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「クチコミを仕掛けろ」と上司に言われたら

(バイラル編-3)

  • 波多野 絵理

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2007年10月15日(月)

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 あなたがメーカーの商品広告担当だったとして、実際にクチコミ(バイラル)マーケティングをやろうとしたら、どんな方法があるのだろうか。「面白そうな動画を作って、ウェブに掲載していれば、勝手にお客さんがやってくる」という単純な構造ではどうもなさそうだ。企画立案からはじまり、実際のサイトや動画などクリエイティブの制作、シーディング(種まき)と呼ばれる、ネットに情報をまく働きかけ、伝播経路の追跡、そして効果測定と、やるべきことは山ほどある。そもそも、これっていくらかかるんだ?

 そのあたりの詳細を単刀直入に聞いてみよう。外資系のバイラルマーケティング会社でキャリアを積み、新たに日本で起業したトライバルメディアハウス取締役副社長・池田紀行氏にお答えいただいた。

―― ひとくちにバイラルマーケティングといっても、さまざまなお仕事があると思うのですが、具体的にどんな作業をされるんでしょうか。

池田 バイラルキャンペーンには、1:全体の設計をして、2:クチコミされる素材を作り、3:作ったものを広げ、4:広がった結果を測定する、という流れがあるんですね。いかに伝播するものを作れるかというクオリティの側面と、それをクチコミで広げていくために、種まき(シーディング)をする作業が必要なんです。もちろん全面的な設計から、それぞれの局面、たとえばシーディングだけをお手伝いするようなこともあります。

 たとえば、「動画は作ったけれど、イマイチ広がらない」ということなら、ネット上で話題を発火させるためのシーディング業務だけをお引き受けすることもできます。ですがそういった「ありもの」の場合、動画を見た瞬間に「これはここまでだな…」というのが分かってしまうんですよ。一次ユーザーに広げるところまではお手伝いしますけど、そこから先、2次伝播以降は、クリエイティブ自体のパワーがないと広がらないんです。

 人は、見て面白いと思ったら広げるし、つまらないと思ったらつまらないと広げる。どっちでもなかったら広げない、そういうものですよね。いま、世の中にあるコンテンツは、大半が「どっちでもないもの」です。

―― 広がりそうかどうか、ある程度は具体的に分かるんですか。

 バイラルCMの基本はクチコミですから、すべての原動力が人間なんですね。ということは、それを仕掛けるには、人間の心理学的視点が大切です。そこで重要なのは、何を思ったときに人間はギャップを感じ、インパクトを受け、どういうモチベーションがあれば人に伝えたいと思うのか。我々のチームではそれらの要因を積み重ねた細かいチェックリストを作っているんです。それらを、ストーリーを作る時や、演出や尺(時間)を決めたりする時にも応用します。これは何もバイラルCM(動画)に限ったことではなく、その他のクチコミ施策全ての共通するものです。

 うまくいかないバイラルCMの場合、まず動画そのものの尺が長くて、起承転結もヤマもない。見終わった瞬間にギャップも発生しないんです。「えー?」とか、「ああ、そういうことか!」「なるほど~」なんていう感情の動きが起きなければ、誰かに伝えようとは思いませんよね。単体で完結するエンターテインメントコンテンツならそれでよくても、他人に伝達する気にさせる、バイラルが目的ならそれではダメ。

 動画が面白かったとしても、いざ友達に「これ面白いよ」勧めようと思った時に、URLやブログへのタグの張り付け方が難しかったりすると、もう、ストップ。そういった1個1個の細かい機会ロスをなくすために万全の準備をしておくことも、クリエイティブ同様、たいへん重要です。壁紙データがあったり、携帯の待ち受けがあったり、PSPやiPodビデオにもダウンロードできるようになっていたり。さまざまなデバイス用のデータを用意するとか、ブログにはこのタグといった具合に、やれることはいろいろあります。面白いと感じた瞬間、見た人が次にやることがスムーズにできるような仕掛けを準備しておかないと、コンテンツがよくても、広がりが限定されてしまいます。

はやる動画は、クライアントが嫌がる?

―― なるほど。ただ「ギャップ」「インパクト」がバイラルムービーに必要なのは分かりますが、クライアントの企業はイヤがりませんか。それを意識すると作品はどぎつくなりがちですよね。海外で成功しているものを見ても、日本だったら「これは企業名出してやっていいんだろうか」と思っちゃうようなものがけっこうあります。

 たしかに、その部分はしんどいですね。バイラルと聞くと、刺激的とか、行き過ぎとか、ブランドイメージを壊すんじゃないかと想像する方がけっこういらっしゃいます。でも依頼企業のほとんどは大手上場企業ですよ。ですから、既存のブランドイメージを大切にしつつ、いかにそのブランドを若返らせるかとか、「いつもあそこってチャレンジするよね」といったイメージを持たせることに腐心するわけです。

 我々はマーケティングエージェンシーなので、全体的な現状の課題を抽出して、そこから解決の方向性を見いだし、解決するためのコアなアイデアを考えて、最終的には数値目標まで落とし込みます。そういった、ある意味まっとうな戦略のフレームワークの中で、見事にジャンプさせるのが我々を含めたクリエーターの腕の見せどころなんだと思います。

―― ネット広告の重要性と可能性を認識した担当者が「バイラル・マーケティングをやってみたい」と思ったとしますね。その次に出てくるのは、社内の壁ということも多いようです。ネットのことが分からない上司を説得する手だてがなかったり、予算の制限だったり。

 たしかに、最近お話させていただいているクライアントのウェブ担当者の方は、よく勉強されていらっしゃいます。「ネットでクチコミをやってみたい」という方も増えてきました。そういった方々は現状のマス広告に限界も感じているので、チャレンジしなければならないことも理解できているようです。しかし、やはり上司の方のご理解や、失敗が許されないという縛りが壁になることは多いようです。

 AD(広告)とPR(広報)とSP(販促)の垣根が低くなっていて、以前に比べると、マーケティングの投資効果に対して、ずっと厳格に成果を求められていますから。気楽に着手して失敗しました、では済まないわけです。これは大手も中小も関係なく、同じ傾向です。

―― とはいえ、訪問頻度が高いサイトと売れているサイトは別ですよね。

たとえば、こんなふうに説明する

 それはあります。それもネットだから数値で厳密にでてくるからわかることですけどね。

 例えば自動車であれば、「車が売れてナンボ」というところがありますね。我々にバイラルプロモーションを任せていただいても、車のスペックやデザインがいまひとつだったら、結局そんなに売れないわけです。そうした場合は、ネットの中での最終的なコンバージョンと、売り上げと、一番最終的に我々が努力することで動かし得るパラメーターを提示します。

―― クライアントに対してするように、具体的に説明していただけますか。

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牛島 信 弁護士