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デザイナー個人の感性がヒットを生み出す

  • 河岡 徳彦

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2007年3月28日(水)

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 カーデザイナーは、どのようにデザインの発想を膨らませるのでしょうか? そしてその発想はメーカーの中でどのように商品化されていくのでしょうか? 私が勤めた国内外のメーカーでの体験を基にお話ししたいと思います。

 私が勤めていた1970年代後半の米ゼネラル・モーターズ(GM)では、デザイン部門のトップであるデザインディレクターに権限が集中していました。現在のGMでも基本的には変わらないと思いますが、すべての権限がトップに集まるような組織構成になっていたのです。

個人の趣味をデザインのトレンドに

 特に58年から78年まで2代目デザイン担当副社長を務めたビル・ミッチェルは、「キング」とも呼べるほど強大な権力を持っていました。様々なカスタム車や趣味のバイクなど、自分で乗りたい車をデザイナーたちにデザインさせるのです。そして実際にそれらを通勤に使用したり、「デイトナ500」レースのイベント等に展示して、カスタマーの反応を確かめていました。その時代だから許されたとも言えますが、彼は今で言う「クリニック」を個人的に実施していたのです。

 米国人の好みに対するビル・ミッチェルの感性は鋭いものでした。ビル・ミッチェルの発想から生まれ、その後、デザインのトレンドとなったものがたくさんあります。例えば刺青のようなグラフィックがそれです。

 有名なのが「ポンティアック・ファイヤーバード」のボンネット上に翼をいっぱいに広げたグラフィックです。元々は、先のコラムで紹介したGMの優秀なデザイナー、ジョン・ゲーブル(「スケッチで腕を競ったGMのデザイナーたち」を参照)がボンネットに腹ばいになりながらカッターナイフで掘り込み、デカールで仕上げたものでした。

 これはオートバイのトレンドをカーデザインに持ち込んだ例です。ビル・ミッチェルは、自分の好きなカスタムバイクの趣味を、米国人の喜ぶ刺青風のグラフィックにして車に取り込みました。つまり、あくまでも個人的な趣味や好みをベースにアドバンスデザインを行い、そのエッセンスを量産車に反映させたのです。

 米フォード・モーターの3代目デザインディレクター、ジャック・テルナックは、ビル・ミッチェルほどの個人的な振る舞いはしませんでしたが、空力実験車の制作を数多く試みていました。それらを商品化するために独フォードのデザイン部門に引き渡し、現地のスタジオでさらに洗練させるというプロセスを実施していました。米国ではカスタマーの関心が低かった空力デザインを、燃費や効率性がシビアに問われるドイツで実施して、その成果を再び米国のマーケットに持ち込むという手の込んだ方法です。

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