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彼らが日本企業を選ばなかった理由

就職を決めた学生たちが話す本音

  • 宮田 秀明

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2007年3月9日(金)

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 景気は回復基調にあるようだが、まだ日本は自信を回復するまでには至っていない。今の日本が経済的に世界を牽引していると感じる方はそう多くないだろう。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする発展途上国が急速に存在感を増していることや、高度経済成長のシンボルだったエレクトロニクス産業の国際競争力に疑問符がついていることなどが、日本の復活を印象づけられない背景にある。

 日本の頭越しに物事が進むジャパンパッシングは、様々な分野でどんどん進行している。国際物流では、日本に国際ハブ港がなくなって久しい。EU(欧州連合)や北米向けのコンテナ船で日本に寄港するのは10~30%に過ぎない。例外はあるが、以前このコラムでも書いたようにアジア諸国では優秀な学生が日本を留学先に選ばない傾向がある。

 小手先の改良をいくら重ねても、今の日本軽視は止まらない。流れを変えるために、私が最も重要だと考えているのは人材力の強化だ。時間はかかるかもしれない。だが、だからこそ、今始めなければならない。日本には、優秀な経営者も数多くいるが、全体の平均値を取ると、その国際競争力は決して高くない。社員の勤勉な努力によって、少ないながらも利益が出ているのが現実なのに、自分の経営が優れているからと勘違いしている経営者も見かける。このような企業は人気がなくなり、目指す新入社員の質は次第に低下し、人材力を失って衰退していく。

 早く権限委譲して、いかに次の世代に任せるか。これは企業経営における大きな課題であると同時に、日本全体の課題でもある。新しいビジネスモデルや商品を創造できる人材を育て、そうした人を経営者にしなければならない。「そんなことを言われても、権限委譲できる優秀な若手がいないのだ」と嘆く向きもあるだろう。それは人材育成を怠ってきたことのツケに過ぎないことが多い。

起業を志したA君と、外資系を選んだB君

 実践的な人材育成をすれば、ほとんどの若者は必ず育つ。

 現在、私の研究室では、新しいビジネスモデルの開発を大きな目標にしている。5人の教育スタッフと二十数人の学生が、電力、書籍、通販、国際物流、社会システムといった分野の研究チームを構成し、ビジネスモデルの創造という目標に向けたプロジェクトに取り組んでいる。

 実は、私の研究室には博士課程の学生がいない。私が進学を勧めないからである。早く社会に出て、その後で博士号の取得を目指した方がいいと説明している。だからチームを構成するメンバーは、学部の4年生と修士課程の学生ばかり。企業で言えば、入社2~3年目までの若手社員で構成されたプロジェクトチームである。

 こうした社会をほとんど知らない学生集団でも、新しいビジネスモデルの創出に成果を上げつつある。研究テーマの3分の2ほどが産学連携プロジェクトだ。企業と一緒に現場から始まり、現場で終わるプロジェクトを経験することで、若い学生たちは乾いたスポンジが水を吸うように見違えるように成長する。

 人を育てるためには、権限を与え、責任とリスクを負わせ、成功に対してインセンティブを与えることが基本である。日本型企業では、人が最も成長する20~30代に定型的な仕事に張りつけたままにしたり、権限やインセンティブも与えないまま責任とリスクだけを負わせるような実態が多くはないか。だから、優秀な学生ほど、日本型企業に見切りをつけ、外資系企業やベンチャー企業を目指す。社命留学でMBA(経営学修士)を取ってきた優秀な人材が離職するのも同じ理由だろう。

 3月に入り、外資系企業やコンサルティング企業、商社などの就職戦線は既に終盤に入っている。製造業も山場を迎えているところだ。私の研究室には、就職活動中の修士課程1年生が8人いる。昨年11月以来、大学にはめったに顔を見せず、消耗戦のように就職活動を行ってきたのだが、そのうちの2人が就職先をほぼ決定した。「企業での経験も役に立つよ」という私の助言の効果がなく、自ら起業することを決意したA君、外資系企業で財務・経理リーダーシップ養成プログラムに内定したB君である。いずれも大変優秀な学生だ。この2人に就職に対する考えを聞いてみた。今どきの学生の声をお伝えしたい。

コメント120件コメント/レビュー

この記事より岡野雅行さんについての記事の方がはるかに心に沁みた。(2007/03/26)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

この記事より岡野雅行さんについての記事の方がはるかに心に沁みた。(2007/03/26)

先生が引用された学生どもの青臭い意見に反対はしない。私が納得できなかった、論理的飛躍が感じられたのは、解決策としてエリート養成プログラムや、志望や適性別のコースを例示した先生の感覚の方です。また、AB両君は、リーダーシップとか、今の会社を何とかしたいと述べるが、その背景としてコメントしている(引用されている)内容は、会社を利用して“自分が得をしたい”、“自分が自己実現したい”、自分が自分が自分が…。若者を搾取しているという今の馬鹿経営者どもと何が違うというのか、私にはメッセージが届かなかった。私が採用担当者の立場で、彼らを面接し、彼らの意見を聞いたなら、彼らを非常に優秀と評価はするだろうが、将来を担う人材として期待できない。折角優秀な地頭を得た人たちなのだから、この点についても考えてもらいたい。会社ななぜ君たちに簡単に権限を付与しないのかを。(2007/03/19)

最初のコメントを寄せた方には是非「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 」を読んでいただきたい。日本のいわゆる「成果主義」がイビツな年功序列であり、本来の成果主義とは正反対なものであることが理解できると思います。(2007/03/19)

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三品 和広 神戸大学教授