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技術伝承で2007年問題は解決しない

ビジョンあるプロジェクトで経験を積ませよ

  • 宮田 秀明

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2007年3月23日(金)

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 南国四国の出身なのでスキーというスポーツには馴染みがなかった。初めてスキーに行ったのは、大学院の1年生の終わりのことである。誘ってくれたのはワンダーフォーゲル部の友人だ。

 「俺が教えてやるから大丈夫だよ」

 この言葉に安心して、ついていくことにした。

 新潟県の妙高高原にある池の平スキー場に着いて、彼は約束通り、私にスキーを教えてくれた。狭い緩斜面で、何度か滑ってみた。そうして5分ばかりたって彼は言った。

 「それでいいよ。うまいじゃない。じゃーな」

 呆気に取られる私に背を向け、そう言い残して彼はほかの仲間のところへ向かった。

 その後、社会人になってから数年間、年に数回は滑りに行っていたのだが、技術は自己流の間違いだらけで、止まろうとした時にスキーの先端が斜面の上に向かってしまうようなありさまだった。スポーツでは、基本をしっかり学ぶことが大切だとつくづく感じた。

“MBA”は、どこまで役に立つのか

 それでは、経営はどうだろう。やはり基本をしっかりと学ぶことが大切なのだろうか。

 カナダのマギル大学、ヘンリー・ミンツバーグ教授の近著『MBAが会社を滅ぼす』(日経BP社)は面白かった。日本版の表題は少し刺激的過ぎるかもしれない。原題は『Managers not MBAs』である。つまりテーマは、マネジャーをMBA(経営学修士)教育で育てることが可能だろうかということだ。そのための苦心物語と見ることもできる。

 米IBMの中興の祖、ルイス・ガースナー氏は、日本経済新聞の「私の履歴書」でこう書いていた。

 「ハーバード大学のMBAに行ったが、それが、私の経営に役に立ったかどうかは不明だ」

 日本の優秀な経営者のことを考えてみよう。もちろん、最近は米国でMBAを取ってきた経営者は増えている。でも、MBA取得者はまだ、恐らく少数派だろう。多くの経営者は実践派である。MBAどころか、学歴さえ経営の実力には関係がないのかもしれない。

 実践派の中でも、特に優秀な経営者になるのは、やはり新しいプロジェクトや仕事に挑戦する方々だ。こうした状況を見ると、経営者を育てるためには、教育より実践の方がはるかに貴い経験になるのである。もちろん、土台となる基本は大切である。若い伸び盛りの人たちに、学校や社員研修などで教育の機会を与えるのはいいことだ。しかし、もっともっと大切なのは、土台の上に積み上げる経験である。そのためには、新しいプロジェクトに挑戦する実践の場を用意しなければならない。すべての人は実践で育つ。

コメント12件コメント/レビュー

船舶工学に製図の時間が多くあり、設計の授業が主だったのは、戦後でも造船会社出身の教授が2名おり、設計を教えていたからです。それが鋲から溶接構造に変わった時に、会社の長老達は溶接を知りません。その時に、製図の時間を減らすべきでしょう。この東大での問題が、社会の変化に乗り遅れているサンプルです。いま、技術の伝承と言っていますが、今更言わなくても、この様な実例は多くあります。何で、今になって大騒ぎをするのか疑問を感じています。宮田さんなら、もう少し相違した面からの切り口を期待していたのに残念です。(2007/03/25)

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船舶工学に製図の時間が多くあり、設計の授業が主だったのは、戦後でも造船会社出身の教授が2名おり、設計を教えていたからです。それが鋲から溶接構造に変わった時に、会社の長老達は溶接を知りません。その時に、製図の時間を減らすべきでしょう。この東大での問題が、社会の変化に乗り遅れているサンプルです。いま、技術の伝承と言っていますが、今更言わなくても、この様な実例は多くあります。何で、今になって大騒ぎをするのか疑問を感じています。宮田さんなら、もう少し相違した面からの切り口を期待していたのに残念です。(2007/03/25)

先生がおっしゃていることにはとても納得感があります。ただし、私が従事しているソフトウェア開発の世界では2007年問題は、その世代の優秀な技術者の技術が伝承できないことではなく、古い技術と開発方法しかしらない世代が、大量に会社の中に残っていることなのです。ソフトウェアの世界は技術進歩が激しく、年齢を重ねることが知識と経験を深めることで役に立つのではなく、そういう新しい技術や知識に追いつけなくなる社員が次々に発生するという世界になっています。もちろん経営という世界ではソフトウェア開発の世界でも先生がおっしゃるとおり、経験を積んで暗黙値化していくことは大変重要なことです。(2007/03/24)

宮田っちが今回のコラムで言わんとしとるのは、経営や設計のような「実践知」が大事な分野に限定して「教育より実践」という話やな。それなら納得やわ。プラグマティズムの国アメリカと違うて、ヨーロッパの一流大学でMBAの課程がなかなか設立されなかったのは、そんな実学はアカデミックでねえって発想があったせいやからな。要するに、経営や設計なんてもんは、大学で教えるものでねえちゅうことやな。宮田っちよ、それは東大教授の自己否定やろ。民間を知らない人間が大学で設計を教えられねえつうより、設計を教える人間が大学にいちゃいけねえってことやからな。(2007/03/24)

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三品 和広 神戸大学教授