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「全面再構築」と「楽しい体験」が人を育てる

横塚 裕志氏 東京海上日動火災保険 常務CIO(後編)

2008年2月29日(金)

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 不払い問題で揺れた保険業界は今、各社が新たな戦略を作り、ビジネスを立て直そうとする段階にある。損保最大手の東京海上日動火災保険は、隅修三社長が「正しく、スピードがあり、お客様に好感を持っていただける業務プロセスに変えていこう」と内外に宣言、代理店を交え、新しい業務プロセス作りに取り組んでいる。

 新業務プロセスを支えるために、情報システムを全面的に再構築、第1弾として5月に自動車保険を扱う新システムを動かす。新業務プロセスと新システムは、6万の代理店に所属する合計40万人が利用する。

 抜本改革に当たっては、東京海上の業務プロセスとシステムを作るのではなく、代理店のためのプロセスとシステムを作り、それを東京海上が使う、という発想で進めている。抜本改革の一翼を担う横塚裕志常務取締役CIO(最高情報責任者)とガートナー日本法人の日高信彦社長が、ビジネスに貢献するIT(情報技術)のあり方を話し合った。(前編はこちら

日高 商品をシンプルにして仮に何かを失っても、業務プロセス改革によって得るものが大きければよいわけですね。ただ、6万もの代理店があって、1店当たり7人程度いらっしゃるとすると、合計40万人近い人たちに新しい業務プロセスを利用してもらわないといけない。

 これだけの数の人たち、しかも社員ではない人たちに、短期間で新しい業務プロセスと情報システムを教えて、使ってもらうという例はあまりないと思います。当然、コンプライアンスをはじめ、様々な課題があります。どうやって新しい風を、社内だけではなく40万人の代理店さんの間でも吹かせていくのですか。

横塚 ポイントは2つあると思います。社員より代理店さんの方がお客様から厳しいご意見を伺っていますから、業務プロセスこそが競争軸だ、複雑な特約で他社に勝つより、お客様に接する態度、業務プロセスがポイントだ、ということは我々より分かっている。とはいえ、おっしゃる通り、新しい仕事のやり方に変えていただくことを、どうやって研修し、どうやってフォローアップし、やっていくか。これは壮絶です。

 システム部員が40万人の代理店さんに教えることは無理ですから、先生は弊社の営業担当者がやるしかありません。営業が先生になれるような研修をやってきました。昨年の秋には、営業担当者全員、ざっと3000人に2日間の研修を受けてもらいました。さらに実際のオンライン操作の研修を12月ぐらいからやり始めました。その上で、3000人の営業担当者が40万人の代理店さんに教えていく。つまり、支社では毎日のように研修していかないといけない。壮絶と申し上げたのはそういう意味です。今年5月7日が新システムを動かす日です。それまでに徹底して研修しなければいけません。本当にビッグチャレンジです。

図版

(左)横塚 裕志(よこつか・ひろし)
東京海上日動火災保険 常務CIO。1973年一橋大学商学部卒業後、東京海上火災保険入社。システム部に配属。2003年IT企画部長、2007年6月から現職

(右)日高 信彦(ひだか・のぶひこ)
ガートナー ジャパン 代表取締役社長。1976年東京外国語大学外国語学部卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。96年アプリケーション・システム開発部長。2001年アジア・パシフィックCRM/BIソリューション統括。2003年4月から現職
(写真:中島正之、以下すべて)

日高 日本の情報化が始まって以来の大研修ではないでしょうか。ウェブサイトなどを使って、研修を効率化しておられますか。

横塚 お恥ずかしいですが相当ローテクなのですけれども。その辺りには手が回っていなくて、紙と若干の操作ができるデモ画面を使っています。すべての処理について教育用の画面を作るわけにはいかなかったので。

日高 営業担当者にとっても教えることはいいことですね。

横塚 それが最初のステップですから。案外、代理店さんの仕事を知らなかったところもある。営業が代理店さんにパソコン操作を教えるということ自体、文化の革命ですね。

日高 それが代理店さんの成功につながる核になってくるし、商品を買うお客様もハッピーになっていく。本当に大改革運動ですね。どのくらいで成果が出ると見ておられますか。

横塚 のんびりやるつもりはないですが拙速もいけない。これだけの大運動ですから、5年はかかるでしょう。

日高 全国40万人を巻き込むプロジェクトと大研修の元締めがCIOの横塚さんというわけですね。

横塚 いえいえ、研修は、抜本改革推進部が主導しますから。というより、CIOがどうこうではなくて、会社全体の取り組みなのです。

日高 そのようなリーダーシップというか、チームの中で、システム部門が大事な一翼を担っているということが重要です。

横塚 これはもう、システムエンジニア冥利につきます。今までシステムをいくら作っても意図が代理店さんにうまく伝わっていなくて、僕らが作ってきたシステムは結構悲しい状況にありました。ところが今や、営業担当者全員が教えに行ってくれるというのですから世の中変わったと痛感します。本当にありがたいことです。

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「「全面再構築」と「楽しい体験」が人を育てる」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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