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限界に挑む人、たたえていますか

極限の取り組みをディスカレッジする言葉

  • 宮田 秀明

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2007年6月1日(金)

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 「私は好きなのよ。限界に挑む男が」

 深夜、テレビのスイッチを入れるとこんなセリフが聞こえてきた。米国映画「ライトスタッフ」のエンディングで、戦闘機のテストパイロットから宇宙飛行士になった男に、妻がかけた言葉だった。

 限界に挑戦しても、命をかけても、世の中の人が称賛の言葉をかけてくれるとは限らない。それどころか、その行動を理解してくれるかどうかも分からない。映画のように家族だけでも理解してくれれば、まだましだろう。もしかしたら、それすら期待できないかもしれないのだ。

 派手なプロジェクトの裏には、多くの苦悩の物語があるのが普通だ。限界に挑む人は、大体いつも孤独なのである。「孤高」という言葉は誰が作ったのだろう。ごく少数の究極の高さを目指す勇者の気持ちをこんなに知っていたのは誰だろうと思う。

 ビジネスでもスポーツでも、世界一に挑戦するということは、自分の限界に挑戦するということだ。7年前、世界最高峰のヨットレース「アメリカズカップ」のプロジェクトにかかわっていた時、メンバーはみんな限界に挑戦していた。

“九死に一生”の体験、あと30センチで…

 2000年のアメリカズカップには、世界の11チームが参加した。シンジケートに加わった人数は合計2000人くらいだろう。アメリカズカップのプロジェクトは、約5年間続いた。その間に亡くなったのは、スペインチームのセーラー1人だけだった。練習中に壊れた部材が飛んできて、それに当たって亡くなった。

 恐らく、ケガをしたり、死に直結するような事故に直面した人はたくさんいたはずである。私もその1人だ。1999年4~8月に愛知県蒲郡市で行われたレース艇のチューニングと練習での出来事である。

 私は、この期間中、毎週水曜日に蒲郡を訪れていた。ある日、1号艇の「JPN44」に乗船している最中に事故が起きた。チェックステイと呼ばれるマストを支える直径6ミリのステンレスのワイヤが切れて、私の頭上に落ちてきたのである。2トンぐらいの荷重がかかっていたから、ワイヤに直撃されたら、大ケガか死んでいたかもしれない。ほんの30センチずれたので、とっさに上げた左手の内出血だけで済んだ。

 もちろん、アメリカズカップ艇は壊れてはいけない。だが、頑丈にしすぎると性能が悪くて、絶対に勝てない艇になってしまう。

 先日、大阪の万博記念公園でジェットコースターの痛ましい事故があった。これは疲労破壊という金属の現象によるものだ。市民に提供するサービスでは、疲労破壊で事故を起こすことは許されないから、安全に安全を重ねて設計する。それでも、設計ミスや運用ミスで悲しい事故が起きてしまう。ドイツの高速鉄道でも、ジェットコースターと同じような車軸破損による大事故が起きたし、新幹線でも開業当初には、同様の事故の可能性があったとも聞く。

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