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「超鼻セレブ」と「不都合な真実」に学ぶ

  • 須田 伸

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2007年2月20日(火)

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 今年は世界的な暖冬で、稼働できないスキー場があったり、一方でビールが売れたりと、各所にさまざまな影響を引き起こしていますが、花粉症の私としては、スギ花粉の飛散開始が例年よりも早いということが非常に気になっています。

 そんな中、インターネットで3000セット限定発売されたネピアの高級ティッシュペーパー「超鼻セレブ」が、2箱セット3000円という価格ながら即日完売したというニュースを大勢のブロガーが話題にしており、この値付けがクチコミ戦略だったのかどうかは不明ですが、そのバイラル効果にすっかり感心してしまいました。

鼻をかむことがイベントになる商品

 冬の終わりから春に飛散するスギ花粉が引き起こすアレルギー反応、いわゆる花粉症に悩む人にとって、鼻のかみすぎで鼻が真っ赤になるというのは、なんとも辛いことであり、屈辱的ですらあります。

 普段はティッシュペーパーの選択に際して紙質よりも価格の安さを優先する人でも、スギ花粉の飛散するこの時期だけは、多少高くとも鼻にやさしいティッシュにしたいという気持ちになろうというものです。

 とはいえ1箱あたり1500円というのは、ビックリの値段です。渋谷の会社近くのドラッグストアで売っていても、ちょっと手が出ないだろうと思います。

 しかし、ずっとこの価格のティッシュを買い続けるのは現実的ではないとしても、スギ花粉という辛いシーズンを少しでも楽しく、ポジティブに迎えるための「キックオフイベント」として、この超鼻セレブをとらえてみると、必ずしも高くはないかもしれません。

 また超鼻セレブの価格設定がもう少し低くて常識の範囲内であったなら、逆に即日完売することも、これほどまでに話題になることもなかったように思います。

 フツーでは非日常イベントにならないし、ニュースにもならないからです。

 常識を超えた驚きがあるからこそ、イベントであり、ニュース価値があるのです。

買わなくてもネタにできる強さ

 しかもブログやSNSなどで情報発信力を持った消費者がこうしたイベントやニュースに触れると、今度は自らが中継メディアとしてその情報をさらに広げていきます。

 自分のブログに書く、SNSの日記に書く、メッセンジャーやメールで花粉症の友だちに教える、などさまざま々な手段で拡散させていきます。

 また実際に超鼻セレブをブログで話題にしている人を見ると「買いました! 商品到着が楽しみです」という記事はあまり見あたらず、私も含めて実際には買えなかった人や完売後に他の人のブログやニュースを見て知った人が「すごいですねぇ。1回鼻をかんだら10円になるそうですよ」といった記事を書いているのがほとんどです。

 ブログで話題の超鼻セレブは売り切れで買えなかったけれど、通常品の鼻セレブを試しに1つ買ってみるか、そんな人もきっといるでしょう。各社から出ている高級ティッシュを買い揃えて、「高級ティッシュ使用実感テスト」を実施してブログにあげる人が出てきても不思議ではありません。職場や学校で鼻を赤くしている人をみたら「駅前でタダで配ってるティッシュじゃなくて、鼻セレブ使いなよ」とアドバイスしたり、プレゼントする人も出てくるかもしれません。

「鼻をかむ」という行為の身体性とライブイベント

 最近よく感じるのが、インターネットでたいていの情報が手に入る時代だからこそ、「実体がある」「リアルである」「ライブ感がある」といった要素が重要になってきているということです。

 ネット上で流通する情報の膨大化を見ていると、今後はあらゆる情報がデジタル化されてデータベースに格納されるかに思えますが、実際にはそうならないと思います。

 例えば、触感であり、匂いであり、空気感であり、同時体験性などは、データーベース化が難しい「情報」です。人間が肉体によって感じる情報、とりわけ非言語的な体験は、デジタル化されにくい。

 「鼻をかむ」という身体行為が持つ情報を、言語化することや、データベース化することは簡単ではないでしょう。

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