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安倍辞任を広告コミュニケーションの視点から見る

  • 須田 伸

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2007年9月19日(水)

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 先週、安倍総理が突然の辞任を発表しました。

 さまざまなメディアが、さまざまな分析をしていますが、今回、私は広告コミュニケーションという観点で、この政治劇を解いてみたいと思います。

 「文藝春秋9月号」に作家の塩野七生氏が「安倍首相擁護論」を寄稿されたのは、今回の辞任騒動どころか、自民党が大敗した参議院選挙の前です。

 一部を以下に引用して紹介します。

 首相としての安倍氏は私にとって、「買っていない」というよりも「好み」ではない。政治という虚実からみ合う世界のリーダーとしては、誠実のあまりか単純すぎる。大衆民主主義時代の有権者の心理がわかっていない。女はなぜ男に惚れるのかを、考えたことはあるのだろうか。

 民主主義政体下の有権者とは、「何をやったか」で支持するのではなく「何かやってくれそう」という想いで支持を寄せるのである。

 業績から判断して投票するのではなく、期待感で票を投じる人々なのだ。業績によって評価を下すのは、政治的センスをもったごく少数の有権者か、それとも歴史家か、でなければ歴史家的なセンスも兼ねそなえている新聞記者だけと考えたほうがよい。

 安部氏に、政治家として、リーダーとして、決定的に欠けている資質とは何か? 今回の安倍総理の辞任後に書かれたさまざまな分析を読みましたが、参院選前に塩野氏が書かれたこの文章ほど的確に表現したものは見当たりませんでした。

 政治リーダーとは、「何かやってくれそう」「好きだ」で本来、選ばれるものなのです。そんな単純な事実が、戦後の米ソ冷戦構造の中、アメリカの庇護の下においてのみ可能だった自民党一党支配で、派閥の論理で首相が選ばれてきた日本においては、長く忘れられてきました。

 この政治本来のリーダーの選ばれ方を、ひさびさに日本に持ち込んだのは、前総理の小泉純一郎氏です。でも、小泉氏の話はまた後にします。

まずアメリカの大統領の話から始めたいと思います。

「I like IKE.」こそ、アメリカ大統領選挙の本質

 現在、選挙運動中のアメリカ大統領選挙は、民主党はオバマ氏と、ヒラリー・クリントン氏の2人が指名争いの本命です。一方、共和党では、ジュリアーニ前ニューヨーク市長が現在世論調査ではトップですが、まだまだ絞られている段階ではありません。この共和党の大統領候補として今、急速に人気を集めているのはフレッド・トンプソン元上院議員です。フレッド・トンプソン氏は、元上院議員であると同時に、現役の人気役者です。

 役者から大統領といえば、1980年代のアメリカ大統領、ロナルド・レーガン氏が思い出されます。

 直接国民が投票して国のリーダーを選ぶ大統領制において、人々の心をつかむカリスマ性、スピーチのうまさなどで、優れた俳優が選ばれるのは不思議ではありません。また議会制民主主義である日本でも多くの政治家が、お笑い芸人やアナウンサー出身などのタレント議員です。

 俳優出身ではありませんが、第2次大戦後に、アイゼンハワー大統領が選出された際も、国民からの熱狂的な支持がありました。

 「I like IKE」(俺はアイクが好きだ!)は、広告のキャッチコピーの教科書にも出てくる有名なフレーズですが、この時の大統領選挙の際のスローガンであり、支持者たちはこの言葉のついたバッジやTシャツ、プラカードを掲げて、アイゼンハワーに投票するように呼びかけたのです。

 アイゼンハワーの後も、記憶に残る大統領は皆、国民から「I like ●●●」型の支持を受けています。

 例えば、ジョン・F・ケネディ。凶弾に倒れて伝説の大統領となりましたが、彼もまた国民から圧倒的に「好きだ!」と支持された大統領でした。

 先にあげたレーガン氏も同様です。レーガン陣営が2期目の大統領選挙の際に制作した「It's morning in America again」というテレビCMは、大統領選挙におけるテレビCM史上、もっとも美しく、またもっとも効果のあった作品として、今でも広告業界の選挙キャンペーンのお手本にされますが、それもレーガン氏が候補だからこそ機能したのです。

 そして90年代の、クリントン大統領。彼もまた、国民から愛された大統領でした。何より、スピーチが素晴らしかった。

 クリントン氏が大統領だった当時、私は毎年の年頭教書演説(The State of the Union)を、会社をさぼってでも(時差の関係で日本の昼前に行われます)欠かさずCNNで見ていました。

 それは広告のプロとして、学ぶことが多いと思ったからです。

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