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あなたは「有料多チャンネル」を見ますか?

  • 山口 毅

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2007年6月28日(木)

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 「地上波放送はいろいろな番組が提供されていて面白いし、これで満足だ。なぜわざわざお金を払ってまでして、有料放送を見なければいけないのだ」。このように考える人は多いのではないだろうか。確かに、広告モデルにより無料の番組が地上波で提供されている日本では、こう考えるのは当然かもしれない。

 しかし、映像コンテンツの多くをハリウッドが制作している米国では様子が異なる。映像コンテンツの流通は時系列的にコントロールされており、消費者はお金を払って映画館やパッケージソフト、あるいはケーブルテレビや衛星経由などで見ることになる。視聴したい番組があれば、その時点で流通しているメディアに対して、コンテンツの新鮮さに応じた金額を支払い視聴することが習慣になっている。特にケーブルテレビ経由での有料多チャンネル視聴は、ごく自然な視聴方法になっている。

 この事実を定量的に把握するため、有料多チャンネルの世帯普及率を日本と米国とで簡単に比較しておこう。日本における世帯普及率は25%(2005年度末)。米国は86%(2005年末)であり、米国の普及率がいかに高いかが分かる。日米ともにケーブルテレビ経由での視聴が最も多いが、それを世帯普及率で比較してみても、日本では12%(約600万世帯)、米国では69%(約6500万世帯)と大きな差が生じている。

図版

図1 有料多チャンネルの受信世帯数予測(国内のみ)
(出所:NRI)

 図1は野村総合研究所が予測している2011年度までの有料多チャンネルの受信世帯数予測である。ご覧のように、有料多チャンネル市場は成熟しつつあることが分かる。前述のように地上波が強い業界情勢のままでは、急激に有料多チャンネル市場が拡大することは難しい。日本の放送業界が、米国の放送業界のようなモデルに変わることも当面考えづらい。

危機感を感じ始めたケーブル事業者

 ただしここ数年、有料多チャンネル市場の拡大を後押しするような「通信と放送の融合・連携」に関連する動きが、通信業界や放送業界で出始めている。

 今まで、ケーブル事業者は競争のない環境下で、プレッシャーの少ない営業活動でもある程度の顧客を獲得できていた。しかし、最近は衛星事業者や通信事業者が新たな放送サービスの提供を開始し、ケーブル事業者を脅かす存在になってきた。ケーブル事業者はようやく危機感を感じ、大手や中堅の事業者を中心に動きが活発化し始めている。図1では、市場が成熟しつつある中でも、ケーブルテレビを経由した有料多チャンネルの受信世帯数の伸びが一番大きいことに注目してほしい。

 ケーブル事業者の中で最も積極的に動いているのは、最大手のジュピターテレコム(J:COM)だろう。J:COMは、まずサービス提供エリアを広げるため、人口密集地で事業を展開するケーブル事業者を次々に傘下に取り込んでいった。そして、買収先事業者のエリアでJ:COMの得意とする地域密着型の営業力を駆使して、有料多チャンネルの加入率を向上させている。

 顧客の囲い込みと世帯当たりの収益を上げることを目的に、放送で利用している同軸ケーブルに新しい技術を採用することで実現した高速ケーブルインターネットやIP電話、および移動体通信サービスを組み合わせた、いわゆる「クワドロプルプレイ」も提供している。番組供給会社最大手のジュピターTVを傘下に入れることで、地上波放送局と同様の垂直統合型ビジネスも展開しようとしている。

 このようにJ:COMは、放送と通信をそれぞれ強化し連携させることを、業界に先駆けて行ってきている。その他のケーブル事業者もJ:COMの動向を横目に見ながら、独自の方法で、営業力の強化や周辺各局との統合・連携、あるいは通信と放送サービスの強化を進めている。

 自主放送を行うケーブルテレビ(地上波再送信以外の放送も行う事業者で、無料チャンネルや有料多チャンネルを提供する)事業者のサービスに加入している世帯は、約1900万世帯(2005年度末)にも上る。ただしケーブル事業者には、この1900万世帯との接点を生かしきれていない所が多い。この顧客接点をうまく活用できれば、有料多チャンネルの加入率を増やすことは可能だと考えられる。

 実際に、現在、地上デジタルテレビジョン放送(地デジ)をケーブルテレビ経由で視聴しているものの、有料多チャンネル放送の番組内容やハイビジョン放送の魅力を知らないという消費者は多い。営業担当者から説明を聞いたり映像を視聴したりすると、既にサービスに加入できる状態にあるため、契約に至るケースも多いと聞く。

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