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エグゼクティブサマリーには意味がない

リコーの業務改革、その勘所(2)

  • 日高 信彦

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2007年6月26日(火)

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 リコーで長年業務改革を手がけてきた遠藤紘一専務執行役員に、業務改革の勘所を尋ねる記事の第2回(第1回の記事はこちら)。業務改革を手がけるメンバーには、「どんな点に苦労して、どう対処しているか。1つでいいから、ものすごく具体的な例を紹介してほしい」と要請する。ぼんやりと全体を説明したエグゼクティブサマリーを読んでも役に立たないという。

日高:リコーは、小集団で問題解決に取り組む活動を技術や生産、販売、人事、総務といった領域に広げています。議論で得られた結果は冊子にして、リコーグループの幹部全員に配布しています。可視化するからこそ、問題が見えるし、解決策も導き出しやすくなるわけですね。IT(情報技術)はこうした活動にどう役立てているのですか。

遠藤 紘一氏

遠藤 紘一(えんどう・こういち)氏

リコー取締役専務執行役員。1966年武蔵工業大学工学部経営工学科卒業後、リコーに入社。生産本部副本部長、米リコー・エレクトロニクス取締役社長、取締役情報システム本部長を経て、97年常務取締役。2000年専務取締役に就任。2005年から現職。(写真:中島正之)

遠藤: 特に効果が出ているのが、設計標準の徹底です。例えば設計の問題で、製品に不具合が発生したとしましょう。問題を分析していくと、社内の標準を使っていない、というケースが往々にしてあるわけです。

 そこで当社では、標準を漏らさず適用できるような仕組みを設計プロセスに組み込み始めています。設計者がシステムで図面を書き部品を配置すると、画面上に「この部分はこの標準を使ってシミュレーションせよ」と警告を出します。設計者がシミュレーションしたという事実がシステムに記録されてようやく商品開発の次のプロセスに進める。

 ポイントは、標準が変更になった際にも、きちんと各図面に反映されるようにしたことです。開発時と、量産に入る前とでは標準の内容が変わっているかもしれません。履歴を残しておけば、以前の標準を使っていた設計者に、「標準が変更されたので設計を見直してください」とメッセージが届きます。

日高:経営の可視化活動でプロセスを改善したうえで、そのプロセス通りに仕事を徹底させるのにITを使っているわけですね。

遠藤:最初にこの取り組みを始めたのが電子部品です。10年ほど前から部品の情報をデータベースに蓄積しています。その部品を使って設計しているメンバーには、こうした生産中止などの情報が自動的に届くのです。「あなたが今使っているこの部品は半年後には生産中止になりますから、新しい部品に切り替えてください」といった具合です。

 昔は、部品の生産中止の通知を紙の書類で受け取っていました。紙だと社内で通知を徹底するのにも限界があります。標準やマスターデータといった仕事の基本になっている領域を電子化しておくと、不具合や手戻りを極小化できます。

「すべて統一」がベストではない

日高:人事や総務といったバックオフィスの領域で、ITを使ってプロセスを改善したというケースはありますか。

遠藤:代表的な例が給与計算です。リコーは国内でも関連会社が何十社とありますが、以前はそれぞれの会社が個別に給与計算システムを作り、運営していました。給与の体系が各社で異なるからそうしていたわけですが、さすがにそれには無駄がある。そこで段階を踏みながら統合し、今は国内の関連会社の給与計算については、本社でまとめて実行しています。

 統合のきっかけづくりに活用したのは、(IBMのグループウエアである)ノーツです。ノーツをリコー本社含めて関連会社に導入し、リコーグループの社員はノーツで勤怠記録を入力する、という仕組みをまず構築しました。すると、ノーツのデータベース上に関連会社すべての勤怠データが入ることになります。あとは中央のシステム上に、各社に合わせた給与計算ロジックを移し替えるだけでした。

 給与計算に関わる手間が大きく削減できたのはもちろん、給与計算に関わる業務が一斉にデジタル化できたのが大きかった。社員は子供が生まれたらノーツ上ですぐにそれを入力する。扶養家族手当は当月からきちんと出せます。つまり、ノーツによる業務のデジタル化を通して、社員に関わるマスターデータは「常に最新版」を保てるようになったわけです。

 人件費にまつわることが非常に早く処理できるので、決算処理も早くなりました。今年3月の決算発表は4月29日でした。昔は6月の株主総会に向けて、それこそ必死に決算処理をしていたわけですが、今ではかなり楽になりました。

日高氏

日高 信彦(ひだか・のぶひこ)氏

ガートナージャパン代表取締役社長 (写真:中島 正之)

日高:パッケージソフトを使うのではなく、すべて内製ですか。

遠藤:部分的にパッケージを使ってはいますが、ほとんど内製です。データベースはすべて自社で設計しています。

日高:リコーは今、海外展開を積極的に進めています。日本で展開した業務改革活動やシステムをどのように海外に適用していきますか。一般的に、日本人はグローバル展開が不得手です。

遠藤:重点的に考えるべき領域は販売と生産ですが、生産に関しては国内のプロセスを海外展開することに成功しています。生産については海外の企業を買収したケースはほとんどなく、現地に生産工場を展開したのが基本です。つまり、海外の生産管理のシステムは、日本のものを持っていったわけです。現地の事情や意見を取り入れて修正した部分もありますが、基本的には同じと言ってよいでしょう。

 逆にこれから着手すべきは販売です。リコーは数多くの販売会社を買収してきました。そうした会社の多くは、リコーが元々カバーできていなかった領域に強かったので、システム面でもリコーと異なる部分が大きい。だから無理やりシステムをまとめるのは難しい。ただ、買収した販売会社のシステムで老朽化しているものもありますし、いずれにせよ着手しなければなりません。3~4年ほど前から米国ではリコー現地法人のシステムにまとめるよう進めています。

 各社の業務上、どうしても残したい必要な機能がありますから、乱暴に1つにまとめるわけにもいきません。できる限り共通化しながらも、部分的には個別のシステムもある、という形態を採ることになるでしょう。

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