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未来予測を怠っていませんか

21世紀の経営は、科学の力をもう少し信じよう

  • 宮田 秀明

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2007年9月14日(金)

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 世界最高峰のヨットレース「アメリカズカップ」の各チームには、2人の意外なメンバーがいる。弁護士と気象予報士だ。

 ヨットの構造からセーリングの仕方まで厳しくルールで規定されていて、少しでもあやしいことがあると他チームから訴えられるので弁護士がいる。風が動力を与えてくれてヨットが動くから、もちろん、気象予報士が必要だ。気象予報士は一番上流の司令塔といってもいいくらいだから、一流の人を選ばなければならない。2000年にニュージーランドで行われた大会のときは、ボストンに住む米国人の気象予報士ケン・キャンベルを採用した。

 単に天気の予測だけでなく、風速の予測を行わなければならないので、できる限りのすべてのことをする。人工衛星からの情報、米国と欧州の2つの数値モデルからの予測情報をインターネット経由で獲得し、オークランド地方の天気予報とレース海面近くの測候所のデータも使う。さらに、レース直前はレース海面上の3地点に配置したボートからの情報も統合し、約2時間のレース中の風を予測する。

天気予報は、かなり難易度の高い未来予測

 ところが、これがなかなか当たらないのだ。予選では1回戦、2回戦、3回戦ごとにヨットを替えてもいいし、色々な部品も替えていいことになっているので、開始される1週間前に約2週間の試合期間中の平均的な風速が欲しいのだが、満足に当たったためしがなかった。その時ラニーニャになっていたからだけではなかった。ニュージーランドの気象の変化が激しすぎるのだ。

 太陽がまぶしいと思っていたら、30分後に雨が降ったりする。55年間のデータを統計解析した結果、10月の南半球の春の盛りは、結構風が強いはずだったのに、フタを開けてみたら弱風の日が多いといった具合だった。結局、信頼性が高かったのは翌日の天気と風速の予測だけだったかもしれない。

 台風の進路予測はピタリと当たることが多い。それに比べて天気予報ははるかに難しく、最も難易度の高い未来予測の1つと言える。各国の気象庁は世界最先端のスーパーコンピューターを駆使して天気予報を行っているが、やはり1週間後の予報になると力尽きて、外れることも多い。今年は暖冬とか冷夏とか、もっと長期の予測は信じないほうがいいくらいだ。

コメント4件コメント/レビュー

ヨットレースにおける気象予測の不確実性に直面されたと言う事だが一週間後の予測は困難だけれど明日の予測精度は高い。問題なのはそれに対応してゆくクルーの力量や束ねるリーダーシップなどマンパワーが問われるのがレースではないか。ミクロとマクロ経済を統一する理論など存在しないし、せいぜい前提条件をおいたミクロの予測に有意が見出せると考えるべきだ。書籍出版を見ればPOSの普及により多くの本屋は知識の小売業から流行とゴシップの専売所に成り果て、最後の砦である古本屋も同じ方向にある。データーを収集して予測をした結果合成の誤謬に陥り、文化を支え導くべき書籍出版が使命を放棄し商業主義に堕し収益を逓減させる悪循環に捕らわれているのだ。(2007/09/14)

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ヨットレースにおける気象予測の不確実性に直面されたと言う事だが一週間後の予測は困難だけれど明日の予測精度は高い。問題なのはそれに対応してゆくクルーの力量や束ねるリーダーシップなどマンパワーが問われるのがレースではないか。ミクロとマクロ経済を統一する理論など存在しないし、せいぜい前提条件をおいたミクロの予測に有意が見出せると考えるべきだ。書籍出版を見ればPOSの普及により多くの本屋は知識の小売業から流行とゴシップの専売所に成り果て、最後の砦である古本屋も同じ方向にある。データーを収集して予測をした結果合成の誤謬に陥り、文化を支え導くべき書籍出版が使命を放棄し商業主義に堕し収益を逓減させる悪循環に捕らわれているのだ。(2007/09/14)

天気予報と天気実況を比べたら、役に立つのはどちら?3日先が見えるようになる事は、重要な競争力です。しかし、日本のホワイトカラーの中で、「定量分析」を行う職場は極端に限られているように思えます。欧米では「ビジネスアナリスト」という職種があり、データ分析をおこなっています。日本ではせいぜい縦横集計をする程度のレベルが大半ではないでしょうか?工場の生産性での競争だけではなく、ホワイトカラーの予測能力での競争に参戦できれば、日本もまだまだ生き残れると思います。(2007/09/14)

気象変化は、非線形微分方程式で表現されます。現時点のデータを初期値として計算させると、初期値のわずかな誤差が時間とともに増幅するため、正確無比な長期予報は未来永劫に不可能です。決定論者でなければ、完全な予報が無理なことは容易に受け入れられるでしょう。一方、一般の方には、実感がないでしょうが、予測精度が徐々に向上していることも事実です。気象は専門ではありませんが、ビジネス・パーソンであるサイエンティストの一人として弁護させていただきます。(2007/09/14)

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ヘレン・フォン・ライス イケア・ジャパン社長