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医療福祉機器の困った現状

2007年7月5日(木)

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 コムスンの事件を契機にして、介護・福祉分野の将来が心配されている。

 日本の高齢化はますます進展するから、介護・福祉は確かに庶民のニーズが非常に高い分野である。だからこそ様々な計画の中で「今後、有望な分野」と位置づけられ、異業種交流事業とか、地域開発とか、産学官連携とかで「新技術の開発」というとトップテーマに取り上げられることが多い。

 一見すると非常に有望な分野に見えるのだが、「案外そうでもない」と、ある中小企業の社長がぼやいていた。

 つまり、この分野は分かりにくいことが多い。私も何年か前に父母を亡くしたが、亡くなる前の数年は立ったり座ったり、寝たり起きたりという基本動作にも支障を来していた。そこでいろいろ公的福祉制度のお世話になった。その点ではありがたく、大いに感謝しているのだが、制度上の矛盾もずいぶん感じた。

法外に高価な福祉機器

 例えば福祉機器の利用に関しては、おおむね補助制度がある。この制度は多くの場合(我が家の場合も)、元の機器の値段に関係なく、「利用者負担は毎月2000円」というような決まりになっている。元値が40万円の車椅子も、元値が10万円の車椅子も、利用者が毎月支払うのは同じ2000円だとすると、浅ましい私のような人間はどうしても「40万円の方がきっと高性能なのだろう。得なような気もするし…」と、高い車椅子を選んでしまう。このような制度だと、車椅子の製造メーカーは、あまり安くしようという気はおきないだろう。

 そのせいかどうか、福祉機器は一般論として法外に高価だ。かつて私は、父親が風呂に入ったり出たりする時に体を支えられるように、浴槽の壁にちょっとした取っ手のようなものを付けようとしたことがある。店を回って取っ手を探したら、簡単な工作物なのに3万円の値札が張られていた。いくら何でも高すぎないか(原価は2000円ぐらいだろう!?)。他の工業製品と違って、あまり競争にさらされることなく来てしまったためだろうか。それとも、もしかしたら訴訟を起こされて敗訴した時の保険料もコミコミになっているのだろうか…。「もうちょっと便利で安いものが工夫されていてもよさそうだが」と訝しく思った。

 また福祉機器の販売店を回って、顧客に対し不親切な対応をする所が多かったのも驚きだった。「顧客に対して一番やさしくなければならない所だ」という先入観があるから、驚きも倍加する。店の人に聞いてみると、「福祉機器を買いに来るお客は要求が高く、『健常者は障害を持つ人を援助して当然だ』という態度で迫ってくることがあるので、無意識に防衛本能が働いてしまうのかもしれない」と言っておられた。

 つい先日JRの駅で、駅員さんが車椅子の客のために、電車のドアとホームの隙間に板を渡していたのだが、車椅子の介助者が「板の置き方が悪い」と言って、駅員さんに文句を言っていた。私はそばで見ていて、「自分が後ろ向きになって、車椅子を引っ張るように降りれば、何の問題もないじゃないか。駅員さんは召使じゃないんだぞ!」と密かに舌打ちをした。

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「医療福祉機器の困った現状」の著者

橋本 久義

橋本 久義(はしもと・ひさよし)

政策研究大学院大学名誉教授

政策研究大学院大学名誉教授。東大卒後、通産省入省、製造業担当。1994年埼玉大教授。97年政策研究大学院大学教授、2011年から現職。現場に近いところで行政を・学問を!をモットーに多数の工場を訪問。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長