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全体最適の経営を実現するには

  • 宮田 秀明

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2007年3月2日(金)

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 私の愛用車は、1999年製の日産スカイライン。2ドアのターボ車である。これがすこぶる気持ちいい車なのである。今のところ、ほかの車に乗る気持ちが起きない。

 私は、学生時代に自動車部に所属していたほどのクルマ好きだ。学生のラリー大会で3試合連続で優勝したこともある。走り屋の私にとって、現在の愛車は全体最適された車である。車体、エンジン、サスペンション、操縦装置、個々の要素それぞれの性能はもちろん優れているけれど、それ以上に全体の組み合わせが絶妙なのだ。

 でも、このクルマはあまり売れ行きが芳しくなかったようだ。自動車メーカーにとって、私はかなり特殊な顧客だったらしい。全体最適で設計するのはとても難しい。とがった嗜好の顧客に愛されることがヒットにつながることも少なくないが、やはり多くの顧客に対して快適な全体最適の設計をすることがヒット商品開発の近道だろう。

システム全体で最高の性能を引き出す

 この連載を通して、この「全体最適」という言葉を繰り返し使ってきた。技術開発でとても重要な位置を占める言葉だと考えているからである。商品を1つのシステムと考えた時、それを構成する要素として最高の技術をただ単に寄せ集めても、最高の商品が生まれるとは限らない。システム全体として、最高の性能を引き出すようにまとめ上げるのが全体最適の設計だ。

 普通の乗用車ならば、エンジンや車体などの構成部品が優れていれば、それを組み合わせた最終形も、そこそこは優れた商品になる。普及型ならば、かつてはそのように設計することもあっただろう。だが、最近の乗用車では、目の肥えたユーザーにこのような設計が通用しなくなっている。車体とエンジン、サスペンション、制御装置、内装を組み合わせた全体としてのシステムが素晴らしい性能を発揮し、同時にクルマに乗る人に快適・快感を与えなければならない。

 最近では、スズキ(7269)の世界戦略車「スイフト」がいい例だ。初代のスイフトは小型車としてコストパフォーマンス中心の設計だった。それでも売れたのだが、2代目は、欧州マーケットをターゲットにして、素晴らしい操縦・運動性能を併せ持つ全体最適設計に力を注いで大ヒットした。

 自動車レースの「F1」や、ヨットレースの「アメリカズカップ」のような世界最高峰のレーシングカーやレース艇は、全体最適設計の究極である。それは、レースが1%の性能差を競うものであるからだ。例えばヨットでは、船体とセール、キール、舵のそれぞれで1%優れた性能の部品を組み合わせても、必ずしもライバルよりも1%速いレース艇にはならない。しかも、この1%の速度差を生む条件は、レースを行う海の条件、つまり波と風によって変わる。F1の場合はサーキットの条件によって異なる。使われる環境条件も含めて優位性を確保しなければならないのだ。

 これはビジネスでも同じである。移ろいやすい未来のマーケットを予測しながら、競争力のある技術開発戦略を練らなければ勝利することはできない。つまり、企業経営のテーマも全体最適なのである。

コメント11件コメント/レビュー

最適化というのは、ある評価関数を設定して、それの極大・極小値を得ることだと思う。なので、評価関数の設定次第で如何様にもできるものだと思う。ただし、大多数が納得できる評価関数ももちろんあるわけで、その場合が筆者の言う「全体最適」になり、個別の評価関数に違いによるものがコメントにあるよう「ばらつき」になるのだろう。筆者とコメント者とで差異があるようには思えないのだが。(2007/03/05)

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いただいたコメント

最適化というのは、ある評価関数を設定して、それの極大・極小値を得ることだと思う。なので、評価関数の設定次第で如何様にもできるものだと思う。ただし、大多数が納得できる評価関数ももちろんあるわけで、その場合が筆者の言う「全体最適」になり、個別の評価関数に違いによるものがコメントにあるよう「ばらつき」になるのだろう。筆者とコメント者とで差異があるようには思えないのだが。(2007/03/05)

メーカーのスタンスのよっては、必ずしも「全体最適」にも標準偏差の中でのバラツキ程度はあるはずだと思います。車でいえば、多少燃費が悪くとも、走りを優先するクルマづくりを志向するメーカーは実際にあるわけだし、全てのメーカーが同じ「全体最適」を志向したら、コンシューマー無視になってしまいます。環境への優しさを追求するというある程度の制約は当然あるにしても。コンビニのIT活用は、大数の法則に従った単純化が容易のだという要因は大きいと思います。多くのメーカーは、そんなに単純化は簡単なことではないし、単純化してはいけない側面もあると思われます。(2007/03/05)

他の人も書いていたように、タイトルと内容がちょっと違う気がします。危うく読みそこなうところでした。最適化は難しい問題だと思います。まわりでもこの言葉が変に独り歩きし、目的を見失うケース(本来の新商品の検討や、企業の独創性を損なう)があります。このテーマをもっと掘り下げてもらえるとありがたいです。(2007/03/03)

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