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新米副館長、ミュージアム経営奮闘記(3)
~科学少年少女が夢見る「甲子園」になりたい

  • 中島 義和

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2007年4月4日(水)

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 日本科学未来館に着任して半年が経った。経営課題もはっきり見えてきた。

 第1に、企業で言うと商品・製品に当たる展示物(常設展示・特別企画展示)を、どのように質の高いものに作り上げていくか。この半年間にわたって館内でずいぶん議論をした。限られた小グループからの企画立案では、アイデアが枯渇しやすいという指摘もあり、もう少しオープンで幅の広い議論ができるプロセスを取り入れることにした。

 この展示を作り上げていくプロセスを検討する際には、私自身が過去経験した自動車の商品開発のプロセスがとても参考になった。テーマを探す科学技術スペシャリストと、それを展示コンセプトに落としていく展示手法スペシャリストの協働は、トヨタ自動車や独BMWにおける開発エンジニアとカーデザイナーの関係を想起させた。

来館者を増やしたい、だが増えすぎるのも問題

 第2に、企業で言うと売り上げに当たる入館者数をいかに増やしていくかという課題である。未来館は2001年にオープンし、初年度42万人の入館者からスタートした。翌年以降、58万、62万、63万、71万人と着実に入館者数を伸ばし、本年度(2006年度)は75万人を超えそうである。

 通常、この種の博物館、あるいはアミューズメントパークの例を取っても、開館2~3年目までは入場者は増えるが、その後はリピート客の減少に伴って低下していくのが一般である。その意味では、開館以来6年連続右肩上がりというのは、驚異的なことだとも言える。

 しかしこれは大きな課題とプレッシャーを未来館に与えている。当然ながら入館者数という数値目標は経営指標の1つの柱である。だが一方で、未来館は国立のサイエンスミュージアムとして「先端科学技術の理解増進拠点」というミッションを持つ。

 現状では平日で1500~2000人、土日祝日で3000~4000人の入館者に来ていただいている。だが、これ以上入館者が増えると、十分な解説ができるのか、十分に理解、満足して帰っていただけるのかという心配が出てくる。入館者が増えた場合、特に土日の対応方法の改善とシミュレーション、あるいはインタープリター(解説員)の増強などを念頭に入れながら、数量(入館者数)と質(満足度・理解増進度)の最適解を求めなければならない。

 未来館の集客に関して言うと、毛利衛館長の果たす役割を考えないわけにはいかない。未来館の人気を支える大きな要素が、知名度抜群の毛利館長の存在である。宇宙飛行士でもある毛利館長が出演する未来館主催のイベント・講演は、いつも館の内外を問わず超満員で、現場の企画担当としてはぜひ毛利館長を引っ張り出したいという思いが強い。毛利館長がいなかったら未来館はここまで来なかったという指摘は、まさにその通りだろうと思う。その意味で、未来館は館長の知名度に少し頼りすぎというアキレス腱を持つ。

 このことについて毛利館長と話し合う機会があった。毛利館長自身も状況を正しく認識しており『私も永遠に館長でいられるわけがないのだから、ポスト毛利のシステム、プロセスを考えておいてください』と言われた。そうは言われても、余人をもって代えがたい人物だけに、あと最低5年はいてもらうという前提(私の個人的希望)で中期的課題としてじっくり検討することとした。もちろん毛利館長に過大な負担をかけるのは、今すぐにでも改めることとしたい。

コメント2件コメント/レビュー

中島さん私はMiraikanで2年間ボランティア活動をしている社会人です.隔週日曜日に活動していますが,中島さんにお会いしたことがいままで一度もありませんでした.土日には有職者のボランティアも多く活動していますし,いきなり飛び込み営業でパートナー企業を探すよりも,ボランティアに聞いてみた方が話は早いと思いませんか?また,ボランティアは各人各様ですが,展示解説だけではなく,科学技術スペシャリストやインタープリターが行っているアクティビティにも率先して活躍の場を求めている方も多いはず.残念ながら,いまの未来館にはそのようなチャンスがないので,外部でボランティアの名を伏せて活動しているケースも散見されます.組織に横串を入れるような改革をしていかないと,なかなか難しいのでしょうが,スタッフと同様,ボランティアに対しても「科学コミュニケーター」としての活躍の場が与えられてこそ,Miraikanの存在価値が高まると思うのですが,いかがでしょうか.一度,どこかで直接お話しできる場があればよいのですが.(2007/04/05)

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中島さん私はMiraikanで2年間ボランティア活動をしている社会人です.隔週日曜日に活動していますが,中島さんにお会いしたことがいままで一度もありませんでした.土日には有職者のボランティアも多く活動していますし,いきなり飛び込み営業でパートナー企業を探すよりも,ボランティアに聞いてみた方が話は早いと思いませんか?また,ボランティアは各人各様ですが,展示解説だけではなく,科学技術スペシャリストやインタープリターが行っているアクティビティにも率先して活躍の場を求めている方も多いはず.残念ながら,いまの未来館にはそのようなチャンスがないので,外部でボランティアの名を伏せて活動しているケースも散見されます.組織に横串を入れるような改革をしていかないと,なかなか難しいのでしょうが,スタッフと同様,ボランティアに対しても「科学コミュニケーター」としての活躍の場が与えられてこそ,Miraikanの存在価値が高まると思うのですが,いかがでしょうか.一度,どこかで直接お話しできる場があればよいのですが.(2007/04/05)

自分は技術職をしている40代です。とてもいい話をありがとうございます。「...小中学生の輝く目を見ていると、私は自分の子ども時代を思い出す。」の一言に遠い昔を思い出しました。小学校4年生以上が参加資格だった電子工作のクラスに当時2年生だった自分はどうしても参加したく、初老白髪の温厚な科学館の館長お願いにしにいったら、「君は半田付けはできかね。できるならどうぞおいでなさい」とニッコリ。心から嬉しくて深々頭を下げた日を今でも思い出します。現役引退後は、わたしも子どもたちの科学へのいざないに関わる仕事/ボランティアに加わりたいと思っています。科学への興味のリレーのバトンを渡すために。(2007/04/04)

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