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規模の不経済に負けない21世紀型企業

  • 横浜 信一

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2007年12月17日(月)

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 世界を視野に企業活動を俯瞰した時、最近の大きな特徴の1つは、「リーディング・グローバル・インスティチューション」とも呼ぶべき、巨大企業群が出現しつつあることである。これらの企業の活動範囲は世界の津々浦々に及び、その投資判断は巨大な雇用を生み出し、一国の経済政策をも左右するようなインパクトを与える。

 企業活動の巨大化、グローバル化は今に始まったことではない。第2次世界大戦後から、いわゆる多国籍企業と呼ばれる企業は存在していたし、そうした企業は貿易や資本取引の自由化の中で、着実にその活動範囲を拡大・深化させてきている。

 では、近年の特徴は何かというと、こうした巨大企業による世界経済への影響力がとみに強まった点にある。米国を例に取ると、1970年から1994年の25年間、企業価値でトップ150の企業は年平均で3.3%の成長を遂げた一方、1994年から2004年の間はインターネットバブルの崩壊などがあったにもかかわらず、年平均11.1%の成長を遂げている。

巨大企業の悩み

 こうした企業パワーの巨大化については、規模や範囲の経済による生産性向上がその牽引力と言われており、事実その通りである。

 一方、企業がここまで巨大化すると、管理対象が巨大になりすぎて、かえって非効率が生じてくる。組織や事業が巨大になりすぎた故に、社内の風通しが悪くなったり、情報流通や意思決定に時間がかかりすぎ、いわゆる規模の不経済を引き起こす可能性もある。

 マッキンゼーが世界で発刊している季刊論文誌の読者7800人(多くは大企業にお勤めのマネジメントクラスの方と想定される)に対して行ったアンケートでも、64%の方々が過去5年間で電子メールやボイスメールの量が飛躍的に増大したと感じ、25%が社内コミュニケーションがマネッジ不可能なレベルに達しつつあると答えている。また、40%が自分の会社では情報共有がうまく行われていないと答え、35%が意思決定をするのに必要な情報を見つけることが難しいとしている。

 このように、企業活動のスコープが地理的にも、そして事業の幅としても拡大した結果、組織運営には非効率が生じてくる。チャップリンがモダン・タイムスで工業化社会の行く末として、オートメーション化された生産ラインの中で歯車のように働く労働者を描いたのが1936年であるが、情報化社会の行く末として、21世紀版のモダン・タイムスが生まれつつあると言えるのではないだろうか。

企業によって「規模の不経済」への対応力に開きがある

 企業の巨大化の結果、規模の経済と同時に、社員の間の情報共有の複雑さの増大という不経済も生み出しているかもしれない。企業を利益額ではなく、従業員1人当たりの利益額で比較してみるとどうなるだろうか。

図版

企業の規模と従業員1人当たりの利益

 この分析を1984年と2004年のデータで行ったのが右の図である。左が1984年であるが、社員数が大きくなっても1人当たり利益は高くはならず、一部の例外を除いてはかえって減少している様子が見て取れる。では、2004年はどうだろうか? 2004年でもおおむね同様の傾向が見て取れると思う、ただし、1984年との大きな違いは、縦方向のバラツキが非常に大きくなっている点である。

 なお、こうした変化は同じ業種の中でも同様に起きている。製造業と金融などの非製造業に分けて見ても同様の変化は見て取れ、しかもそのバラツキは非製造業の方に顕著に見られる。

 この分析から言えるのは、確かに企業規模の増大に伴って複雑性が増し、規模の不経済が起きやすくなるのだが、一部の企業は規模を大きくしながらも複雑化への対応力を増し、非効率の発生を防いでいるということである。

「コモディティーの知」と「差別化する知」

 インターネットの普及によって、ありとあらゆる情報が簡単に入手できるようになってきた。何か分からないことがあっても、検索サイトを使うことで簡単に情報が入手できる世の中である。「Wikipedia」などのような全員参加型の知識共有の仕組みもインターネット上には多数出現している。

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