今回は、医療費削減政策から浮き上がってきた医療マーケットの変化に焦点を当てる。1つは後発医薬品(いわゆるジェネリック薬品)の市場拡大と、病床の大幅削減が始まることによって注目されている高齢者住宅市場の変化である。
4月、さらなる後発医薬品の促進策が実施へ
政府は今、6兆円に上る薬剤費の削減を目的に、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進を躍起になって進めているが、はかばかしい成果は上がっていない。
2006年4月には、医療機関が発行する処方せんの様式を変更し、医師が後発品への変更に同意する場合に署名する欄を設けたが、署名ありの処方せんは全体の17.4%に、また実際に薬局で後発品へと変更された処方せんの割合は、そのうちの8.2%(全体の1.4%)にとどまっている(2007年7月現在、厚生労働省調査による)。
このため厚労省は、さらなる後発品の使用促進策を中央社会保険医療協議会に提案、このほど了承された。
その中身は、
(1)処方せん様式を再度変更して後発品への変更を原則とする。医師が後発品への変更を認めない場合に限り署名する形式に改める
(2)処方せんに商品名で後発品が記載されている場合、医師への確認なしで薬局が別銘柄の後発品に変更できるようにする
(3)患者の不安を和らげるため、1週間程度の短期間、後発品を試しに使ってもらえるようにする
(4)医療機関や薬局に強制力を持つ「療養担当規則」に、後発品を処方・調剤するための努力義務規定を盛り込む
――など。いずれも2008年4月から実施する。
また、水面下で厚労省は、後発品への切り替えに熱心でない薬局には保険から支払われる報酬を引き下げ、積極的な薬局の報酬を引き上げる検討も進めている。「医師の署名率17%はそれなりの数字と言えるが、薬局での変更率8%というのは明らかに努力不足」(保険局の幹部)という考えからだ。減収を恐れた薬局が後発品への切り替えに取り組むようになって後発品のシェアが増大し、結果として薬剤費は削減される――というのが厚労省の描くシナリオだ。
果たして、厚労省の思惑通りに事は進むのか。少なくとも4月以降、患者が薬局の窓口で、「後発品になさいませんか」と声を掛けられる機会が増えることだけは間違いなさそうだ。
(ここまでは倉澤 正樹=日経ドラッグインフォメーション編集長)
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