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ブログが「テレビ番組」に

文章を動画に変換するソフト広がり、個人放送局も

  • 中原 敬太

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2007年7月19日(木)

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台詞を書いただけで、「テレビドラマ」が出来上がる――。
そんなソフトが、ブログの動画化を進める可能性を秘める。
「個人放送局」が広がる日もそう遠くないかもしれない。

 マダム:ねえ、いつになったら奥さんと別れてくれるの?
 社長 :いやいや、もう少し待ってくれ。
 マダム:あなた、いつもそうね…

 文章から動画を作成するソフトウエアを使うと、例えばこんな台詞を入力しただけで、キャラクターが身ぶりをしながら合成音声で話すドラマが自動的に出来上がってしまう。このソフトウエアを開発し、普及活動をしているのが、東北大学電気通信研究所の青木輝勝准教授だ。

世代・国境超えた交流に

台詞を入力するだけで動画ができる
台詞を入力するだけで動画ができる

 誰でも簡単にアニメーションを作れないものか――。青木氏が5月まで在籍した東京大学先端科学技術センター時代から主宰する「ムービー塾」では毎回20人程度の参加者を募集。1日がかりで動画コンテンツを作る仕組みの解説から、実際に自分でアニメを製作する作業までを体験する。同センターのある東大駒場キャンパスだけでなく、学校やサークル向けに大阪や名古屋などで“出張授業”も開催。参加者も小学校2年生から89歳のお年寄りまでと幅広い。これまでに51回開催した同塾の生徒数は延べ1000人に上った。

 インターネットを活用した高齢者の交流サークル「メロウ倶楽部」で幹事を務める若宮正子さん(72歳)も同塾の参加者の1人だ。友人に誘われて何気なく参加してみたところ、動画作りの面白さに引き込まれた。

 「だって自分が書いたものがそのまま台詞となって話すんですよ」。これこそが動画作りの魅力。さらに「動画によるコミュニケーションは世代の壁を越える」ことも特徴だ。たまたま同じ回にムービー塾に参加した小学生に、若宮さんが作った動画を見せたところ、すごく笑ってくれた。「お年寄りと孫の世代でも、動画を使えば一緒に楽しめる」。

 若宮さんが所属するメロウ倶楽部では日本と韓国の高齢者との交流も進めており、そこでも動画を活用している。アニメの動画を介することで、世代だけでなく国境を超えたコミュニケーションにも使えるわけだ。韓国語はカタカナで入力すれば、キャラクターが発音してくれる。

コンテンツ立国への道

 そもそも青木氏はなぜ、こんなソフトウエアを開発しようと思ったのだろうか。「ブログがこんなに普及してきたのに、動画コンテンツを一般の人が作るのは難しい。何とか簡単に動画を作ることはできないものか」。こう考えたのがきっかけだという。

 映像というと、従来はテレビなど技術や設備が整ったマスメディアの一部の製作者が作って発信してきた。ただ、米グーグルが買収した動画共有サイト「ユーチューブ」が爆発的な人気を呼んだり、動画にコメントを入れられる「ニコニコ動画」が急成長するなど、個人の動画への関心が強まっている。

 ところが、現在のブログはほとんどが文章や写真などによって構成されており、動画を使っても文章の間に挟み込む程度にとどまっている。青木氏は「ドラマ仕立てのような動画にすれば、ブログなどの視聴率がもっと上がるのではないか」と予想している。

 さらに青木氏は、この普及活動が「コンテンツ立国につながる」とも見ている。従来はほとんどの人が、テレビなどを通じて提供された動画コンテンツをただ受け身で見るだけだったが、実際に自ら動画作成を体験することで映像を見る目が肥え、「日本人の動画コンテンツレベルの底上げにつながる」からだ。

 青木氏が開発したデジタル・ムービー・ディレクター(DMD)というソフトウエアの仕組みを見てみよう。

 動画を作成するステップは、大きく3段階に分かれている。まずは自由にシナリオを書いてみるだけの「レベル1」。最初に設定されている演出をベースに、主語と述語と台詞を入力してキャラクターにしゃべらせてみる。

 次の「レベル2」ではカメラワークやキャラクターの顔の表情、BGMなどをつけることができる。これで少しは実際のドラマの雰囲気が出てくる。そして「レベル3」では、あらかじめ設定されているいくつかの舞台から自分で好きなものを1つ選ぶほか、キャラクターの立ち位置や向きを決める。

 冒頭の不倫ドラマでは、まずタイトルを「海辺にて」と設定。次にマダムと社長という登場人物に加え、それぞれの台詞、動きを選択する。さらにカメラの位置を最初は右前から、次は左前から、最後は正面からに設置。ウエスト(腰から上のカット)かアップ(顔のアップ)を決めると、左のような動画が出来上がる。

 DMDのソフトウエアはムービー塾に参加した生徒を対象に、ムービー塾のホームページで申し込み手続きをすれば無料で手に入れることができる。

 ただ台本を書くだけで、なぜこんなことができるのか。この魔法の裏側には、文書を動画へと変換するTVMLと呼ばれるコンピューター言語があるのだ。

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