今、韓国南部の慶尚南道(キョンサンナムド:半島の南部の行政区)の近隣地域では、造船業をはじめ重厚長大産業の元気がいい。海に面していて、日本で言えば九州のような地域である慶尚南道の道庁所在地、昌原(チャンウォン)にある慶南発展研究院から、7月のある日、電話がかかってきた。滑らかな日本語だ。きっと日本への留学経験のある方なのだろう。
「昌原で今年、“ヨット・コリア2007”というフェスティバルを11月1日から4日まで開きます。韓国では海洋文化や海洋スポーツを振興する動きが高まっていますし、アメリカズカップにも関心があります。ぜひ、先生に来ていただいて基調講演をしてほしいのです。OKでしたら、これから全体のプログラムを企画します」
韓国では、最初はアカデミックな業績で、その後は私のヨットの科学や、アメリカズカップのプロジェクトマネジメントをテーマにした都合3冊の本が韓訳されていることで、どうやら私のことを知っている人も多いらしい。
10年前、私の研究室のメンバーとなったI君は釜山出身。お父さんはベトナム戦争の兵士で、複雑な家族を持つ学生だったが、釜山海洋大学でヨット部に所属していた。いろいろな意味で珍しい学生だった。彼の話では、その頃の韓国のヨット人口は300人か3000人かよく分からないけれど、取るに足らないレベルだと言われていた。この10年のうちに、韓国の海洋文化は大きな進歩を遂げたようだ。
韓国の造船産業はなぜ活況を呈しているのか
今、世界の造船産業は韓国が引っ張っている。現代重工、三星重工、大宇造船海洋の3社が中心企業だ。
この3社の拠点はすべて、韓国南部の釜山から車で1時間ほどのところにある。日本の瀬戸内海地方もまだ存在感があるが、釜山周辺地域はその一けた上の存在感を世界に誇示している。液化メタンガスを運ぶLNG船や、1万個以上のコンテナを運ぶ超大型コンテナ船のほとんどは、この地域で建造されている。世界の海洋資源開発用の設備の約50%もここで製造されている。
世界の海洋産業のメッカは米国ヒューストンだが、製造のメッカは釜山周辺地域と言っていいだろう。港湾としても日本のすべての港を抑えて、釜山が国際ハブ港としての地位を確固としたものにしている。西日本の企業は、神戸、大阪の港を使う代わりに釜山を使うケースが増えている。東京から釜山まで48時間でコンテナを運ぶサービスも行われている。釜山が国際ハブ港で、日本にはハブ港がなくなったからだ。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。




からのご案内




