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顧客第一主義が実現するデジタル経営を

「経営シミュレーター」で統合管理して利益の最大化を図る

  • 宮田 秀明

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2007年11月30日(金)

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 私の研究室で開発中の「経営シミュレーター」の基幹部分ができたので、あるエレクトロニクスメーカーのある製品の生産から海外販社での販売までをシミュレーションしてみた。

 シミュレーションの結果から、北米への輸送の実態が見えたので、私は言った。「この時期に約2週間、エアー(空輸)を使ったのでしょう」。
 
 メーカーの物流責任者が答えた。「ええ、これは売れていると判断してそうしましたが、その後、不良在庫になったかもしれません」。

 この製品は、アジア諸国で生産し、船を使って世界各地へ輸送し60カ国で販売されている。価格の割に重い製品なので、空輸すると採算が取れない。

販売市場のグローバル化で、生産・物流・販売の統合管理が困難に

 製造レベルでは円単位ではなく銭単位でコスト管理をしているのに、販売レベルでは10%レベルでの機会損失(欠品)やディスカウント、廃棄が日常的に行われていることが少なくない。グローバル化した販売拠点との情報のズレや、物の流れの時間軸のズレのせいで、在庫と販売の統合管理はいっそう難しくなっている。

 日本の製造業の強みは設計と製造にある。優れた性能の製品を設計し、高品質の製品になるような製造を行う。自動車やエレクトロニクス、機械関係から素材関係まで多くの分野でそうだ。これが日本の競争力の根幹部分と言っても過言ではないだろう。

 国際化した日本の製造業の最適化は、設計と生産に集中しがちで、販売まで含めた全体最適にはまだまだ遠そうだ。特に販売と生産の結びつけ、販売予測や販売情報の迅速なフィードバックなどが弱いと思われる。

 私たちは当初、物流シミュレーターを開発しようとしていたのだが、途中で、物流費の削減だけを目的とした経営技術の開発は中途半端であることに気がついた。物流費を減らすことに成功しても、利益が上がらなければ意味がないからだ。結局、生産・物流・販売の全部を統合して再現し、利益の最大化を目的とした経営シミュレーターを開発することになった。 

 ビジネスには、設計と生産をはさむ上流部分と下流部分がある。上流部分はビジネスのコンセプトやモデルを創造する部分であり、下流部分は販売やサービスに関わる部分だ。上流部分が絶対価値を作るので一番大切なのだが、下流部分ももちろん大切である。結局、価値は顧客が実現するからだ。

コメント3件コメント/レビュー

 企業の経営に局所(部分)最適化ではなく、上流から下流までの情報を全て精査した上での全体最適が必要であることは非常に納得できます。デジタル、アナログのいずれの方法を用いても上流から下流まで経営判断するための”見える化”が大事でありその比率は各社各様であると思います。(2007/12/02)

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いただいたコメント

 企業の経営に局所(部分)最適化ではなく、上流から下流までの情報を全て精査した上での全体最適が必要であることは非常に納得できます。デジタル、アナログのいずれの方法を用いても上流から下流まで経営判断するための”見える化”が大事でありその比率は各社各様であると思います。(2007/12/02)

生産側にいて良く思うことは、「生産側は生産側の理論でしかものを考えない」ということです。それ以外の考え方を持ち出すと裏切り者のような扱いを受ける。組織が大きくなると自分の職場から遠い部分は地平線の彼方に消えてしまうのでしょう。状況把握をリーダーシップに課すのではなく自然発生的な従業員の共通体験にゆだねる風土がそれを助長しています。宮田さんの開発されたシステムは、何よりも大きな組織の従業員が共通の状況認識を得るのに大変役立つと思います。週単位というのは、その認識をより毎日の業務に直結させる効果も高い。従業員が積極的に同様の方向性をめざして力を発揮するには、状況の共通認識が欠かせない。このシステムはリーダーシップの担うべき機能の、忘れられた、しかし最も重要な部分を補完するでしょう。(2007/12/01)

宮田先生がいつもおっしゃるように、経営も科学化・論理化する余地がまだまだあるというのは重要な視点だと思います。ただ、頭で理解しながらも、なかなか認め切れていないように感じるのは、デジタル化だけが科学化・論理化なのではないという点でしょうか。宮田先生もお書きのように、数理を駆使することは、「決定支援」なのであって「決定」そのものではないのですからね。(2007/11/30)

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