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「ハビターレ」で再発見、モダンデザインの来た道

  • 若井 浩子

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2007年10月25日(木)

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 9月にフィンランドに出かけた。隔年開催のデザインイベント「ハビターレ」(9月19~23日)と「ヘルシンキデザインウイーク」(9月14~23日)が同時開催されていたヘルシンキの街は、北欧特有の長い日が街の木々を紅葉させる季節にあって、デザイン一色に染まっていた。

 56万人が暮らす首都ヘルシンキ(フィンランド全人口は520万人)は、開発で変わりつつあるとはいえ、ヒューマンスケールに合ったコンパクトな街だ。朝夕は静かで、市中心部でもホテルの部屋の窓を開け、つい耳を澄ましてしまう。

 夜、ホテルの部屋に1人でいると実にしんとしている。そこでパソコンに入っている音楽を流す。東京から持ってきたマリア・ジョアオ・ピリスの弾くシューベルトが、秋の深まるヘルシンキとよく合う。具体的な思い出があるわけではないのに、懐かしさがこみ上げてくるような演奏だ。

 彼女のピアノが東京でもフィンランドでもこうして部屋の空気を穏やかなものにしてくれるのは、ちゃんとしたわけがあると思う。

 天才的で世界的なピアニストであれば、その人の人生で一番大切なのはピアノ演奏、芸術だというのは、至極まっとうなことだろう。しかし彼女は違う。彼女にとって一番大切なのは日々の生活(食事の用意をしたり、後片づけをしたり、風呂に入ったり、掃除をしたりすること)であり、当たり前の人間として自立していることなのだそうだ。

 実際、彼女はポルトガルの田舎で、鍋も磨き、ピアノも弾くというような生活をして、そこを訪れる若い芸術家に、創造の原点を再発見する機会を与えたりもしている。

 彼女のこうした姿勢が天才的な芸術家として生きやすいものかどうかは分からない。しかし一人の人間として自分の始末ができ、日常の雑事をピアノ演奏と同様に人生を支えるものとして大切にする感性が、彼女の演奏の静謐感の源のように思える。

 フィンランドの日の長い夕や薄曇りの朝にピリスの演奏、特に「即興曲変ト長調(D899第3番)」はぴったりくるのだった。

 「ハビターレ」と「デザインウイーク」に話を戻そう。

街全体で「これがフィンランドのデザインだ!」

 ハビターレは1970年の発足から隔年開催されており、今年で19回目を迎える伝統あるデザインイベントだ。会場はヘルシンキ中央駅から北へ3キロメートルに位置するヘルシンキ・フェアセンター。その中の6つのスペース(合計2万500平方メートル)にインテリア小物から建材、設備機器まで511の企業が集まり、期間中延べ8万8000人を集客した。

 とりわけ、今年から新設された「Ahead!」というデザインコンシャスなブランドやインスタレーション展示のあった2つのスペースが人気を集め、企業と顧客双方にとって今後を占う格好のモデルとなったようだ。

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