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アップリカ葛西社長 葛西得男氏

「赤ちゃんとの約束」をデザインする

  • 坂井 直樹

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2007年2月27日(火)

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ベッドタイプのチャイルドシートやベビーカーを製造・販売する。赤ちゃんの安全を第一に、医学に基づく製品作りを心がける。デザインも重視。優れたデザインの製品を年に2回発表している。

坂井: アップリカというと、赤ちゃんを寝かせた状態でクルマに乗せるベッド型のチャイルドシートで知られています。高い安全性が支持されているようですね。

葛西得男

葛西得男(かっさい・とくお)
11950年大阪市生まれ。71年追手門学院大学経済学部卒業、米国ボストンカレッジの大学院へ留学。75年アップリカ葛西入社。営業部長、営業副本部長などを経て84年専務、90年副社長。2001年アップリカを創業した父親の葛西健蔵氏の後を継いで社長に。1992年に国連環境計画の特別顧問に就任、2003年には国際小児科協会企業顧問委員会委員に任命された。1997年国連環境計画特別表彰を受賞(写真:皆木優子)

葛西: 2000年に生まれたての新生児から6歳未満の子どもにチャイルドシートの着用が義務付けられました。制度自体は、とても意義のあるものです。ところが、当時は生まれたての未熟な赤ちゃんの生体への影響を考慮したチャイルドシートの安全性を測るデータがどこにもありませんでした。しかも、行政を含めてどこにも、あらゆる事故を想定した実験設備がなかったのです。赤ちゃんをだっこした状態で車に乗る危険性は誰にでも分かる。では、チャイルドシートに乗せさえすれば安全なのか、疑問があります。そこで、当社は新生児のダミー人形を作り、前面衝突や追突など様々な衝撃を測定できる研究施設を奈良に建てました。

坂井: いす型のチャイルドシートに新生児を座らせていると血液中の酸素量を示す「酸素飽和度」の低下につながると訴えています。

チャイルドシートだけでなく、ベビーカーと
抱っこひも「スリング」もベッド型を採用する

葛西: 赤ちゃんはまだ首が据わっておりません。背骨もしっかりしていない。そんな赤ちゃんをいす型のチャイルドシートに座らせると、頭が前に傾いて気道閉塞の恐れがあります。また、赤ちゃんを強く揺さぶることで脳の血管が切れ脳内出血を起こすことを、揺さぶられっ子症候群と呼びます。いす型のチャイルドシートに座らせて発進・停止を繰り返すと、赤ちゃんは頭が大きいうえに首が据わっていないため頭が前後に大きく揺れ、揺さぶられっ子症候群と酷似した症状を発症する危険性も考えられます。実際にそう診断されたケースもあるんです。ですから、当社の商品はベビーカーも、ファッション性から人気の高い抱っこひも「スリング」もベッド型を採用しています。

坂井: ベビー用品には、医学の視点が重要なんですね。

葛西: 「三つ子の魂百までも」と日本では言いますが、我々が調べたところ、世界80カ国で同じ言い伝えがあります。また、米国のカー・モースという学者が犯罪者の経歴を調べたところ、幼い頃に虐待を受けた人が非常に多いことが分かったんです。0歳から3歳までの育児が非常に重要なんですね。当社は、その大切さを昔から訴えている愛育病院名誉院長の内藤寿七郎博士の「育児の原理」を根本にビジネスを展開しています。ですから当社のポリシーは、まず「医学」が来ます。その次にそれに根ざした工学が来て、そのうえにデザインが位置します。

坂井: 想像していたよりも、専門性の高いビジネスですね。設備投資もかなり必要なのではないでしょうか。

新生児のダミー人形と研究所内の衝突実験場。センサー付きのダミー人形を持つのは世界でアップリカ葛西だけ

葛西: ダミー人形は5カ所にセンサーを備えており作成するのにおよそ1億円かかりました。センサー付きの新生児のダミー人形を持っているのは世界で当社だけ。自動車メーカーも持っていません。こうした設備を使って、国内外の大学と提携して研究しています。

 企業ですから、もちろん利益を求めないといけませんが、赤ちゃんによくないもので得た利益などいりません。利益は、赤ちゃんの安全を考えた結果、得られるもので、その利益はさらに赤ちゃんの安全の研究に還元していくのです。これは、言葉を発することのできない赤ちゃんとの約束です。赤ちゃんに悪いものは一切商品にしません。

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