「ネットのあした」

電通が挑むメディア総力戦 【前編】

「眠れる獅子」がタブーにも切り込む

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2007年7月5日(木)

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テレビ産業と共に成長してきた広告最大手、電通が大変革期を迎えた。
戦略転換のカギを握るのは、インターネットを軸にしたメディア総力戦。
王者・電通のネット戦略が「メディアのあした」を映す。=文中敬称略

 インターネットが引き起こすメディア産業の地殻変動。その大波は、広告業界にも押し寄せている。

今期、2兆円超えへ

 創業106年目にして連結売上高2兆円の壁を突破した広告の覇者、電通。4大マスメディアの成長と歩調を揃えながら、企業規模を拡大させてきた。テレビは単体売上高の約半分、8000億円を稼ぎ出す金城湯地だ。

 だが一方で、ネットという新たなメディアにも、電通はしたたかに向き合い始めている。全社規模で進める戦略の大転換。その最先端の取り組みが昨年夏、東海地方で生まれていた。

大量CMは「お膳立て」

 「よかった。あの時フラれて。だって、あなたに会えた。」
 「世界でいちばん大切な男性。」

 音楽のない環境音に重なるシンプルな言葉。最後に若い女性が映り、検索サイトの入力窓に「結婚します。マリエール」。最近よく見かける検索キーワード付きのテレビCMだ。

 近年、大型の結婚式場は、ハウスウエディングやレストランウエディングなどのブームに押され、苦戦を強いられている。東海地方に地盤を置く冠婚葬祭の平安閣も例外ではない。

 そこで同社は昨年8月、「マリエール」という結婚式場のブランドを、ロゴを含めて一新。併せて一大キャンペーンを実施した。その規模がすごい。

 東海地方で放映したテレビCMの投下量は、わずか2週間で合計1038本。用意したCMのバージョンは40種類と破格の規模。同じ期間に自動車メーカーや携帯電話会社が首都圏で放映したCMの2倍に当たると言えば、いかに多いかが分かるだろう。

 CMからネットへの誘導は今や当たり前の光景。だが、マリエールの場合は普通じゃない。怒濤の“CM絨毯爆撃”はあくまで表の主役。実は特設のウェブサイトこそが、キャンペーン全体のカギを握る陰の主役なのである。

 いかに結婚を控えた若い女性の共感を呼び、口コミを醸成するか。「40人40色の恋愛模様」と題された特設サイトには、そのための仕掛けが幾層にも施されている。

 まず目を引くのは、ずらりと並んだ40人の女性。「約束。1個だけ約束。先に死なないで。」など、文言と女性が違うすべてのCMが視聴できる。

 見終わると「このCMに共感できますか」というアンケート。YESかNOを選択すると、そのCMの共感率が表示される。「ほかのCMはどうだろう」と、思わずすべてのCMをクリックさせるための仕掛けだ。

CMを見た40%をサイトに誘導

気に入ったCMのバージョンを見つけたら、自分のブログにCMの動画を張りつけることもできる

 共感率の脇には、「すっごく分かります。感動して涙が出てきちゃった」といったコメントで溢れかえる掲示板。これで見知らぬ他人と共感を分かち合い、誰かに伝えたいと思わせる。

 そして、ダメ押しの「紹介機能」で口コミを完成させる。掲示板の下には、メールで友達に紹介したり、CMそのものを簡単にブログに張ることができるボタンが仕込まれている。

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ネットのあした

インターネット人口は世界で10億人を超え、生活に不可欠なものとなった。企業は仮想世界と共存し始め、現実世界とシームレスに融合しつつある。「ネットのあした」を考えずして「企業のあした」は語れない。日々進化を遂げるインターネットの世界を改めて照らし、そこで起きている現象とネットビジネスの新潮流を読み解く。

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