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粗利益4割、通販の新顔

発送業務も不要な「ドロップシッピング」の波

  • 飯泉 梓

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2007年7月13日(金)

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米国では定着しているネット通販の手法「ドロップシッピング」が上陸。
在庫や受発注業務を請け負うことなく、販売に注力できる利点は大きい。
ただ、販売事業者としての意識の確立や誇大広告など課題は山積している。

通信販売ウェブサイト、「職人.com」

通信販売ウェブサイト、「職人.com

 「職人.com」というインターネット通信販売のウェブサイトがにわかに注目を集めている。様々な職人が伝統技術を用いて作った鞄や財布などを販売するサイトだ。確かに扱う商品はユニークだが、一見するとほかの通販サイトとの大きな差はない。

 職人.comが注目されている理由は、利益率40%という高い収益性にある。年間売上高7200万円に対し、粗利益は3000万円。京都市でこのサイトを運営するG&Wの櫻井慎也社長兼CEO(最高経営責任者)は、さぞかしサイト運営に力を注いでいるはずと思いきや、実はそうでもない。

 「サイトに携わるのは1日1~3時間ぐらいですよ」。櫻井氏は涼しい顔でこう言う。

 ネット通販事業者はこれまで、顧客からの注文や商品の発送、クレームの対応などに、1日中追われるケースも少なくなかった。短時間の対応だけで櫻井氏のサイトが高い収益率を確保できる秘訣はどこにあるのか。

アフィリエイトを超える利点

 櫻井氏は、「ドロップシッピング」という新しいネット通販の仕組みを用いてサイトを運営しているのだ。ドロップシッピングとは、サイトの運営者が商品の受発注や返品対応などバックヤード業務に関わることなく、商品の販売に全力を注げる仕組みだ。

G&Wの櫻井慎也社長。事業が順調に推移する現在は自らの時給を1万円としている

G&Wの櫻井慎也社長。事業が順調に推移する現在は自らの時給を1万円としている (写真:山田哲也)

 消費者がサイトを見て商品を注文すると、その情報はサイトを経由して、商品を製造するメーカーに伝えられる。その後は消費者とメーカーが直接やり取りし、メーカーは消費者に商品を直送する。つまり、職人.comのようなサイト運営者は、商品を仕入れて在庫を確保する必要もない。だからこそ、短い作業時間でも高い利益率を確保できるのだ。

 ドロップシッピングは、米国では既に定着しつつある。「ネット通販全体のうち約3割はドロップシッピング」とも言われている。

 ドロップシッピングは一見すると、個人に人気の「アフィリエイト」に似ている。だが、そこには大きな違いがある。アフィリエイトは基本的に商品の広告という位置づけ。消費者はアフィリエイト運営者のサイトやブログ(日記風の簡易型サイト)で紹介された別のサイトにアクセスして、商品を購入する。このため商品が売れても、アフィリエイト運営者は宣伝料として販売価格の3~5%しか得られない。

 これに対し、ドロップシッピングの場合は「メーカーの販売窓口」という役割を担う。商品の価格や売り方を自分で決められる。しかも、バックヤード業務のコストがかからないことから、通常は販売価格の30~40%の粗利益を手にできる。

販売窓口の役割を担うドロップシッピング

ドロップシッピングのメリット

  • 在庫リスクがない
  • 発送業務をする必要がない
  • 顧客情報を基にマーケティング活動ができる
  • アフィリエイトより利益率が高い
  • 販売価格を自由に決められる

 消費者がサイトを通過する格好になるアフィリエイトでは、顧客情報も残らない。一方、ドロップシッピングは実際に顧客からの注文を受け付けるため、顧客情報を蓄積させることもできる。それを基に顧客の属性を確認したり、メールマガジンなどを発行するといった販促活動につなげられる。

 職人.comの櫻井氏も、顧客への販促活動には力を注いでいる。とりわけ商品の宣伝文句には毎回頭をひねっている。その結果ヒットした商品の1つは、6900円の竹の印鑑。毎月約10万円を販売している。販売ページにはこんなことが書いてある。

 「世界でひとつしかない手彫りオーダーメイドの特権。使えば使うほど、自分色に変わっていく。これ以上ない、最高の防犯性」

 櫻井氏は竹の節が一つひとつ異なることに注目し、この宣伝文句を思いついた。

 「顧客が商品を購入した時の場面を想像している」と櫻井氏は言う。

 職人.comに革製品を出品している木下英幸氏は、自社サイトのみで販売していた時に比べ、売り上げが約2倍になった。「商品を作ることに手いっぱいの自分では、上手に販売するところまでは手が回らない。職人.comで売ってくれて感謝している」と言う。

ターゲット絞った商品・宣伝

 櫻井氏と同様に、ドロップシッピングで事業を伸ばしているのが井野孝紀氏だ。月間の売り上げは約200万円になった。井野氏は大手通信会社に勤めながら、昨年9月から副業としてドロップシッピングを始めた。サイトを運営し始めると、みるみるうちに売り上げが伸びた。ついには通信会社を退社し、今年4月にはドロップシッピングサイトなどを運営するリンクアップクリエーション(東京都文京区)を立ち上げた。

 井野氏がターゲットとしたのは自分とほぼ同じ世代である20代後半から30代の男性。自分に照らし合わせれば、どんな売り文句が心に響くかも分かりやすい。

 この世代の男性が多く読むメールマガジンに自社サイトの広告を出稿し、顧客を集めた。さらに、扱う商品はターゲットを考慮して、ノーネクタイに合うワイシャツやメンズウオッチなど6~7点に集中し、じっくりと宣伝文句を考えていった。

 こうした取り組みの結果生まれたヒット商品が1万4800円の羽根布団8点セット。「男性は眠りを重視しているものの、買う時間がない」と考え、販売することに決めた。すると1カ月で100万円を販売した。

 日本でも、仕事の片手間にドロップシッピングを実施している人が着実に増えている。若い世代だけでなく、中高年の男性や主婦も積極的に参加しているという。日本のドロップシッパーは現在約10万人と言われている。

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