前回は通信事業者から見たNGN(次世代ネットワーク)について書いてみた。今回は、NGNを使う企業ユーザーの視点から、NGNを見てみよう。
ここ数年、企業が使う通信サービスは光ファイバーの普及をきっかけに大きく様変わりしている。
高価だが回線を占有して使える専用線の利用が減り始めたのは99年度のこと。140.6万回線をピークに減り続け、2005年度は79.2万回線(出典は平成19年版 情報通信白書)となった。これに取って代わったのが、ほかの企業とネットワークの一部を共有する代わりに料金を抑えられる「IP-VPN」や「広域イーサネット」といった網型サービスである。
その背景にはコストダウンへのニーズがある。どうしても信頼性や帯域を維持したいところには専用線を使い、それ以外のところ、特に支社や支店などの小規模拠点は光ファイバーを使って網型のサービスに収容するいう形態が定着した。以前はxDSL回線を使う企業も多かったが、xDSLよりも高速で距離にかかわらず使える光ファイバーのエリア拡大とともに移行が進んでいる。
これらサービスと専用線との最大の違いは、利用できる帯域や信頼性などを保証しない「ベストエフォート型」である。例えば光ファイバーの速度は「最大100Mビット/秒」といった表記をするが、これは「速いときはこれくらいのスピードが出ますが出ないときもありますよ」という意味だ。それでも日本の通信サービスの品質は高く、ベストエフォート型でも業務で使うのには十分。そう判断した企業が次々に社内に導入しているのだ。
さらに、かつては企業の支線系で使われることが多かった光ファイバーが、幹線系でも使われるようになってきた。最近ではNTTの光ファイバーとフレッツ網(アクセス回線である光ファイバーなどを収容するIPネットワーク、NTT東西が提供する)だけで、企業ネットを構築する企業も増えている。こうした環境の中で、光ファイバーをアクセス回線として使うNGNはどう企業に使われるのだろうか。
「NGNという名前を変えるべき」
「日経コミュニケーション」は2007年5〜6月に、企業のネットワーク担当者を対象にNGNをテーマとしたアンケートと座談会を実施した。将来、企業にとって重要なインフラとなるであろうNGNが、ネットワーク担当者にはどう見えているかを把握するためだ。
3社のネットワーク担当者を集めて実施した座談会の席上、ある企業の担当者から厳しい意見が飛び出した。「NGNという名前を変えたほうがいい」−−。
NGNのNext Generation Networkという言葉は、従来の電話網の“次”のネットワークを意味している。これは通信事業者の内向きの言葉であり、ユーザーには直接関係ない。それよりもユーザーが「新しいサービスを使えそう」と感じられるインパクトがある名前の方が良いというのだ。
同じような指摘を筆者は別の取材の場でも聞いている。「海外ではNGNという言葉はあまり聞かない。IPTVやFMC(fixed mobile convergence)など、サービスをイメージできるものならよく使われるし、ユーザーにも通りがよい」。
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