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ご主人様を魅力的にする道具とは

NTTドコモのケータイに見る「日本的仕草」の表現

2007年3月5日(月)

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 格式の高い、とある茶会のシーンをイメージしてください。しわぶき一つたたず、シュンシュンと釜から昇る湯気の音だけが聞こえてくる凛とした空間。あなたはそこに並んで座るやんごとなき淑女の1人です。

 その時、突如、携帯電話にどうしても出なくてはならない瞬間があなたに訪れる。そんな場所に携帯電話を持ち込むなんて非常識な・・・というツッコミが聞こえてきそうですが、無理な設定を承知であえて想像してみてください。さて、あなたは和服の懐から取り出した携帯電話を、どのように開き、どのように耳にあてがうでしょうか。

 私が何人かの女性からヒヤリングした結論はこうです。まず、両手を添えて大切な蒔絵の文箱を開くように携帯電話を開きます。そして、しずしずと耳にあてがう。大切なのは、携帯電話を持っていない方の手の行き場所です。恐らく、空いた方の手も携帯電話に軽く添えるのではないでしょうか。

 日本文化における丁寧で上品な行動様式は、両手を添える形がほとんど。日本人は、名刺も両手で差し出します。両手を使うというのは、その物が自分の一部であり、動きに「心を込めた」という意味合いを含める気持ちの帰結なのでしょう。今回は、こうした両手添えに見られるような道具を使う時の“動作”をキーワードにニッポン的ものづくりの強みを探る試みをしてみたいと思います。

女性を美しく見せる携帯電話

写真1
NTTドコモの「D702iF」 (写真:稲垣 純也)

 動作と聞いて気の利いたメカ系の技術者であれば、ピンとくるでしょう。そう、機構系やデザインといったメカの出番です。道具そのものではなく、道具の使い手を美しく(格好よく)見せる――。これは既にファッション業界では当たり前のことかもしれません。では、家電や自動車、日用品などで使い手の仕草を演出することはできるでしょうか。実は、これからの技術開発でこの視点は隠れた重要トピックスになっているのです。

 大和撫子を愛でる「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」というフレーズがあるように、仕草や立ち居振る舞い、つまり動作は、女性の魅力を表現する真打ちと言ってもよいでしょう。

 化粧や衣装は急ごしらえでしのげても、所作をごまかし切ることは容易ではないのです。会釈の仕方や、書類の手渡し方、廊下で道を譲る時のちょっとした身の こなし、などなど…、ポイントは「身についている何気ない動き」です。化粧やスタイルなどが静止画だとすると、動画でしか説明できない類の言葉です。

写真2
幾田 桃子(いくた・ももこ)氏
「Le charme de fifi et fafa(ル・シャルム・ドゥ・フィーフィー・エ・ファーファー)」(東京・南青山)のオーナー兼デザイナー。米フィーフィー・エ・ファーファー代表取締役。1976年生まれ。南カリフォルニア大学(USC)で女性学と国際政治学を専攻。2001年に米フィーフィー・エ・ファーファー設立。同年秋に米国で高級子供服ブランドを立ち上げ、2003年に東京・南青山に路面店をオープン (写真:花井 智子)

 冒頭で登場した携帯電話は、その名の通り常に身につける機器です。今や、それなしでは生活が成り立たないほどに、生活に密着しています。この携帯電話で、女性の仕草に着目した商品があります。NTTドコモが昨年の秋に発売した「D702iF」です。開発したのは三菱電機。デザインやコンセプト作りに取り組んだのはファッションデザイナーの幾田桃子さんです。NTTドコモの企画担当者によれば、コンセプトの時点から顧客層を大人の女性に絞ったと言います。

 最大の特徴は、その外観です。コンセプトは「持っていることで女性の仕草が美しく見えること」。従来よりも一回り小さい寸法の筐体が持つ柔らかい曲線は、マーキスラインと名づけられています。手の小さな女性が持ちやすいという機能性だけでなく、通話中の横顔や、携帯を持つ指先の稜線と調和して美しく見せることを狙った形状です。

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「ご主人様を魅力的にする道具とは」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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川野 幸夫 ヤオコー 会長