「NTT迷走の裏側」

第3回 連綿と続くNTTと政治の関係

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2008年2月13日(水)

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 自らの体制を守るために、NTTが昔から頼みにしてきたのは政治家である。時代が変わるにつれて、NTTと政治とのつながりは少しずつ小さくなっているのは確かだ。しかし最近のNTTと政治の動きを見ていると、できるだけ政治的なつながりを維持し、組織防衛などに利用するため、何とか政治家との関係を強化しておきたい――という変わらぬ本音が透ける。

NTTの「2010年問題」でも政治家頼み

 2007年夏に開かれた、とあるNTTグループ社長会。そこには、6月末に持ち株会社の社長に就任したばかりの三浦惺NTT社長が、主要グループ会社の首脳陣を前に決意表明をする姿があった。

 「(NTTの組織形態を議論することが盛り込まれた)政府与党合意の“2010年問題”は絶対に、NTTグループの組織見直しありきの議論にはさせない。『世界の動向やブロードバンドの進展状況を見ながら、情報通信業界全体の在り方を考える』というのが政府与党合意の趣旨だ」。

 新たにグループの総帥となった三浦社長が、グループ会社の首脳陣を前に、組織防衛の強い意思を示した瞬間だった。2010年問題とは、NTTにとって会社を揺るがす大きな問題だ。竹中平蔵・元総務大臣が2006年に開催した私的諮問機関である「通信・放送のあり方に関する懇談会」(竹中懇)に端を発する、NTTの組織形態を巡る議論の末に生まれたものである。

 竹中懇は当初、通信・放送分野の競争促進について議論していたが、次第にNTTグループの在り方も大きな焦点となった。懇談会は最終的に、「2010年には通信関連法制を抜本的に見直すため、NTT持ち株会社の廃止などを含む検討を今から開始するべき」と結論付けることになった。つまり、持ち株会社の下にNTT東西やNTTコミュニケーションズ、NTTドコモなどの事業会社がぶら下がる現在の体制を見直すべき、としたのだ。それは実質的な現行NTTの解体である。持ち株会社を廃止して、事業会社同士の資本関係を断ち切るという案だった。

 ただ、NTTにとってデメリットだけにならぬように、資本分離の見返りとして、NTTへの厳しい規制を徐々に緩和したり、資本分離後の再統合を認めたりするなど、経営の自由度を与えるアメとムチの施策だった。ここでNTTが頼ったのは、当時の通信・放送行政に大きな影響を持っていた自民党の片山虎之助元参院幹事長だった。

 片山虎之助氏が委員長を務める、自民党の電気通信調査会通信放送高度化小委員会(片山委員会)は、竹中懇と異なる意見を表明した。同委員会は組織解体を嫌うNTT側の主張を汲み取って、組織問題の検討を先延ばしにする報告書を出したのだ。その内容は、「NTTの組織問題の検討は拙速に結論を出すべきでなく、2010年ころに議論を始めるべき」というものだった。

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著者プロフィール

宗像 誠之(むなかた・せいじ)

2000年に慶應義塾大学経済学部卒業後、NTTコミュニケーションズに入社。2001年8月に同社を退社後、2001年10月に日経BP社に入 社。『日経コミュニケーション』誌の記者として、通信事業者の再編やNTTグループを中心とする通信業界の最新動向について主に取材。2008年1月から 日本経済新聞社産業部に出向。

中川 ヒロミ(なかがわ・ひろみ)

日経BP社の通信専門誌『日経コミュニケーション』の記者として、通信事業者やブロードバンド技術の動向を取材。2005年から単行本の編集を担当。『フェイスブック 若き天才の野望』『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』『iPadショック』『ビジネス・ツイッター』などを担当。

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