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米国のお父さんが「スカイライン」を選ぶワケ

「ミニバンなんか乗りたくない」という本音

  • 牧野 茂雄

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2007年7月20日(金)

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 かつて日本の「クルマ好き」に支持されたスカイラインも、いまや米国が最大の市場である。車名はインフィニティ「G35」。先代はモデル末期でもコンスタントに月販5000台をクリアしていた。新型は昨年11月20日に国内で、ほぼ同時に北米でも発売されたが、国内が月販計画1000台であるのに対し北米は実績ベースで約6000台。そして、日本発売のひと月前に新型は、まず韓国のインフィニティ系販売網に投入されていた。「セダンが売れない日本」を脱し、スカイラインは海外で支持されている。

 日本車の歴史を語る時、スカイラインは絶対に外せない1台だ。今年は誕生50周年。モータリゼーションがいままさに花開こうとしていた1960年代、自動車を所有することが庶民の夢だった時代に、毎週大勢の観客を集めた富士スピードウェイなどでのモータースポーツイベントで、3代目スカイラインのレース仕様車「GT-R」は大活躍した。ミニバンもSUV(多目的スポーツ車)も存在しなかったあの当事、乗用車といえば箱型の3ボックス・セダンやクーペであり、そういうスタイルの市販車で競われるツーリングカーレースに観衆は酔いしれた。

図版

「スカイライン 350GT Type SP<オプション装着車>」。価格は「250GT」の279万3000円(税込み)から

 今、新しいスカイラインを購入している人たちの多くが、60~70年代のGT-Rを知っている世代というのも驚きだ。日産によると、発売開始当初のユーザー平均年齢は50代だった。現在もその傾向は変わっていないという。「お父さんに連れられてディーラーのショールームにやってきた若い人が、昔、自分の父親があこがれたクルマを目にして、触れてみて、試乗して、クルマの楽しさを再認識してくれる。世代を超えて1つの商品に共感してくれる。そういう例もありますが、少数ですね。若い人はセダンには興味がない、自動車そのものに積極的な購入動機を持たない。それが実態ではないでしょうか」と、日産のマーケティング担当氏は言う。

 その代わり、スカイラインは米国で人気者だ。日産のプレミアム・ブランドである「インフィニティ」で、スカイライン・セダンは「G35」、クーペは「G35クーペ」として販売されているが、販売台数は昨年が合計6万台強、一昨年(2005年)は6万8000台。新型に切り替わってからは、再び販売台数が増えた。日本では、年度末の3月に車名別新車登録台数でベスト30に入ったものの、月販5000台は瞬間風速に終わった。もし、日本で月販6000台を続けると、月販平均5600台のクラウンを抜いて上級セダンのトップに躍り出る。

「適量」な反応がうれしい

 セダンを何とかしたい──、その思いは新型スカイライン発売(2006年11月20日)と同時に放映されたテレビCMに表れていた。イチローと渡辺謙を起用したCMである。「日本のセダンにときめきが帰ってきた」という大胆なセリフを2人の有名国際人に語らせるものだが、一歩間違えれば批判と嘲笑の対象になるこのセリフに、日産の自信がうかがえた。

 乗ってみれば、確かにその通りだと感じる。街中をごく普通の速度で流している時も、ステアリング(ハンドル)やアクセルペダルの操作に対してクルマが正確に反応してくれる小気味よさを感じる。反応が遅れたり、足りなかったり、多すぎたりしない。人間と機械の関係の中で「適量」と思われる反応が返ってくる。速度を上げても、峠道の連続カーブの下り坂でも、その基本的なリズムが変わらない。

 カーブを曲がる時の、旋回外側へのボディの傾き(=ローリング)も、途中で引っかかったり、突然止まってしまったりというぎくしゃくした感じがない。ミニバンやSUVなど重心高の高いクルマだと「ユーザーがローリングそのものを怖がる」という理由でわざと傾きを止めてしまうような味つけのクルマがあるが、スカイラインはロールが始まるタイミングと沈み込む速度が自然だ。その先で、タイヤが泣いてしまうような急旋回に入っても、最後にグッと足を踏ん張ってくれる。ボディは一定の傾きを保ったまま、イメージどおりのラインでキレイにカーブを曲がることができる。

 路面の凹凸をタイヤが乗り越える時も、ドンッと少々大きめの衝撃が入った後は、スッとボディの上下動が収まる。いつまでも長い周期の上下動が残る「フワフワ感」は、決して「乗り心地が良い」のではない。運転者に伝えるべき「揺れ」や「振動」はきちんと使える。しかし、不快な振動などは早めに減衰させる。そういう「路面」と「クルマ」と「乗員」の関係が筆者はベストだと思う。

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