• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

創造的な経営をするために

メンバーの能力を100%発揮させる「スカンクワークス」手法に学ぶ

  • 宮田 秀明

バックナンバー

2007年10月19日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close


 2000年の「アメリカズカップ・ニュージーランド大会」への参戦を思案していた1995年4月、国立大学教員の民間企業への兼業が解禁された。もちろん技術移転のような正当な目的のためだけのものだ。そうして私は同年8月、株式会社ニッポンチャレンジ・アメリカズカップのテクニカルディレクターに就き、日本チームの運営の一端を担うことになった。
 
 経営ボードメンバーは会長と3人のディレクター。会長の山崎達光、オペレーションディレクターの菊池誠、セーリングディレクターのピーター・ギルモア、そして私である。
 
 実質的には3人のディレクターによるトロイカ体制の経営だったが、その間、たくさんの失敗を経験した。レースのちょうど1年前、有力チームがオークランドのレース海面で練習試合を繰り返しているのに、日本チームは遠征できなくて、絶好の練習機会を無にした。試合はマッチレースなのに2チームを編成できなくて、マッチレース形式の練習を行えなかった。この2つの失敗の主因は資金不足だった。

 試合中も、準決勝に投入する艇を間違えるという大きな失敗をした。予選3回戦で快進撃を続けたJPN52「韋駄天」ではなく、JPN44「阿修羅」を選んでしまったのだ。マッチレースの結果ではなく、単なる練習セーリングの結果を尊重したミスだった。
 
 経営の失敗を挙げればキリがない。私の経営経験は特殊で小さな規模のものだけだが、それでも経営がいかに難しいことであるかは分かるようになった。

世の中に存在しない戦闘機を作り出した「スカンクワークス」

 ステルス戦闘機など技術の先端を切り開くような技術開発の経営も大変難しい。以前にも紹介した「スカンクワークス(skunk works)」(関連記事「“ステルス攻撃機”開発のチーム運営に学ぶ」 )は、難しい技術開発プロジェクトのために作られたチームである。「スカンクワークス」という言葉は、米ロッキードが「ロッキード先進開発計画」の通称として使ったことに始まり、ステルス攻撃機の開発で有名になった。
 
 米軍の最新鋭軍用機の開発は、定番商品であるボーイング787など旅客機の開発の経営のようなものとは異質の難しさがある。優先順位を一つ間違えるとネガティブスパイラルが発生し、すべてが破綻したり、テストパイロットの命を奪うことになりかねない。

 今や「スカンクワークス」は、“創造型組織”や“最先端技術開発チーム”を指す一般的な言葉となった。ボーイングでは「ファントムワークス」と呼ばれたりするなど、企業やプロジェクトごとにいろいろな名前が付けられるが、考え方は同じである。

 「ロッキード先進開発計画」の初代ボスのケリー・ジョンソンによれば、スカンクワークスのメンバーは少数精鋭で10人から15人で構成するという。大きなプロジェクトだからといって、最初から大量の人員を投入するのに問題があることは、私の新入社員時代にも経験していた。
 
 それはLNG(液化天然ガス)運搬船の開発プロジェクトでのことだった。私はこのプロジェクトの末端で基本設計を担当していたのだが、各部から集まってきた100人近いメンバーによる大プロジェクトは、スロッシング(タンクの中の液体の激しい運動)問題を解決できないため、結局、中止に追い込まれた。

コメント2件コメント/レビュー

記事と、そして、最初のコメントは大変、inspirationalなものでした。ありがとうございました。今、ちょっとした困難にぶつかっておりましたが、もう一度チ-ム運営の見直しをするつもりです。(今、ちょっとした困難と書きましたが、この記事を読むまでは、投げ出してしまえ、と思っていました。実際は投げ出すほど困難なことではないと気づかせていただけました。)(2007/10/20)

「宮田秀明の「経営の設計学」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

記事と、そして、最初のコメントは大変、inspirationalなものでした。ありがとうございました。今、ちょっとした困難にぶつかっておりましたが、もう一度チ-ム運営の見直しをするつもりです。(今、ちょっとした困難と書きましたが、この記事を読むまでは、投げ出してしまえ、と思っていました。実際は投げ出すほど困難なことではないと気づかせていただけました。)(2007/10/20)

スポーツのチーム運営も、会社経営も、以前のモチベーションの記事と併せて読んで、否定のコメントもありましたが、人が関わる限り、基本は同じなのがよく分かりました。まずメンバーの中で、責任を誰がとるのかと言うことを明確にして、更に少数精鋭のメンバーで戦うのが基本ですね。大企業の会議で良くある大会議では、100人もメンバーがいたら、発言しない人の方が多く、単なる説明会になって、大抵結論が出ません。以前、知り合いの広告代理店の元敏腕部長も、創造力を発揮するためには、会議出席者は7人までに制限している。と仰っていたことを思い出しました。昨日、弱小リッチモンド高校のバスケットチームの快進撃の実話をテレビでやっていましたが、新任コーチが、規律を守ること。勉学は全員水準以上達成(後に自然に成績が良い人が、悪い人に勉強を自主的に教えるようになり、全員大学に進学!)などの契約を無理矢理結ばせて、守らなければ大会には不参加。という強引な者でした。後ほどどうしてそうしたのかという説明をするまで、反感から不協和音が続いたものの最後は初の州大会出場まで達成する快進撃。痛みは皆で分かち合うものだ。と自らメンバーが言うまでに成長する、まさにこれこそがチームだなという感動を呼ぶ内容でした。他にも熊本藩の名藩主細川重堅が財政赤字解消の大改革を行った際に、周囲の大反対を押し切り変わり者を集めて、少数精鋭チームを組み、短期間で不可能な改革を成し遂げたことも思い浮かびました。明治維新もおそらく同じように、志の高い者の精鋭・俊英チームだったのでしょう。これらはモチベーションの高い小数精鋭のチームが、いかに重要であるかという証明?だと示唆している事実だと思います。トロイカ体制でも話を徹底的に行い、誰が最終決断(民主独裁主義だという人もいますが。)をするか、責任を負うかを明確化すれば、モチベーションも上がり、チームの運営もうまく行くのではないかと思いました。責任を取らない自分勝手な評論家は、いくら優秀でも、しかも何人いても創造的なビジネスはできないのでしょう。(2007/10/19)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

面白い取り組みをしている会社と評判になれば、入社希望者が増える。その結果、技能伝承もできるはずだ。

山崎 悦次 山崎金属工業社長