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文系出身のNTT新社長はネット接続障害を防げるか

2007年5月25日(金)

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 技術中心の企業を、文系の新社長は果たして舵取りできるのか。NTTの新社長発表、その直後に起きたインターネット接続サービスの障害、という2つの報に接し、こんなことを考えた。

 NTTは5月11日、三浦惺副社長が6月末に社長となる人事を正式発表した。日本経済新聞は、三浦氏の経営課題として、銅線を使った固定電話サービスから光ファイバーを駆使したインターネット接続サービスへの「光シフト」を挙げた。また、正式発表前の報道では、たすきがけ人事ではない点に注目が集まった。三浦氏は東京大学法学部出身、人事・労務畑が長く、和田紀夫社長に続く、“文系社長”となる。これまでNTTは、事務系(文系)と技術系(理系)出身者が交互に社長になっており、慣例に従えば和田社長の後任には“理系社長”が誕生するはずだった。

 三浦氏の社長昇格が発表されてから4日後の5月15日、三浦氏が2005年まで社長を務めていたNTT東日本で、インターネット接続サービスの障害が発生した。NTT東日本は15日夜、最大で285万世帯に影響がある、と発表した。光シフトの難しさが改めて示されたことになる。 さらに5月23日朝、ひかり電話に故障が発生し、NTT東日本の顧客と、NTT西日本の顧客の間で通話ができなくなった。

 本コラムの題名を「文系NTT新社長はネット接続障害を防げるか」とした。文系はダメと主張しているように取られるかもしれないが違う。趣旨は、技術企業のトップはどのような要件を備えているべきか、NTTを題材に考えてみよう、ということだ。筆者は正解を持っているわけではなく、あれこれ考えたことを書き連ねるので、読者の方々もこの問題を考えてみていただければと思う。「読者と考える NTT社長の条件」という題名も考えたが、いま一つであったので、やや派手な題名を選んでみた。

 したがって、NTTはきちんとたすきがけをして技術系社長を選ぶべきであった、と言うつもりはない。NTT関係者の中には、「和田社長の前任の技術系社長が、優秀な技術系幹部を切ってしまい、技術系の人材が払底している」と見る向きもあるが、実態はよく分からない。事務系・技術系が交互に社長になるという慣例は分かりやすく、両部門の不満をうまく解消する大人の知恵なのかもしれないが、やはり最初から決めておくのはいかがなものかと思う。

待ち受ける光シフトという難題

 コラムの題名にその言葉を使っているので矛盾するようだが、理系と文系に人を区別すること自体、愚行である。理系か文系かといっても、その色がつけられたのは、大学の4年間、大学院まで入れてもたかだか6年程度に過ぎない。そのわずかな期間の差だけを、その後40年近くも取り沙汰するのは馬鹿げている。東大法学部を出たエースは人事・労務や秘書室、東大工学部を出たエースは研究所というように分け、その後、40年間人事交流がほとんどないままに過ごさせ、そのうえで社長を決める、という企業はNTT以外にも存在する。そうした人事をしなければ、経営と技術の両方が分かる人材が育ったかもしれず、実にもったいない。

 こう考えてくると、たすきがけをしないことはかまわないものの、NTTが直面する技術課題を見る限り、三浦氏や人事・労務畑の方々には大変失礼ながら、組合問題とはわけが違う、という気がしてくる。NTTは通信サービス事業者だが、人手でサービスを提供する会社ではない。事業の中核にあるのは技術であり、そしてそこに光シフトという難題がある。

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「文系出身のNTT新社長はネット接続障害を防げるか」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP総研

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者。2009年1月から編集長。2015年から日経BP総研 上席研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授