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あの病みつき商品の王者の神秘性

川上産業の「プチプチ」に見る芸術的技術(1)

2007年10月15日(月)

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 日本人なら老若男女を問わず、「プチプチ」と聞けば何のことかすぐ分かりますね。素晴らしいネーミングです。ちなみに英語圏では「泡の包み」、中国では「泡の敷物」、フランスでは「泡の紙」、ドイツでは「エアクッション的な包み」と呼ばれています。

梱包・包装に欠かせない「プチプチ®」は川上産業の登録商標。粒の大きさ、色、厚みなどの種類がとても豊富で、用途によって使い分けられる

梱包・包装に欠かせない「プチプチ®」は川上産業の登録商標。粒の大きさ、色、厚みなどの種類がとても豊富で、用途によって使い分けられる

粒がハート形になっていてカラフルな「はぁとぷち」はプレゼントなどのラッピング用

粒がハート形になっていてカラフルな「はぁとぷち」はプレゼントなどのラッピング用

 日本の「プチプチ®」という愛称、実は業界のパイオニアで現在も圧倒的なトップシェア企業である川上産業の登録商標です。海外ではその形や機能を解説するという論理的な表現になっていますが、日本の名称は、気泡状であることも、クッション材であることにも一切言及せず、擬音語のみで俳句のようです。それも本来の包装の役目を終え、最期に指で潰されてしまう瞬間のシーンを表現しています。さすがに情緒の国、風流としか言いようがないですね。

 プチプチの正式名称は、梱包用気泡型緩衝シートとでも申しましょうか。高級お菓子の缶を開けると入っている、あのツブツブ状のポリエチレン製のシートです。実用化されたのは1960年代初頭ですので私とほぼ同世代です。小さい頃、頂き物のお菓子のブリキの蓋を開けると一番上にこれが入っていて、お菓子もさることながら、これをプチプチするのが楽しみだったことが思い出されます。

 ちなみに、通常は主に業務用途で用いられるプチプチシートですが、高級系お菓子の容器が一般のチビッ子たちとプチプチとの人生最初の出合いであるという図式は今も昔も変わらないのだそうです。

老若男女だけでなく猿もプチプチしたくなる

川上産業プチプチ文化研究所の杉山彩香所長

川上産業プチプチ文化研究所の杉山彩香所長

 前回のコラムでは、指のお供を目指すボールペンについて紹介しました(“何となく離れられない”の秘密)。思わず、指でカチャカチャし続けてしまうペンという設計コンセプトは、従来の人間工学のレベルを超越した新次元を拓くものかもしれないという話でした。この病みつきになる指の動作というトピックスを扱う時、誰もが知っている「あーそれそれ、なんだかやっちゃうよね」という商品の王者が「プチプチ」なのです。

 今回は川上産業のプチプチ文化研究所、杉山彩香所長にお話を伺いました。そもそも病みつきになる動作の話題でしたが、プチプチの深層心理は深遠です。先ほどは老若男女と申し上げましたが、実際にいろいろな被験者にプチプチの魅力を試してみたのだそうです。その結果は驚くべきものでした。

(1)人種は問わない
会議室にプチプチ入りのお菓子の容器を置いて様子をうかがうと、米国人も、インド人も、アフリカ系もラテン系も広くあまねくプチプチしたそうです。
(2)年齢を問わない
赤ん坊でもプチプチすることが確認されています。生まれて初めて見るにもかかわらず、赤ちゃんは潰そうとするそうです。1歳半くらい以上で指が使えるレベルなら、プチプチの虜になるのです。
(3)高齢者も気に入るらしい
介護施設からたまにロール巻き単位でのオーダーが入るそうです。医学的な効果は確認されていないのですが、介護の現場では、お年寄りも結構熱中するので重宝しているという事例もあるとのことです。認知症の予防として、指先の運動にちょうど良いのかもしれません。
(4)種の壁も越える
お猿さんも虜になるようです。猿がラッキョウの皮を剥き続けるという小咄は有名ですが、某TV番組の実験では本当にプチプチしたそうです。

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「あの病みつき商品の王者の神秘性」の著者

川口 盛之助

川口 盛之助(かわぐち・もりのすけ)

盛之助 代表取締役社長

戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官