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データセンターのムリ・ムラ・ムダを取り除く

  • 横浜 信一

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2007年4月23日(月)

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 米マッキンゼーのビジネステクノロジーグループでは毎年暮れに主要企業のCIO(最高情報責任者)やIT(情報技術)担当の役員に向けて「来年の主要テーマは何か?」というアンケート調査を行っている。今回の調査では、72人の主要企業CIOに対して調査を実施した。

 前回の調査では、サーバー統合と仮想化、SaaS(Software as a Service)活用の2つが新しいトレンドとして浮かび上がった。今年はさらにこれらへの意欲が高まり、前者は前回38%から72%へ、後者は38%から61%へと明らかな伸びを示している。その意味で、本調査は今年だけではなく来年以降に本格化していくトレンドの先行データとしても活用できる。

 今回の調査からは、2つのテーマが新しくCIOの関心事として浮かび上がってきた。その2つとは、「SOA(Service-Oriented Architecture)への移行」と「データセンター運用へのリーンアプローチの導入」である。

 SOAについては既に各所で解説されているので簡単に述べるにとどめるが、64%の回答者が今年中にSOAの実装を開始したいと述べている。この背景には、ウェブ型サービスの浸透、それに伴う企業内外にかかわる業務プロセスの標準化ニーズが現実化していることが想定される。「Service Oriented」という表現ゆえに英語圏においてすら正しい理解が妨げられてきたSOAであるが、ここに来て「アプリケーション間の相互コミュニケーションをシンプル化する」という本来の価値に対する理解が深まり、実際に活用したいという企業が増えてきているようだ。

 もう1つの「リーンアプローチ」は耳慣れない言葉かもしれない。事実、今回の調査でもこれをテーマに挙げたCIOは回答者の28%に過ぎず、まだ一般的には広まっていないコンセプトだと言える。

 英語の辞書で「リーン(lean)」を引いてみると、「やせた」「脂肪分の少ない」などの訳が出てくる。試しにウェブ上の百科事典「Wikipedia」を調べてみたところ、映画監督の名前として紹介された後、「lean manufacturing」として、製造業における生産方式として解説されていた。製造業において開発されたこのオペレーション方式(トヨタ生産方式が元祖とも言われる)をデータセンター運用に生かそうというのが、今回のテーマである。

様々な業界に広がるリーンアプローチ

 リーンの考えは「ムリ、ムラ、ムダの排除」という言葉によく表現される。「ムダ」とは不必要な生産活動であり、生産工程全体の生産性を高めるためにはムダをなくすことが求められる。ムダをなくすためにはどうすればよいか? それには活動をいかにスムーズに遂行するかがカギとなる。そのためには活動レベルの「ばらつき(ムラ)」をなくすことが求められる。さらに、ムラの発生原因はどこにあるかを突き詰めていくと、人材や機械の自然なキャパシティーを超えた活動が強いられているケースが多い。すなわち、「ムリ」である。こうしたムリ、ムラ、ムダをできるだけ少なくしていこうというのがリーンの基本的な考え方だ。

 実際にビジネスを展開していく中で、ムダを完全になくすのは困難である。自分でコントロールできない形で需要は変動するし(ムラは不可避)、多少のムリをしないとビジネスチャンスを失いかねない。それでも、リーンの発想は多くの業界で応用されてきている。例えば米デルが競合他社の50倍という在庫回転率を実現できたのは、リーンの手法を取り入れたからである。

 また、最近では金融機関でもリーンを生かした業務改善が進んでいる。米国の中堅保険会社、ジェファーソン・パイロット・インシュランスは、大手ライバルとの商品開発競争と、ニッチプレーヤーとのコスト競争にさらされた。そこで対顧客サービスの向上と低コスト化を進めるために、社内業務へのリーン適用を進めた。その結果、新規加入の受け付け処理期間を70%短縮、契約当たりの事務処理を30%低下、ミスによる再発行率を40%低下させることを同時に実現した。

 日本のファストフード業界でスピード、コスト(生産性)、そしてサービス品質を高める努力がなされているのも、リーンアプローチに沿っていると言える。このように元々は製造業で発想されたリーンアプローチが、サービスの現場業務に拡大しつつある。

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