3月18日、関東近郊の私鉄・地下鉄・バス会社が共通IC乗車券「PASMO」のサービスを開始し、同時に電子マネーサービスの展開も始まった。これまでJR東日本の「Suica」だけではカバーできていなかった、首都圏の私鉄沿線まで交通系電子マネー加盟店が拡大していくため、非接触IC電子マネー市場の拡大に大きく寄与すると見込まれる。
図1 非接触IC電子マネー決済と非接触ICポストペイ決済の市場規模
(出所)NRI
PASMOやSuicaだけでなく、「Edy」「iD」など、主として3000円程度以下の決済で利用することを想定した、非接触ICカードを用いた新しい決済手段が注目されている。これらの決済手段については、まだ厳密な定義や区分は存在せず、「電子マネー」「仮想マネー」「モバイルクレジット決済」「おサイフケータイ決済」など様々な呼称が存在している。ここでは、「Edy」「Suica」のようなプリペイド方式で非接触ICを採用した決済方式を「非接触IC電子マネー決済」、「iD」「QUICPay」「Smartplus」「PiTaPa」に代表されるような、ポストペイ方式で非接触ICを利用する決済手段を「非接触ICポストペイ決済」とし、両者を併せて「非接触IC決済」と呼ぶことにする。
野村総合研究所(NRI)では、2006年に1800億円規模であった非接触IC決済市場が、5年後の2011年には2.8兆円まで成長すると予測している(図1)。特に2007年は、以下に述べる通り、今後の市場を占ううえで非常に重要であると同時に、加盟店各社がその活用の方法を検討するうえでも非常に重要な年になると考えている。
PASMOとセブン&アイの参入で競争が過熱する電子マネー決済
非接触IC電子マネーの領域は、現時点ではEdyとSuicaが市場を二分しているが、今後多くの新規参入が発表されている。
上述の通り、2007年3月18日にPASMOのサービスが始まった。関東一円の私鉄、バスで共通に利用できるため、乗降者数の規模ではJR東日本を上回るサービスとなるが、乗車券・電子マネーとも、Suicaとの相互利用が可能となっており、Suicaがそのまま利用できる。そのため、PASMO単独の利用者の増加数は、Suicaほど急激なものにはならないと予想される。しかし、Suicaの利用者にとっては利用可能な範囲が広がることから、PASMO、Suicaを合わせた決済市場は拡大していくことになる。
2007年春には、セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)が、独自のポイントカード一体型電子マネー「nanaco」のサービスを開始する。傘下のセブン-イレブン全店へ一斉導入され、イトーヨーカドーなど他のグループ店舗にも順次導入される予定となっており、一気に利用者数を伸ばす可能性がある。また、セブン&アイは、サービス開始当初から「おサイフケータイ」へ対応するほか、他の非接触IC決済についてもすべて利用できる環境構築を進めており、非接触IC決済市場の拡大に大きく寄与すると考えられる。
イオンも、傘下の店舗でSuicaとiDによる決済を導入したほか、2007年中に銀行業へ新規参入し、電子マネーサービスを開始する計画を発表している。2008年以降も、JR各社や、首都圏、関西圏以外の私鉄・バス各社でのIC乗車券の導入が計画・発表されている。
このように、鉄道事業者の相次ぐ参入や、コンビニ、スーパーマーケットなどが独自にサービスを開始することが明らかになってきている。その中でも、セブン&アイ、イオンという2大流通グループが、相次いで電子マネーサービスを開始する2007年は、非接触IC電子マネー市場の今後の行方を大きく左右する年となる。
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