「レクサス」で始まった自動車生産の徹底的なデータ収集が工場を変える。
品質管理、不具合対応のほか、設計・開発にまで結びつく情報革命。
販売店ともデータを共有し、「TOYOTA」ブランドでも活用する。
2005年8月に国内で発売されたトヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」は約2年を経て、販売店の展開から車種構成までほぼ当初計画した状況に整ってきた。累計販売台数は今年6月までで6万377台。当初は苦戦したモデルもあったが、ハイブリッド車の投入で人気を集めた。今年5月に発売した旗艦車種「LS」のハイブリッド車は、発売から約40日で5300台程度を受注し、月間販売目標である300台の17カ月分の予約を集めたほどだった。
こうした華々しい販売の最前線とは一線を画し、トヨタがこのLSシリーズから取り組むのはデータベースの構築による生産革新だ。以前は、検査工程で点として抑えていた検査結果を、各点をネット状につなげ、面として捉える。または同じ点で継続的に測り続け、変化を探る。点ではなく、多層的に張り巡らせたセンサーから集めたデータを統合的に処理し活用する挑戦が、愛知県の田原工場で始まった。いわば、生産現場からの情報革命とも言える。

エンジンに聴診器当て検査
車体のボンネットとその横の車体部分の隙間にノギスを当てる。2つの部品の段差を計測すると、結果はノギスから電波で脇のアンテナに伝わり、情報通信ネットワークを通じて工場のサーバーに蓄積される。部位によってその段差や隙間の許容範囲は異なっており、0.25mmの単位で管理されている部分もある。従来は0.5mm程度で管理していたことを考えれば、1段階、精密さの水準を引き上げている。


ノギスでの検査結果を電波で送り、ネットワーク経由で工場のサーバーに蓄積する。下は作業場に表示された検査結果 (写真上:高木 茂樹)
作業員が手作業で1カ所ずつ検査して、その隙間が許容範囲内であれば、作業エリアのディスプレーの表示が「緑」に変わる。ボディーの外側だけで20カ所以上を検査し、すべての表示が「緑」にならなければ、基本的には次の工程に車両は進まない。
田原工場では、レクサスの国内発売当初は「IS」と「GS」の2モデルを生産していた。昨年のLSの生産開始により、生産ラインを大幅に刷新。そのコンセプトは「できる限りの情報をデジタル化して蓄積していく」ことだ。
ここで言うデジタル化とは、数値化することを指す。様々な工程で、生産時に関わるデータを1台1台調べ、さらにその仕上がり具合までも数値化し、工場のサーバーにためている。
例えば、塗装ラインでは光沢を出すために6回の重ね塗りをしている。一般のクルマでは4回塗りが多く、多くの手間をかけている。だがその裏側では塗るたびに塗料の温度や吹きつける圧力、角度、吹き出し口を動かす速度から、作業場の湿度や温度までのデータを集めている。
車体の溶接工程ではレーザー光線などを使って、溶接後の車体のズレなどを自動的に計測。車体組み立て工程では、ボルトを締める電動レンチの駆動状況を記録する。エンジン工程では、LS向けについては、組み上がったものをすべて始動させる。聴診器を当てて異音の検査までする徹底ぶりだ。
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