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小林製薬 小林 豊社長

まずニーズありき、技術は後からついてくる

  • 坂井 直樹

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2007年6月27日(水)

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 消臭剤などトイレタリー商品や衛生雑貨、医薬品などを製造販売する小林製薬。「こんな商品があったらいいな」という消費者の潜在ニーズを掘り起こし商品化する。デザインに求められるのは、商品の機能・効能が消費者に一目で伝わる分かりやすさだ。

小林豊社長

小林豊(こばやし・ゆたか)
1945年5月兵庫県生まれ。68年3月甲南大学文学部卒業、小林製薬入社。76年12月取締役海外事業部長。81年7月商事事業本部副本部長兼海外事業部長。85年12月専務取締役。92年12月取締役副社長。99年6月代表取締役副社長。2004年6月代表取締役社長
(写真:行友重治)

坂井: 小林製薬さんの商品はコンセプトが分かりやすいものが多いですね。

小林: そうですね。マーケティングの先生に「小林製薬のマーケティングの定義は何か」と聞かれたら、「とにかく分かりやすさです」と答えます。あまり難しく考えず、分かりやすくすることを何よりも重視しています。

坂井: 僕はP&Gさんとずいぶん仕事をしたんですけど、あそこでは、消費者は店頭で3秒でどれを買うか決めると考えているんです。それだけに、商品に何ができるのか、どんな効果があるのかが一目で分かることは重要ですね。

小林: そうですね。テレビコマーシャルでも分かりやすさを重視しています。コマーシャルは15秒という短い時間しかないので、「問題提起解決型」のものしかやりません。消費者にまず問題を提起するんです。こんなプロブレムはありませんかと。そのプロブレムに対して私ども製品をこういうふうに使っていただけたら、このように解決しますよというソリューションを示す。このような問題提起解決型コマーシャルが一番分かっていただけると考えています。この残像があると、店頭に行った時に連動し購買につながります。

坂井: 広告代理店などは小林製薬さんとは仕事をしやすい感じがしますが、どうなんですか。

小林: どうでしょう。「割とやさしい」と言われる方がいる一方で、「小林とは絶対にやりたくない」とおっしゃる方もいます(笑)。パッケージデザインでも、見た目の良さよりも「この文字をもっと大きくしてほしい」といった注文を出すことがよくあります。先方が「それだとデザインが崩れますよ」と言っても「崩れてもいいから文字を大きくしてくれ」と注文する。

 コマーシャルでもそうです。よく、「説明しなくてもイメージできるじゃないですか」と言われることがあるんですが、イメージではダメなんです。我々の商品はサントリーさんなどのものとは違って、イメージの良さで売れるものではない。イメージで伝えようとする広告を打っていたら手遅れになってしまいます。ですから、広告代理店やデザイナーとはせめぎ合いが起きますよね。

坂井: 商品やブランドのネーミングも分かりやすいですよね。

トイレその後に・熱さまシート

商品コンセプトが一目で伝わるネーミングにこだわる。トイレの消臭剤「トイレその後に」(左)と額用冷却シート「熱さまシート」

小林: ネーミングも分かりやすさが第一です。トイレの消臭剤の「トイレその後に」なんて、キャッチコピーをそのままブランド名にしている。うちの最たるところではないでしょうか。額用冷却シートの「熱さまシート」なんかもそうですね。こうした分かりやすくてユニークな商品名を最初に付けたのは「アンメルツヨコヨコ」でした。使いやすい機能を消費者に分かりやすく伝えるために言葉で表したところ、売れました。

 先程、おっしゃった3秒の話に我々も同感です。見た時に直感的に自分が抱えている問題にぴったり合うと分かると、トライしてみようと購買につながる。店頭で商品を見た時に、「これは何をするものかな」と思わせるのと、パッと見て分かるのとでは購買に差がじわじわ出てくると思います。それだけに開発担当者には「分かりやすいネーミングにしてくれ」と言い続けています。商品名の候補を会議に出させて、最終的に私が選びます。

坂井: どのような点をポイントに選ばれていますか。

小林: 分かりやすさを第一に、言葉の響きですね。言葉の響きから、その商品の機能が連想できるかどうかを考えます。いい名前だと思ったら調査をかける。ほかの会社が商標を既に持っていてダメだとなると、不使用の申請をしたり、買えるものであれば買いにいきます。それぐらい商品名にはこだわりますね。

 それから、我々は医薬品も作っています。医薬品の場合、薬事法によって使えないネーミングがあります。薬事法違反で「ダメだ」となると、商品を回収しなければならない事故になるため、注意が必要です。例えば、我々のブランドに「命の母」というのがあります。2005年に笹岡薬品さんから「命の母A」の独占販売権を取得したものです。100年ぐらい昔からある薬で、既得権としてこのネーミングを使えるんです。今、我々が厚労省に「この商品の名前は『命の母』です。許可してください」と持っていったら、「命の母なんて名前はとてもじゃないけど許可できない」と200%却下されるでしょう。こういう他社が使えないブランド名はいい名前だと思いますね。

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