「どう読む!産業パラダイムシフト」

こんなに違う世界の携帯電話市場

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2007年5月9日(水)

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 現在、世界の携帯電話利用者数は24億人を超えている。国別に見た場合、利用者数上位の顔ぶれは次の通りである。1位/中国(約4億6000万人)、2位/米国(約2億3000万人)、3位/ロシア(約1億5000万人)、4位/インド(約1億4000万人)、5位/ブラジル(約1億人)、6位/日本(約9600万人)。以上のようにBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)と米国、日本が上位を占める構図となっている。この6カ国だけで約12億人の携帯電話利用者がおり、世界の全利用者の半数を占めることとなる。

 日本は、世界で初めて「写メール」サービスを開始、世界で初めて第3世代携帯電話サービスを開始、世界で初めて「おサイフケータイ(非接触IC搭載端末)」を開始するなど“世界初”を立て続けに送り出してきた先進市場である。数年前までは、日本市場はサービス面でも、端末機能面でも世界で独走状態が続いていた。

 だが事業者の視点で見た場合、日本は惨敗である。通信事業者のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル3社は日本市場に展開するにとどまり、世界に覇を唱える英ボーダフォンやシンガポール・テレコム(シングテル)には遠く及ばない状態が続いている。この状況は端末メーカーの状況を見ても同じことが言える。携帯電話端末ではフィンランドのノキア(35.5%)、米モトローラ(17.7%)、韓国サムスン電子(13.6%)が不動の3社として世界市場を席巻している(数字は市場シェアを示す。米IDC調べ)。この3社で世界市場の7割近くを占有している状態である。

 日系企業としては、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのみが8.5%のシェアを確保しており、唯一世界市場で存在感を見せている。その他のパナソニックモバイルコミュニケーションズ、NEC、シャープなどの日系企業は、全社を足しても世界市場におけるシェアは数%にとどまる。

世界に出て行けない日本の端末メーカー

 世界の携帯電話端末需要台数は、2006年度は9億5500万台で、今後も堅調に拡大を続け、2010年には12億台を超えると野村総合研究所では予測している(図1)。セット製品として年間の需要台数が10億台を超えるものは携帯電話端末以外にない。テレビの1億台、自動車の6000万台と比べると、その圧倒的な数量が分かることと思う。

図版

図1 世界の携帯電話端末の需要台数と予測
(出所:野村総合研究所推計)

 テレビではソニー、液晶ではシャープ、プラズマでは松下電器産業、自動車ではトヨタ自動車と、日本には世界トップをひた走っているメーカーが数多くある。その一方で、エレクトロニクス製品でこれほど日本企業が苦戦している市場は珍しい。

 日本企業が世界の携帯電話端末市場で伸び悩んでいるのは、様々な要因が合わさった結果だと思われる。いくつかの要因を挙げると、第1に、1億人の市場である日本(現在でも利用者数は第6位)に傾注しすぎた点。第2に、海外との通信方式が異なったがゆえに、海外への展開が出遅れた点。第3に、世界での第3世代携帯電話サービスの普及が予想を超えて遅すぎた点。第4に、日本企業が開発する端末が高性能・多機能すぎて、海外市場に出荷するには時期尚早だった点などである。

 携帯電話市場で日本企業が苦戦している惨状に関しては、各種リポートやアナリストらが議論を尽くしているので、これ以上の詳細な分析は避けたい。ここでは、今、各国の市場がどのような状況にあり、日本とどれほど違うのかをいくつかのデータ分析によって示し、今後の携帯電話市場を占ってみたいと思う。

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著者プロフィール

小林 慎和
(こばやし・のりたか)

小林 慎和

野村総合研究所コンサルティング事業本部ICTメディア産業コンサルティング部上級コンサルタント、ビジネス・ブレークスルー大学准教授、NPO法人ガイア・イニシアティブ、工学博士。経営コンサルタントとして、IT業界、エレクトロニクス業界を中心とする企業に対して、新規事業立ち上げ、海外展開、M&A、営業改革、組織改革などのコンサルティングの提供。また、最近は新興国展開、特にBOPビジネスを推進するプロデュースビジネスにも力を注ぐ。



このコラムについて

どう読む!産業パラダイムシフト

IT、通信、エレクトロニクス、製造業は、今どこへ向かおうとしているのでしょうか。市場や技術の大きなトレンドを踏まえつつ、その中で起きるルールの変化、パラダイムシフトについて解説します。

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