(前編から読む)
(左から)YouTube共同創業者チャド・ハーレイ、モザイク開発者マーク・アンドリーセン、投資家マイケル・モーリッツ
それはルーブルでモナリザの前に立つような、そんな非現実的な感覚だ。
すぐ目の前のステージに、ヤフーを作ったデイビッド・ファイロ、YouTubeを作ったチャド・ハーレイ、モザイクを作ったマーク・アンドリーセン、業界最大の影響力を誇る投資家マイケル・モーリッツの4人が並んでいた。−−TechCrunch40後編は趣向を変えて、会場で語られた、ネット史そのものと言っていいスター企業家たちの秘話を拾ってみたい。(文中敬称略)
時に選ばれし者たち
スターたちの最初のビジネスへの関わりは、それぞれけっこう冴えないものだったりする。チャドは5歳の時、フィラデルフィア郊外で「ベニヤ板に絵を描いて売ろうとした」。もちろん、売れるわけはない。
アンドリーセンはちょっとマシで、ウィスコンシンの田舎の実家でレモネードを売った。が、「実家と言っても町から16km外れた道の突き当たりにあるんだ。そこで売ったんだから戦略上の計算ミスだったよ(笑)」。
ヤフー共同創業者デイビッド・ファイロ。公の場にこうして姿を見せるのは珍しい
ヤフーの共同創業者ファイロは、共同創業者ジェリー・ヤンと2人、大学の卒論が退屈で退屈で死にそうになり「卒論から逃げるためなら何だっていい」状態に陥った。その退屈しのぎで面白そうなサイトをぶらついて、リンクを溜め込んでできたのが検索エンジン、ヤフーである。
そしてこの2人に投資した物好きが、写真右端のモーリッツだ。「(リスクはあったが)博士課程の地獄から2人を救出する公共奉仕と思って投資したんですよ」と1996年4月付けMetroactiveに話している。記事には、デコボコのポンコツ車で取材に現れたファイロ、会社の床で仮眠を取って遅刻したヤンのお宝写真も。「Y」を人文字で作ったり、確かにお調子者で危なっかしい。
が、リスクは引き受けてみるもので、後から思えばだいぶ割の良い公共奉仕となった。
「ところでファイロ、卒論は本当は何を書くつもりだったんだい?」
ステージでモーリッツが水を向けるとファイロが一瞬固まり、ドッと笑いが沸き起こる。
伝説のベンチャー出資者、モーリッツ
(動画提供:Intruders.tv、講演抄録)
さて、ここであまり日本の一般の方にはなじみがないであろう、モーリッツ氏について。彼の凄腕を知るには、グーグルの話が手っ取り早いだろう。
グーグルの創業者、ラリー・ページとセルゲイ・ブリンの2人は自らのビジネスをヤフーに売り込んだが、ハリウッドから来た「ローテクな」CEO、テリー・セメルにあえなく断られた(池田信夫blog「ヤフーを転落させた男」参照)。
壇上で靴を脱いでブラブラやり出す世界的ミリオネア、モーリッツ
モーリッツはイグジットに失敗したグーグルの若者2人にも、ヤフーの創業者にしたように得意の「公共奉仕」をし、その結果、2004年のグーグル上場で推定13億ポンド(3018億円)をガッツリ儲けた(その後、グーグルはここにいるチャドが創業したYouTubeを、ヤフーと競り合って手に入れた)。
まとめていえば、彼はヤフー、グーグル、PayPal、アップル、eBay、シスコ、YouTubeなど世界に名立たる企業を育ててきた人だ。その資産総額は推定5億5800万ポンド(約1295億円)で、出身国イギリスの長者ランキング第20位。米誌フォーブスが年初に発表するテクノロジー部門のベンチャーキャピタリストとエンジェル投資家の世界ランキング「Midas List」では、今年も首位をキープした。
この番付けは過去5年間に売却・上場した投資先企業の取引初日終値の時価総額、最終的な買収価格をベースに算定したもの。氏の場合、ヒット連発に加えて、3年前のグーグル上場のご威光が続いているのが大きい。
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