「川口盛之助の「ニッポン的ものづくりの起源」」

ヒーローの変遷に見る日本の生き方

歴代SFアニメのロボたちが将来を予見する

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2008年1月7日(月)

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 新年明けましておめでとうございます。昨春より書き始めたこのコラムも、おかげさまで1年が経ちました。毎回、読者の皆様には多数のコメントを頂戴し、ありがとうございました。とても参考になります。

 私たちの生み出した商品やサービスをひもとき、裏に隠れていて見過ごされがちな日本人特有の気質とかコミュニケーションスタイルとの関係性を分析してまいりました。時には多少強引なこじつけ風に感じられる場合もあったかもしれませんが、本コラムは、日本のエンジニアリングの将来を前向きに考えることを念頭に、今年も3つのモットーを掲げて考えていきたいと思っています。

  1. 日本人の作るものには、きっと素晴らしい文化的背景が潜んでいる……に違いない!
  2. 弱みに思える特徴でも、逆に強みとしてとらえて戦略を考えられる……はずである!
  3. 一見嘆かわしいくらいのものほど次世代を牽引するチャンスが潜んでいる……と信じよう!

 さて、本日はまだ松の内でもありますし、お正月特別編、やわらかい話をしたいと思います。特に製品を取り上げて分析という話ではなく、全体的な技術潮流のお話です。

 このコラムでは折に触れて、製品の設計思想の裏に透けて見える「日本のマンガやアニメから得られる示唆」のお話をしてきました。今回はSFアニメのロボットたちの変遷を考えてみたいと思います。

アニメロボットには各時代の世の社会観や技術観が反映されている

複数台が自立的に動き、互いに協調して共同作業で飲み物のデリバリーを行うことができるホンダの最新型「アシモ」

複数台が自立的に動き、互いに協調して共同作業で飲み物のデリバリーを行うことができるホンダの最新型「アシモ」 (C)AFP/HONDA MOTOR

 ホンダの「アシモ」が登場したのは1996年。当時、学会ですら疑問視されていた二足歩行機。いきなり一民間企業が実用化したニュースは関係者に大きな衝撃を与えたものでした。今や技術は急速に普及し、家電量販店に行くとロボットのコーナーがあり、10万円前後で手に入る時代となりました。テレビ番組でも、そのような市販品をチューンアップした試作ロボ同士を対戦格闘させるゲームが見られるようになっています。

 技術系と思われる40代のお父さんたちが自宅でこしらえたロボを持ち込み、中学生くらいの娘さんがパイロットとして手元コントローラーを握りしめ、巧みに操り格闘しているシーンを見ていると、往年のアニメシーンがダブって見えます。

 鉄人28号やマジンガーZ、ガンダム、エヴァンゲリオンも、みんな父親の博士たちが作った巨大ロボに息子たちが搭乗して戦場に出向いていったのです。当時、手に汗を握ってテレビの前でロボの活躍を見つめていた良い子たちは、40年の時を経た今、TVスタジオで博士の方の立場になっています。全く隔世の感があり、この科学の進歩には感慨深い限りです。

 スーパーロボたちは、戦後高度成長期に入って以降、約半世紀にわたって、日本列島や地球を守り続けてきました。この数十年間、この島に平和が訪れたことはなく、常に国難の連続でした。やってくる理不尽な敵とは、ある時は異星人、ある時は悪の地下組織でした。自衛隊などの通常戦力は歯が立たず、もはやこの国も根絶やしか……という局面でスーパーロボが立ち上がり、危機から救ってくれました。

 それぞれのロボが活躍した時代に応じて、世の社会観や技術観がアニメロボには反映されています。ある時は世相の反映であり、時には世相の先を行くコンセプト提示の役割も果たしていると思います。そこに登場する人物や、ロボットに使われているメカニズムの分析をするのもまんざら酔狂でもないでしょう。

 我々は科学をどのようにとらえ、今後どのように道具とつき合おうとしているのか、を考える時、ロボットは最もパワフルな分析対象物です。なぜならば、それは人間と同じような顔かたちをしていて、同じような機能を持っているものだからです。およそヒトが考えつくあらゆる機能を盛り込む冗長性を持ったもの、それがSFロボットです。

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著者プロフィール

川口盛之助
(かわぐち・もりのすけ)

川口盛之助

慶応義塾大学工学部卒、米イリノイ大学理学部修士課程修了。日立製作所で材料や部品、生産技術などの開発に携わった後、KRIを経て、アーサー・D・リトル(ADL Japan)に参画。現在は、同社プリンシパル。世界の製造業の研究開発戦略、商品開発戦略、研究組織風土改革などを手がける。著書に『オタクで女の子な国のモノづくり』(講談社)がある (写真:山西 英二)



このコラムについて

川口盛之助の「ニッポン的ものづくりの起源」

このコラムでは、商品の機能やデザインにフォーカスし、その商品が生まれた発想の起源を探ります。特に日本の商品に密かに隠れたいかにもニッポン的な「和」のテイストに注目しながら、日本のものづくり文化に息づく競争力の源泉をひもといていきます。

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