「キーマンに聞くネット広告の未来」

クチコミ広告、まずは「お試しセット」から

(バイラル編−4)

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2007年10月17日(水)

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−−ブログなどでの「クチコミ」を狙う「バイラルマーケティング」のお仕事をされている池田(紀行・トライバルメディアハウス取締役副社長)さんにお聞きするのも失礼ですが、「クチコミは金で買えるのか? 買っていいのか?」という議論もでてきませんか?

池田 多数のブロガーを抱え、指定した内容を指定人数のブロガーが自分のブログに書いてくれるというサービスを提供している企業さんもありますね。これは私見ですけれど、そういった企業さんに登録しているブログには、書いている人がそもそもアフィリエイトやアルバイト目的というものが少なくありません。なので、リーチという意味で、影響力はそんなにないんです。利点は、検索エンジンでのランキングを上げるSEO効果です。低コストで数百人から1000人ぐらいのブロガーが1週間ぐらいで掲載してくれるので、GoogleやYAHOO!の検索で上位表示されることが期待できます。

金で買えるクチコミに意味はあるか?

―― そもそも、ブログで会社や商品の名前が出ると、それは販売につながるものなんでしょうか。

 マーケットシェアとクチコミシェアの相関を計ると、業界1〜2位の企業は、かなりきれいに相関しているというデータがでています。ポジ反応かネガ反応かということも重要ですが、一般的な企業や商品であれば、そこまでのネガ反応なんてありません。どれだけの人が興味関心をもっているのかという尺度が大切で、注目すらされない商品は、結局商品の検討・購買時の選択肢にもあがりません。そこに、バイラルキャンペーンやクチコミマーケティングを展開する意味があります。話題になって、アテンションをあげて、キャンペーンサイトに誘導しましょう、という流れを作ることができますから。

 それで一番成功した例は、ちょっと古いですがSONYのブラビアじゃないでしょうか。効果的な動画を見せるしっかりしたウェブサイトを作っておいて、その動画をバイラルでまくことで、新たな視聴者を誘導し、認知を広げ売り上げにつなげました。海外でも話題になりましたよね。あれは、この良い例だと思います。

大手代理店には、面倒で手を出しにくい

―― ウェブはテレビだけでなく、新聞、雑誌、ラジオ、どのメディアとも結びつきやすい媒体です。いくつものメディアを組み合わせ、クロスメディアとして相互作用を展開し、そこにバイラルキャンペーンも入れていく。それによって広い範囲で効果的に認知され、大きな流れができるというのが、クロスメディアの考え方ですね。でも、基本的にウェブとクロスさせるべきマス4大メディアの広告は、大手広告代理店がしっかり握っているのではないですか?

 そうですね。でも、ウェブはやるべきことが多岐に渡り、手間もかかりますので、大手代理店だけでは対応に限界がある場合もあります。「こんな細かいことやってられない!」ということもあるでしょうし(笑)。そこで我々のような、ネットマーケティングに詳しい会社が呼ばれて、タッグを組んで動くこともあるんです。ただ、日進月歩の世界ですし、新しい技術や手法が次々に出てくるため、代理店の営業担当の方も全てを掌握することが大変なようです。

―― どういうことですか。

 広告業界にいるプランナーさんやクリエーターさんは、ウェブやIT技術に対する認識が相当高くなってきています。ですが、実際にそのプランをクライアントに説明したり販売するのは営業の方のお仕事ですよね。営業マンの多くは、今までマス媒体を中心とした広告を提案してきていますから、ネットを中核としたクチコミマーケティングの全体像や詳細まで説明するのは大変です。営業の方自身が腹に落ちていないと、説得力をもって提案することはできませんからね。

―― クライアントに対して説得力を持てるような、営業の方がやりやすい仕組みが必要になる。

本気でやるなら3000万円!?

 バイラルキャンペーンは本気で作り込んでいくと大変です。クライアントに理解していただくことも多くなるし、費用もかさみます。

―― ガチンコでバイラル広告をやったら、どのくらいかかります?

 本気でやるなら、たぶん最低で3000万ぐらいは予算がないと「ウェブで盛り上がってるね」という印象にはならない。と、本音では思います。

 時代はどんどん、楽にバイラルが起きる状況じゃなくなってきてますし、コンテンツを作るにもクオリティを求めると、費用と時間がかかる。受け皿のキャンペーンサイトも作り込み、全体の設計もきちんとやらないと、新しい風を吹かせるつもりが、そよ風程度で終わってしまう。

 そこで我々は、「お試しパッケージ」を作ったんです。

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著者プロフィール

波多野 絵理(はたの・えり)

1961年東京生まれ。女子美術大学芸術学部卒業、国書刊行会に入社。退職後、フリーライターとして活動開始。80年代から、旅行ガイドブック、「日経クリック」などのパソコン誌、オンライン書店(立ち上げから運営まで)、デジタルメディア制作会社などを経て、現在、新聞・雑誌の編集・取材・執筆、ウェブ用テキストやメルマガ制作などを行っている。ホームページはこちら



このコラムについて

キーマンに聞くネット広告の未来

ネットの動力源として欠かせないのが「広告」。Googleもそうだし、本サイトもそう。資金は広告から得ているところがほとんどだ。だとしたら、ネットの未来と広告の未来は大きく重なるはず。その近未来の姿を、業界のキーマン達から読みとってみたい。現場の悩み、夢、斯界の論客が書く絵図など、さまざまな角度から「ネットと広告の未来」をお送りする。

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