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「日経型ロジック」と、広告の未来

『ソーシャル・ウェブ入門』から読み解くウェブ・広告・メディアの未来(2)

  • 山中 浩之,柳瀬博一,深川 岳志

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2007年9月3日(月)

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(この座談会の模様は「ほぼ日」でも紹介されています。リンクはこちら。読み比べてお楽しみ下さい)



―― あらゆる人にあらゆるものを伝えられる可能性と、見られるという被害の可能性と両方がある。それがソーシャル化していくことだとすると、企業側の立場から見ればこれは、今後の「広告」に大きな影響を与えそうです。

糸井重里(糸井) 無名で一生を送っていくんだという決意をした人まで含めて、あらゆる人に世界の中心が行ってしまうのが今の時代だとすると、この時代って結局、それをどう上手に伝えるかという、もう1回、広告の時代が来るんじゃないか。「俺のことなら黙っていてくれ」ということも含めて。

―― 全部、考え直さなきゃいけなくなる。

糸井 「どう伝えるか」という段階から考える時代にもう1回なって、再編成されるという印象があるんですね。だから、従来の広告は終わった、とも言えるんです。

 マスメディアを使って視聴率20%のテレビ番組の提供をがんがんやれば、リーチはすごいですよね。だけど、そこでおしまいになっちゃうものは、もう意味がないわけです。

―― 「広告をやったぞ」という、自己満足しかヘタしたら残らない。

伝えるべきものはあるけれど、伝える時間がもうない

糸井重里氏

糸井重里氏

糸井 歯磨き粉を1個売るにしても、20億円を掛けてテレビを使って、でも使った割には売れなかったなということになる。同時に、じゃあ、どうすれば売れるんだというときに、著名なブロガー、たとえば滑川さんの本を絶賛した小飼弾()氏が売れば売れるかというと、それも分からないし、俺がやってもだめかもしれない。

 オープンソース・プログラマー、元オン・ザ・エッヂ取締役最高技術責任者。活字中毒者としても知られ、ブログ「404 Blog Not Found」が人気

 もう再編成なんですよ。「こうすればいい」なんていうことではなくて。問題は、伝えるべき対象が人口の数以上にあるのに、スペースはほとんどないということなんです。

滑川海彦(滑川) 1日のアテンション()は最大24時間。一番貴重なのはやっぱりアテンションですよね。

 attentionは「注意」の意。アテンション・エコノミクス(注目経済学)は、情報量が増える一方であるのに対し、人の処理能力や対応時間はあまり変化がないことから、人々の注目を集めることが重要になってくるとの考え方で、人々の注目を基本にした経済を研究する

糸井 世界のメタンガスはふつふつわいているのに、火がつかないんですよ。

 僕は、デパートのショーウインドーって大好きだったんです。よくショーウインドーって何だろうなと思いながら前を通っていたんだけど、ここに「当店にあるもので、これが一番素敵です」というメッセージがあるわけで、あの商品しかなかったらデパートじゃない。

 だけど、2階にショーウインドーって作れないわけで、1階のショーウインドーだけが「素敵」なんですよ。デパートの中にある無数の商品って、あのウインドーに出てないんですよね。

 アーカイブ化もできるし、みんなが言葉を発することができるインターネットの世界が超巨大なデパートだとして、ショーウインドーに当たる部分と、それから人が前を通り過ぎる可能性を考えると、もう1回、広告論になっちゃうんです。

 で、どうなのと。つまり、人は(その状況を)受け止めるしかないよと。それにしてはみんなが情報の生産ばっかりしちゃっている。

アテンションという希少資源を手に入れるには

滑川 世界でインターネットに常時接続している人が1億人だとすると、1億人×24時間が最大値。当然24時間インターネットを見ている人はいないわけだから、1億人が1時間ずつ見ていたら1億時間しかないわけですよね。

糸井 それはすごく少ないということですよね。

滑川 すごく少ない。一番少ないのがそれなんじゃないか。アテンションの総数というのが一番貴重資源に、今、なっているんじゃないかという気がしますね。

糸井 それは同時に、高度な資本主義というのが市場を中心にしてしか物が動かなくなっている。つまり、買う人がいなかったらいくら作る技術があっても意味がないというのと同じで、受け取る側がどういうふうに何が欲しいかを考えないと。

『ソーシャル・ウェブ入門』

 滑川さんの本(『ソーシャル・ウェブ入門』)みたいに、どうやって世の中を便利にしようか、と考えている人のものは確実に人は飛びつきますよ。だけど、「特に何かやりたいことはないんだけど、適当にごちゃごちゃっと作ったので、使ってよ」というのでは使いたくない。あるいは「とにかく安いんだ」とかね。そんなものは全然魅力がないです。

 何でも作れるという人がいても、すぐに商売にはならない。これからは受け手がどういうふうに開拓されていって育っていくか、どういうふうに受け手が受け手としてのクリエイティブを持つか。価格と品質をめぐる市場論争と同じことが、今度は情報とか、感情のやりとりという市場をめぐって起こるでしょう。

 果たして争奪戦になるのか、育成になるのか、発明になるのか分かりませんけど、これからは全部、消費をめぐっての開拓時代が始まるんだと俺は思っています。そこに前回お話ししたタグの概念が入ると、全部ありになるんです、だじゃれから何から。

コメント1件コメント/レビュー

「実際は有限の僕がどこかでふられたり、どこかのおばちゃんに手もなく何か腕をねじられたりしているわけで、そこの有限の部分でしか、本当は市場も情報も感情も交錯できないんだということを、ずっと俺は言いたいんですよ」…ことweb論における糸井さんの思想は、この下りに9割方集約されていると思いました。その「身体性の通過」さえ分かれば、全てが見えてきます。誰にでも「ほぼ日」のようなコンテンツが作れるということが分かります。早速、自分も始めてみたいと思います。良い記事をありがとうございました。(2008/09/14)

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「実際は有限の僕がどこかでふられたり、どこかのおばちゃんに手もなく何か腕をねじられたりしているわけで、そこの有限の部分でしか、本当は市場も情報も感情も交錯できないんだということを、ずっと俺は言いたいんですよ」…ことweb論における糸井さんの思想は、この下りに9割方集約されていると思いました。その「身体性の通過」さえ分かれば、全てが見えてきます。誰にでも「ほぼ日」のようなコンテンツが作れるということが分かります。早速、自分も始めてみたいと思います。良い記事をありがとうございました。(2008/09/14)

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