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ハイテクマシンは「ボケ」がお得意?

NTTの研究成果に見る大阪のおばちゃん的“思いやり”

2007年5月28日(月)

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 夕暮れ時のある会社の会議室。先ほどから、専務が独演会のように大声で話し続けています。「話、長えなぁ」「そうすね。意味あるんすか、これ」。会議室の隅では、営業2課の川口主任と佐野君がひそひそと小声で話しているようです。

 この、よくありそうな会議のひとコマ。唐突ですが、会議室に部外者の「大阪のおばちゃん」がいたらどうなるでしょうか。

 「専務! あんた、さっきからしゃべり過ぎとちゃうか、みんなにも話す機会を分けてあげなあかんで」
 「そこの川口と佐野、何をひそひそやってんの、言いたいことがあんのやったらちゃんと言いなさい」

 もちろん、実際はこんなことはあり得ません。でも、もしその場にいたら、こんなことを言いそうです。思いやりや愛嬌という武器を頼りに、人間関係の距離を詰めてくる大阪のおばちゃん。「騙されたと思ってこれ食べてみ、あんたが好きそうな味やから」とか、「まあ、一度この娘と会うてみ、あんたの気に入りそうなタイプやから」というような調子で、がんがんおせっかいサービスを売り込んでくる愛すべき人種です。

 今回は、大阪のおばちゃんに代表される人間関係を円滑にするコミュニケーションについて、その日本らしさを探ってみたいと思います。様々なハイテクマシンと人の共生が始まった現代、人と機械のコミュニケーションは大きな技術課題です。読者の中にも、機械を相手に「何でこんなことも分かんないのよ」と毒づいた経験を持つ方は少なくないでしょう。それを円滑にするヒントが「大阪のおばちゃん」に隠れているのです。

機械だから許されること、許されないこと

写真1

NTTのサイバーソリューション研究所が開発した「ミートボール(MeetBall)」。天井にある球状の装置がミートボールの本体

 実は、大阪のおばちゃん的な方向性で、人と機械のコミュニケーションの特殊解を見いだしつつあるハイテクマシンがあります。NTTのサイバーソリューション研究所が開発した「ミートボール(MeetBall)」という装置です。会議室などの天井にぶら下がるミラーボールのような外観をしていて、初歩レベルながら人間の言葉を解する音声認識に加えて、声紋のような声の質の違いから話している声の主が誰かを特定する話者認識の機能が搭載されています。

 これらの機能を使って、ミートボールは会議室にいる人たちの会話が弾むようにフォローしてくれたり、話し過ぎの人に注意したりするのです。横を向いて2人だけで話していると、全員で会話するように、とも言ってくれるそうです。関西弁を話す機能があるかどうかは分かりませんが、まさに冒頭の大阪のおばちゃんを実現するために大切な要素が詰まっていると言えるでしょう。

 このミートボールには、大阪のおばちゃんと共通するもう1つの利点があります。会議に出席している者にとって、話し過ぎの人に注意をするなどという大胆な振る舞いははばかられるものです。万が一、話し過ぎの専務が怒り出したら査定に響くかもしれません。でも、大阪のおばちゃんには、愛嬌と怖いもんなしという武器があるので、一般には、その発言が許されてしまいます。

 ミートボールもしょせんは機械ですから心配は御無用です。語り過ぎる専務の場合でも、いかにも機械らしく「コレマデノ会議時間ノ85%ヲ専務ガ占有シテイマス」と、計測結果を定量的に語られると苦笑するしかありません。もう一歩踏み込んで「ズボンのファスナーが開いてますよ」「鼻毛が出てますよ」などの気まずい指摘でも、感情のない機械に言われた方がむしろ救われる気もします。

コメント13件コメント/レビュー

今回も興味深いテーマですね。共生感覚はまさに子供の頃思い描いていたロボットのイメージに当てはまります。一方で、こういった技術の進展を目の当たりにして、ふと星新一のショートショートを思い出しました。肩の上にオウム・ロボットがとまっていて、持ち主がそのロボットにやだと断ってくれとささやくと、ロボットが本人に代わって、この度は本当に色々とお気遣い頂きまして・・・しかしながら・・・云々と差し障りのない言い方で言ってくれるという話です。子供の頃はそんな時代は来るわけ無いと思ってましたが、もう技術的には近いところまできているんだなとしみじみ思いました。(2007/06/04)

「川口盛之助の「ニッポン的ものづくりの起源」」のバックナンバー

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「ハイテクマシンは「ボケ」がお得意?」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

今回も興味深いテーマですね。共生感覚はまさに子供の頃思い描いていたロボットのイメージに当てはまります。一方で、こういった技術の進展を目の当たりにして、ふと星新一のショートショートを思い出しました。肩の上にオウム・ロボットがとまっていて、持ち主がそのロボットにやだと断ってくれとささやくと、ロボットが本人に代わって、この度は本当に色々とお気遣い頂きまして・・・しかしながら・・・云々と差し障りのない言い方で言ってくれるという話です。子供の頃はそんな時代は来るわけ無いと思ってましたが、もう技術的には近いところまできているんだなとしみじみ思いました。(2007/06/04)

夫婦喧嘩への介入の仕方として、水をこぼす泣く子カードを使うという工夫は面白い。普通ならなだめる方向に行くのに対して、突き放すという手もあるけれど、より強力なイベントで話をそらすといううち手ですね。ぜんじろうさんの話も面白い。ロボットとの共生を考えるとき、要するにもっと上品な民度が求められると思いました。(2007/06/02)

機械に指摘されると納得する場面と、逆に神経を逆撫でする場面があるという指摘は、なるほどその通りだと思いました。コンビニやファミレスの店員さんたちの接待敬語がマニュアル化していることがよく問題になりますが、ロボットと話しているように感じることがあります。人格を消した店員Aを目指しているのでしょうか?(2007/06/02)

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井上 礼之 ダイキン工業会長