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N700系ブロガー試乗会に見る、ブログ×企業の関係式【後編】

カレン 四家正紀氏インタビュー

  • 波多野 絵理

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2007年12月27日(木)

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 JRの新型新幹線 N700系デビューに際して、JR東海と博報堂が仕掛けた広告戦略の1つが「試乗会へのブロガー招待」。ブログの書き手「ブロガー」を、メディア記者と認識してコミュニケーションし、その結果、テレビ・新聞などでは出てこない、細やかな生活者の視点で捉えた多彩な魅力をネット上に書いてもらうことに成功した。

 この、ブロガー招待を実際に担当したのが、ネットを活用した販売促進事業でメール・ブログマーケティングを行うカレンの四家正紀氏。その詳細を聞いてみよう。

前編から読む)

―― 基本的な質問からで恐縮ですが、カレンのクライアントとなる企業側は、ブログマーケティングの価値をどういう基準で判断していますか?

四家 「消費者の声を生かしたマーケティングにおいては、非常に有効だし、消費者自ら、自発的な考えとして発信している、特に体験を伴った強い言葉には価値がある」と受け止めていただいていると思います。これは、我々の経験から見ても確実に感じられることなんですが、クライアントには「これこれの効果がありました」と伝えにくい部分も、あることはあります。なにしろ、それをどう数字に落としこむかという点が、非常に難しいんですよ。

新型新幹線「N700系」

新型新幹線「N700系」

 例えば、ネット視聴率のように数値化して、ブログマーケティングも計数化できると考えたりもしました。が、今のスパムは、恐ろしいことにブログのランキングを上げてしまうものがあるんです。「ワードサラダ(Word Salad)」というスパムは、あたかも人間が書いたように単語をランダムに並べて、アフィリエイトで儲けるんですが、その時のネタ元として、ほかのブログを使うわけです。こういうことを機械的にやられると、人気が出たと思ったら、訳の分からないスパムサイトからのリンクだらけ、という事態が起こります。今のところ、機械的にそれをシャットアウトすることがまだできないんです。

 「kizasi」という、ブログで書かれた単語を拾うサービスでは、やっぱり人力(じんりき)を入れて、目検(めけん、目で見る検査)を加えているんです。日本語のコンテンツを何らかの形で解析して、その結果を生かす場合、それを完全に機械任せにすることは、今のところ無理なんですね。

―― 通常は、払った分の効果的な書き込みがないと、クライアントは発注しにくそうですね。

 レイティングができない中、定量的なものは曖昧だけれども、定性的な「こういう効果が起きた」とか、「こういう形で引用された」とかを示して、販促の世界で認めていただくことをやっているわけです。

 そうなってくると、やはり、量より質なんです。クライアントの商品・サービスについて書かれているブログ、それそのものに信頼感があって、内容と影響力を持っていることが、より大切になっていくわけです。

―― 書き手側には「広告めいたものは書きたくない」という気持ちもあると思いますが。

 僕は以前、IT(情報技術)系ネット媒体の広告担当をしていたことがあるんですが、当時の広告チームの合い言葉は、「記事より面白い記事広告を作ろう、打倒編集部!」だったんですよ。

面白くて役に立てば、広告でも記事でもどっちでもいいじゃないか

 それはネットの読者にとっては、広告だ、記事だ、ブログだという違いよりも、その情報がどれだけ面白くて有効であるかということの方が大事であろう、と。記事と広告の違いは、編集権がどこにあるのかというだけの話であって。

 読者サイドから見た時に、どこに編集権があるかは、例えば「Sponsored by…」といったクレジットをきちんと表示して、判別できるようにしておけば、信頼は維持できます。ブログにも、ペイ・パー・ポスト(料金が支払われることで記事を書く)スタイルがありますが、現状、スポンサーの有る無しを明記するかどうかは、それを運営している会社によって違うわけです。この方式はまだ始まったばかりで、ルールが確立していないため、どれが信用されるか、どういう方法が最終的なクライアントサイドの成果に結び付くのか、これからはっきりしてくることだとは思います。

 ですが、読者にとっては、その情報の信頼度に関わるという気がします。私としては、変に勘ぐられるぐらいだったら、むしろハッキリ「お金をもらっていますよ」と入れた方がいいんじゃないかと。そのうえで、コンテンツの質で判断してもらえばいいわけです。その方が、むしろ信頼度が上がると思うんですよ。

 コンテンツの質が良ければ、提供企業が明示されることは、かえってそれに対しての保証が付くことになるので。テレビコマーシャルだって、広告であることが前提であっても、面白ければ良い評価を受けますよね。

―― カレンは、ペイ・パー・ポストのスタイルはやらないんですか。

 やってないですね。やらない理由の1つは、短期的な効果が出ても、長期的な効果にはならないと考えているからです。場合によっては、ブランドを傷つけてしまうことにもなる。誤解を受けやすい手法を取ること自体のリスクの方が大きいのではないか。

 それにネットの登場以降、企業やメディア会社、マス媒体を持っている会社に対する消費者の目は厳しくなっていると思います。現実に不祥事が立て続けに起きているからです。しかも、すべての消費者の関心が高い食品会社の不祥事が目立っているでしょう。

 企業性悪説みたいなもので、極端な考え方の人でなくても、いろいろな情報を深読みしながら見ていく、より賢い人たちが現れてきている。もともとそういう人たちがいたのだけれども、より意識的に、発信するようになったのではないかなと。そんな表現意欲のある方が、ブログに流れてきていると思いますね。

お金を払わないから、働きかけ方を工夫する

―― 手強い人が増えていく。

 そういった方々が自発的に書かれたものと、どうやってつながっていくかを考えていくと、(報酬を支払う)広告よりは、広報に近くなっていきます。

 ブログを媒体と考えた時、媒体者には報酬としてのお金は払わないわけですから、その代わり、書いていただけるようにどう働きかけていくかが問題になる。ただし大事なことは、編集権はそれぞれのブログをやっていらっしゃる方にある。きちんと自分で編集権を持った人が発信した情報にこそ、価値があるわけです。

 それこそが、個人メディアであるブログの世界なんですね。そういった自発的な情報発信を、どこまでこちらの方で支援できるかということなんです。

―― そこで、N700系のお話を伺いたいのですが、あれは、アジャイルメディア・ネットワークに参加されているブロガーの方を招待した企画だったそうですね。

 ええ。アジャイル参加ブロガーと、弊社のリスト・協力先のリストから選出させていただきました。この時も個々のブロガーの方々には一切、報酬は差し上げていません。ですから、我々がやったのは媒体を集める仕事です。PR会社みたいな。

 アジャイルメディア・ネットワークさんにとっては、バナーの出稿があったので、それが収益にはなっています。もちろんブロガーサイトにもそのバナーは表示されますし、バナー収益が各ブロガーに分配されるので、そういう意味でのお金は動きますが、新幹線の試乗会に行く・行かないはもちろん、記事を書く・書かないとは、全く関係していません。義務ではないんです。

―― 試乗会に行って、書かなくてもいいんですか。

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