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「ロボットが月旅行」はイノベーションか

社会の革新を導くリーダーシップとは

  • 宮田 秀明

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2007年5月18日(金)

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 日本はアジアの製造拠点という位置を与えられて久しい。製造業は70兆円の外貨を稼ぎ、原油価格の高騰で燃料代に18兆円を支払いながらも、まだまだ貿易収支は安泰である。

 しかし、世界的に製造拠点がほかのアジア諸国へ移る勢いが加速していることもあり、今後の日本の成長力を製造業だけに頼るのは限界がある。それではサービス業は、と言えば、GDP(国内総生産)の70%を占めるにもかかわらず、生産性は米国の60~70%にとどまっている。日本のサービス業の生産性向上は急務である。

 サービス業でも製造業でも、イノベーション的な変化がこれまで以上に必要になっている。安倍晋三内閣肝いりの「イノベーション25戦略会議」による提言は、今のところ大変心許ない。同会議は、2025年までを視野に入れて、技術だけでなく社会を革新させる広い意味でのイノベーションについて議論する場である。

サービス業にイノベーションを起こした先駆者

 イノベーション25戦略会議が2月に出した中間報告には、「カプセル1錠で寝ながら健康診断」「走れば走るほど空気を綺麗にする自動車」といった20ほどのイノベーションのビジョンが例示されている。ビジョンを提示すること自体は大切だろう。だが、残念なことに、どのビジョンについても、それを実現する技術についても、ベンチマーキングに基づいた戦略が見当たらない。本来は、現状の国内外の技術やそれを取り巻くビジネス環境を比較し、日本の強みと弱みをハッキリとさせることで、初めて勝つための戦略が見えてくるはずである。

 例えば、「ロボットが月旅行」という目標例が中間報告にあるが、世界を見渡せば火星に無人探査機が到達している時代に、果たしてこれはイノベーションなのだろうか。これでどんな産業が育つのだろうか。この例だけでなく、全体的に目的設定が形容詞中心で曖昧で、流れを変える具体的な力になりそうもない印象を受けるのだ。

 一方で、同会議が掲げる「出る杭が打たれない社会」という考え方自体には賛同できる。イノベーションを起こすためには、何よりも個人の強力なリーダーシップが必要だからである。

 生産性が低いと言われながらも、日本のサービス業にイノベーションを起こした先駆者は少なからず存在する。コンビニエンスストアという業態を創造して小売業にイノベーションをもたらしたセブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんや、宅配便という新しい運送システムを創造したヤマト運輸の小倉昌男さんは代表格だろう。警備保障ビジネスをガードマン派遣業から情報サービス業に変革したセコム最高顧問の飯田亮さんも同じようなイノベーション実行者だ。こうした改革者が作り上げたビジネスモデルは今でも国際競争力を持っている。

 イノベーションや技術革新は「常識をくつがえすこと」または「非常識を常識にすること」なのだ。だから、これを実現するためには強いリーダーシップと同時に、そのリーダーシップを支える環境と人が必要である。

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