりも地球上で一番海が荒れる北太平洋での乗船体験の方が貴重な経験になった。

 復路、バンクーバーを出航して2日目の午後、激しい大時化(しけ)の海面に突入した。南から発達しながら北上する台風並みの低気圧に真正面から激突してしまったのだ。船長の判断ミスと言えなくもなかった。11月に入っていたので、もっと南のコースを取っていれば、この大型低気圧の下をかすめることができたかもしれない。しかし時化に突入した以上、もう我慢して突っ切るしか道がなかった。

 重さ2万トン余りの船は大揺れだ。船の上下方向の揺れ(ピッチング)の周期は7秒、揺れの角度(振幅)は7度だった。波高は7~8メートルくらい。荒れた海の波に同調して、船首が波に持ち上げられて空中に浮き上がり、次に船首が水面に落下して突入する。その瞬間、激しい衝撃(スラミング)が発生して、船体がブルブル震える。それから2~3秒すると、その時にできた水しぶきが20メートルの高さにあるブリッジを襲う。もちろん乗組員も何かにつかまっていなければ飛ばされてしまう。これがほぼ一昼夜続いた。

船が大型化し、ハイテクは完備したものの…

 最初は私も元気だった。プロの乗組員でも半数がダウンする中、私はきちんと夕食を取り、いつものように夜8~12時の2等航海士の当直勤務につき合い、当直明けの習慣になっていた軽い飲み会をこなした。両手にビール瓶とグラスをしっかり持ったままだ。しかし、翌日はもうだめだった。船酔いで気分は最悪である。外を見ても暗い空と荒れ狂う海しかない。船も人間も自然のなすがままに身を委ねながら、ただ進むしかない。

 いい経験だった。船舶設計者や船舶技術研究者でも本当のスラミングを体験した人は少ない。乗船試験などで航海に参加することはあっても、大時化のタイミングに遭遇することは稀だからである。バンクーバーから神戸に向かう「ゴールデンアロー」は、23ノット(時速44キロ)が航海速力だったが、この大時化の海面で21ノットで走っていた。目的地の神戸には数時間の遅れで入港し、無事予定日に接岸できた。

 36年前の経験である。当時のコンテナ船は750個積みだったが、今は5000個積み程度が主流で、ニューフェースは7000~8000個、最新は1万1000個積みの巨大船だ。GPS(全地球測位システム)もあるし、天気予報会社のルート選択支援システムのサービスも受けている。“荷物を運ぶ”と言うと、国内の宅配便を思い浮かべる方が多いだろうから、さぞかし効率的な運航がなされていると想像するのではないだろうか。だが、実はそうでもない。船が大型化し、ハイテクが完備されたにもかかわらず、コンテナのトレーサビリティー(流通履歴の追跡)や船の運航管理は、私がコンテナ船に乗った36年前と今とで大きな変化がないのが実情だ。

コメント4件コメント/レビュー

ETCじゃないけど、コンテナに共通規格の電子タグを付けてゲート等でスキャンして管理できないんでしょうかね?(2007/02/13)

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いただいたコメント

ETCじゃないけど、コンテナに共通規格の電子タグを付けてゲート等でスキャンして管理できないんでしょうかね?(2007/02/13)

「華麗なる一族」にも出てきて、何かと問題を起こすフォワーダ。これに限らず、確かに海外物流というのは、問題が多い。船舶が着かない、荷降ろしされた後も通関がされずに放置されたり等々。ここにメスが入って、管理が進むようになれば、確かにサプライチェーンの精度が上がって、収益にも貢献することだと思います。ネックのフォワーダをどうするか。頭が痛い問題。(2007/02/10)

海運立国日本の宮田秀明氏に期待しています”出すぎた杭は打たれない”とのことですので大丈夫でしょう!  "ますますご活躍していただきたい"と応援しています(2007/02/10)

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