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郵政巨大システムを改革できるか

日本郵政公社の情報化戦略、その全貌(2)

  • 日高 信彦

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2007年5月21日(月)

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日本郵政公社のCIO(最高情報責任者)吉本和彦理事とのIT経営問答第2回(第1回の記事はこちら)。10月に民営化される公社のチャレンジは、自由な発想で新しいサービスを作っていくこと。公社単独ではなく、様々な企業と協業していくという。

日高:2006年4月、郵政公社に移られて最初に、どのような印象を持たれましたか。

吉本:非常に巨大であること、そして文化が違うことをまず感じました。民営化に伴う情報システムの整備というプロジェクトの巨大さもさることながら、文化の違いをしっかり理解し、早く民間会社のビジネスモデルに持っていく。ここがポイントではないかと考えました。文化の違いは情報システムにもの凄く反映しますから。したがって文化の違いをまず知るということが、私の最初の課題でした。

 一例として財務会計を見てみましょうか。ご承知の方は案外多くないと思いますが、官公庁の会計はいわゆる単年度会計です。公社は税金を払いません。2007年10月からは税金を払わなければいけないわけで、新しい会社が皆、10月までに税金を払える財務会計の仕組みを作らなければなりません。民間の財務会計をそもそも知らない状況で、民間の財務会計を勉強し、それからシステムを作っていたらとても間に合わない。

吉本和彦氏

吉本 和彦(よしもと・かずひこ)氏
日本郵政公社理事常務執行役員。1970年慶応義塾大学工学部卒業。同年富士銀行入行。98年システム開発第一部長。2000年執行役員(IT担当)。2002年みずほ銀行常務執行役員。2004年6月富士総合研究所取締役副社長。同10月みずほ情報総研専務取締役。2006年4月より現職 (写真:中島 正之) 

 ということで、独SAPのソフトウエアを採用し、現場には「SAPの仕組みが民間の財務会計そのものです」と教えています。基本的にSAPに入っている標準モデルでやってしまおうということです。これはASP(アプリケーションサービスプロバイダー)方式ではありませんが、システムから先に変えるアプローチという点は同じです。

 郵便貯金も銀行とは違う文化です。郵便貯金と銀行はともに1870年代に始まっていますが、一般の個人からすると、当時の銀行とはあまりつき合いがなく、ほとんどの方が郵便貯金を利用されていたと思います。

 まず、通帳が銀行と郵貯では違う。郵貯の場合、お預り金額があり、支払い金額を差し引いて、現在高を記載します。銀行の場合は、引き出し金額が一番先に来て、お預かり金額が次、最後が現在高になる。郵便貯金の通帳はいわば、小遣い帳なのですね。お客様から見たら、一番分かりやすいいい通帳ではないかと思っています。銀行の場合は、複式簿記である銀行の財務会計を反映した形になっている。

 もう一例、「本人確認」を見てみましょう。銀行窓口でお客様の名前を書いて印鑑を押していただくと、銀行は現金をお渡しします。この場合、お客様との約款により、印鑑が本人確認作業を代用しているわけです。ところが、郵貯は印鑑だけでは現金は受け取れません。その都度、「免許証を見せて下さい」などと言って本人確認をします。逆に言えば、本人の確認さえできれば、印鑑を持っていなくても、郵貯の場合、現金のお支払いができます。

文化が違うとシステムも違う

 銀行と異なる文化を持つ郵貯が、10月から銀行になるわけです。いくつか挙げた細かい違いを調整するために、すべて情報システムを変えなければいけない。ただし、通帳は間に合いません。というより、銀行に合わせず、郵貯の通りにやっていくようにしてはどうかと思っています。

 例えば顧客名は、郵貯の場合、かな小文字まで反映しています。ところが、銀行の場合、銀行間を結ぶ全銀ネットワークの制約だと思いますけれども、小文字を認めていません。そうすると、郵貯のシステムでは、氏名を小文字で表記して格納しているところを、わざわざ大文字に変えなければいけませんが、できればそれは避けたい。とにかく、いろいろなことが違いまして、そのしわ寄せがシステムのプロジェクトに来るということです。

日高:既にお客様が沢山いて、既存の情報システムが動いている中で、民営化という変革をされるのは大変だと思います。文化の違い以外にもご苦労はありますか。

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