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祭りが「ロイヤルユーザー」を作る

ネット広告と「同時性」の試み

  • スダシン(須田 伸)

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2007年6月5日(火)

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 今回は広告における、ライブイベントの価値について、あらためて考えてみたいと思います。

 たとえばスポーツ中継が分かりやすい例ですが、テレビで見るにしても、生放送で見るほうが、録画より断然面白いですね。たとえ結果を知らないまま、録画を見たとしてもです。

 日本人メジャーリーガーが活躍する大リーグ中継も、早起きして早朝に見るのと、録画で夜に放送されるのを見るのはまったく違う体験です。「もう試合は本当は終わってんだよな」と分かっているわけですから、どこか興ざめしてしまうことは避けられません。今、まさにこの瞬間に、海のむこうで、松坂が投げている、松井がバットを振っている、と思えばこその共有感がライブ中継にはあります。

 また、同じライブでも、テレビやラジオの中継よりも、スポーツならスタジアム、演劇なら劇場での体験のほうが断然いい。まあ大リーグの場合は、飛行機に乗ってアメリカまで行かないといけないので、簡単には実行できませんが…。

 スポーツ以外でも、たとえば私の場合ですが、ニフティの運営するポッドキャストの人気番組に「ぽっどきゃすてぃんぐ落語」というのがありまして、これがきっかけで落語の面白さにすっかりはまってしまいました。それで、最近ではちょくちょく寄席にも足を運びます。寄席もまた「ライブ空間」です。

 驚いたことに今、時代はまさに落語ブームなんだそうです。私がもっぱら出かける新宿の末広亭も、土日は幕開きの前座さんから満席で立ち見の大盛況ですから、その人気たるやすごいものです。

 「ぽっどきゃすてぃんぐ落語」は今も毎週の更新を楽しみにしてiPodで聞いているのですが、やっぱり寄席というライブ空間での落語はまったく違う体験です。同じ時間、同じ空間を、噺家さんや他のお客さんたち、みんなで共有している感じが、それだけで楽しいし、幸せな気持ちになれます。

 たとえば末広亭に休日の昼間に満員だと、口の悪いベテランの噺家から「今日みたいないい天気の休みに、ほかに行くところもない、もしくは家にいられない理由のある人が、こんなにたくさんいるんだねぇ」なんていじられるのが楽しいのも、その場をみんなで共有しているという一体感があればこそです。

「ザ・ベストテン」の地方からの中継映像

 昔、TBSの「ザ・ベストテン」という音楽番組を見ていて、当時子供でしたけど、不思議に思うことがありました。それは、かなり売れているアーティストでも、地方にコンサートツアーに頻繁に出るのだなぁ、ということです。もうそれだけのビッグネームなら、テレビとアルバムの販売だけで十分稼げて、わざわざ東京を離れてツアーなんて出なくてもいいんじゃないか、という疑問を持ったわけです。

 もちろん今、考えてみれば、チケットやアーティストの関連グッズの販売やツアーへの企業スポンサードによる収益など、ソロバン的にも意味があるからこその興行なわけですが、それだけでなく「ファンとその場を共有する」ということによる、一人ひとりとの「太い絆づくり」という見逃せない効果がライブにはあります。

 テレビのようにいっぺんに大勢に知ってもらうことはできなくても、一定のヴォリュームのファンの人たちと、2時間、3時間、濃密な時間を共有できる、ライブの価値というのは、単なるその日に売り上げが立つ興行収益だけではない、アーティストという「商品」の長期的なマーケティング戦略上も重要な価値があるということは、子供の私には理解できなかったのです。

もちろん、大勢の人にリーチすることも大切ですから、コンサートを中断してでも、「ザ・ベストテン」のテレビ中継にもキチンと協力していたわけです。

コアなユーザーからの拡散効果

 広告でも、商品発表にユーザーを招待したり、サンプリングイベントを実施したり、さまざまなライブイベントを仕掛けるケースが増えています。数としていっぺんにリーチするのなら、やはりテレビCMや新聞広告には及ばないわけですが、ライブイベントにおけるコミュニケーションの「濃さ」が、重要視されつつあるからでしょう。

 顧客が分散化している今、英語でいうところの「Engagement」、すなわち「企業と消費者の間の絆づくり」が大切になってきているのです。

 いっぺんにリーチすることの重要性が下がっているわけではありませんし、業種や商品にもよるので一概には言いきれませんが、顧客との絆づくりとしてのライブ体験の共有は、企業がコミュニケーションを設計するうえでますます重要になっていくでしょう。

 またリーチできる数にしても、そのライブを体験した人が、ブログやSNSの日記に書くことによって、広がっていきます。もちろんそれをマス広告のリーチ力と比べてしまえば、まだまだ比較にならないレベルですが、そのイベントに集まった人とブログやSNSでつながっている人は、商品や企業のターゲットとしている人と似ている可能性が高いわけで、その伝播力も無視できません。

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